海に行きたいエルフの王様
さくらは今、3歳の夏だ。
リーザはクーラーが少し苦手の様なので、わが家のエアコン稼働率は低い。
私も夏の暑さは嫌いじゃないので、ある程度の暑さは問題無い(逆に寒いの苦手なので、多少の暑さは我慢しなくっちゃ。暑いのと寒いのは両方苦手と言いたいけれど、自分的にそれはズルいと思っちゃう。暑いの寒いの比べた時に、どっちが嫌?て聞かれたら、寒いを選ぶ。だから暑いのはちょっとだけ頑張る)。
さくらはどうだろう?
暑い部屋の中で、汗をダラダラ流していても、ニコニコとして元気だ。
でも昨今は、部屋の中での熱中症も発生しているので、さくらの体調には神経過敏でもいい。
ただ、母リーザが居る限り、そんな心配に杞憂する事は必要無い。
この春に無事にさくらが3歳を迎えられたのは、一重にエルフの里国の王、女王ユーカナーサリーのお力無くては成らなかっただろう。
女王ユーカナーサリーは、リーザがさくらを身籠った事が判明したその時から、ご自身のその力を使い、出産~成長に関しても常にそのお力とお気遣いを頂いている。
正にもう一人の育ての親と言える。でも、特殊な能力『魔術』的なお力添えで生育の観察と調整も行なって頂き『さくら』という生命体を形作って下さったとの過程があるとするならば、もう一人の『生みの親』とも言っても過言無いだろう。
ありがたい限りである。
さくらは女王様、女王ユーカナーサリーの事をどんな風に思ってるいるのだろう。第二の母、お医者さん、看護士?もう少し大きくなったら聞いてみたい。
エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーは、本日もわが家にご訪問頂き、さくらの観察と調整を行って頂いたようだ。
でも、私が会社から帰宅するまでいらっしゃられる事は稀だ。
何かさくらに問題が?それか調整に手間取った?
「トキヒコ殿」
「はい」
何だろう、何か報告事が!?
「トキヒコ殿」
「はい」
「トキヒコ殿」
「はい」
あれ?
「トキヒコ殿」
「はい」
この感じは、問題は何も無さそうだな。
それよりも、なんか言いたいみたいだ。けれども、王としての立場がうんぬんとかで、何か言いたい事を遠慮しているのかなぁ。
「トキヒコ殿」
「はい」
「トキヒコ殿」
「はい、何か?」
「トキヒコ殿」
「女王、、、ユーカナーサリー。いつもありがとうございます。私に何かお礼が出来ますでしょうか。日本人は、恩を受けたならば礼で返すモノです。恩とはさくらに対してのお力添え、それとこんな私に対して分け隔て無く接して下さるお気遣いです。私で何か出来ます事はございませんでしょうか」
こうでも言わなくっちゃ、このエルフからは要求や希望を言わせる事は出来ないからなぁ。
「そうかそうか、ならば、そう申すならば、言わねば成るまいのぉ」
「はい」
も~う、じれったいエルフだなぁ。でも私の実現可能な範囲の事や物にして下さいよぉ~。自分から言っておきながら、そもそも価値観が違うから、突拍子の無い事を言い出す可能性を忘れてた!ヤバイか?
「海じゃ。我は海へ行きとう思う」
やっと言って下さったけど、海かぁ。
「では今から車を走らせ、海を見に行きましょう」
リーザはエルフの里国に海は無いって言っていたから。
女王様も波の観察でもしたいのかな?
あーちょっと、ほっとした。私で何とかなりそうな範囲だ。
「違う。違うのじゃ、トキヒコ殿よ」
「え?」
「我が行きとうのは、夏の海じゃ!夏の陽射ししかり、海水浴しかり、海の家しかり」
ええ~海水浴を楽しみたいと。何を観られました?
「我も王成る立場じゃ。他者に対して要求や要望はまま為らん。しかしじゃ、王成る者、何事も知らぬでは済まされぬ」
あっ、これって言い訳だ。女王様も夏を楽しみたいんだ!テレビでも観たか?
“王としての立場”と言いつつ、要求や要望って私には良く出してるぞ?まあイメージとして、私で対応出来る小さな事が多いし(気を遣って頂いてる?)、何よりも恩返しすら出来てないからな。
「行きましょう、海へ!でも海外のリゾート地とかは、申し訳ございません、私の力(お金)では無理ですので、近場になります事をお許し下さい。で何時行きましょう?」
今からだと現地に着いたら、直ぐにでも夜だ。夏の陽射しは当然無い。次の休日まで待ってもらうしかないな。
「あーユーカナーサリー、次の土曜日か日曜日までお待ち下さい。こちらの時間ですと三日後になります」
お待ち頂けるのだろうか?
「トキヒコさん、海に行かれるのでしたら、さくらの水着を買って下さい」
もちろん、もちろん!
「ユーカナーサリー、海に行き、海水浴を体験なさるのでしたら、水着は必須です。先ずは水着を用意しましょう。水着を買いに行きましょう」
女王様は、どんな水着をお選びになるのだろう。これは楽しみだ。
「トキヒコ殿、しかし我はそろそろ暇せねば成らん」
う~ん、今からは無理か。いつもより遅い時間だもんな。
あれ?私に『海に連れて行け』と言いたかったから、いつもよりも遅いの?
「リーザ、明日にでも、女王様とさくらの水着を買っておいでよ。もちろんリーザの分も」
リーザのビキニはまだまだ着れると思うけど、3、4年前の物だ。でもリーザの見た目のスタイル、プロポーションは、、、変わって無い。一児の母となっても。
「本当ですかー、私のモノまでよろしいのですか!」
「もちろん。あ、でもどうやってお店まで行こう?」
リーザは車に乗れない(免許証を持って無い)し、電車で女王様を買い物に連れ出すのも何だし。ここで空間を『渡る』術を使って誰かに見られたら、それこそ大事になっちゃうだろうし、、、う~ん。
「リーザ、ネットだ、インターネットショッピングをすればいい」
まぁ、試着が出来ない分、サイズがビシッと来るかは分からないけど。
「そうですね、そうしましょう。ユーカナーサリー、明日もしくは近々にお越し下さい。水着を選ばれる事をご一緒させて下さい」
「うむうむ、そうか。何事にも準備は必須故、怠るなかれ。されど、こう、何やら楽しみ事を持ち、翌日等に引き延ばし、その時を待つと言う行為、なかなかに、なかなかに良いぞ」
ん?ちょっとエルフっぽく無きもするお考え?まあ、女王様は特別だ。
痛たたたた、、、、。
エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーは、自身の持つその魔術で『繋ぎ』帰って行った。
ではでは、さくらの水着を見てみましょー!
「リーザ、さくらの水着はどんなのがいいかなぁ」
女児の水着って、ヒラヒラの付いた可愛いやつか。
「さくら、おいで~」
リーザとさくらと三人して、パソコンの画面を覗き込む。
「さくら、どんな水着がいい?」
「う~ん、うん」
さくらはピンと来てないか。でも、何か新しい事を感じて、ウキウキしているのが伝わって来る!
ショッピングサイトを見ると、、、もう決められない。色が柄が形が種類が多過ぎる!
「リーザ、これ、選べられる?ちょっと多過ぎて、目移り以前に呆れちゃう程だよ」
「そうですね~トキヒコさん、私の水着を選ばれた時の様に色から選択を絞られたら如何でしょう」
色かぁ~、確かに。
「さくら、何色が好きなの?」
「あか、あお、ピンク。ミドリ、キイロ、ムラサキいろ。シロ、クロ、ちゃいろ。すみれいろ、わかくさいろ、えびちゃいろ。コバルトブルーのコバルトは合金の材料、エメラルドグリーンはママの瞳のいろ。ぜんぶ好き」
さくらは3歳児としては賢い。親バカと言われても構わないのだが、自分が持つ3歳児のイメージより大きく先に行ってる感じを受ける。それは理解力や反応を見ていると凄く感じる。エルフのリーザから受け継がれた血なのか?
「さくら多いな、全部か。リーザ、さくらは何色の水着が似合うと思う?」
「子供用の水着は、どれも明るい色が多く、とても良いですね。さくらは女の子ですので、赤、オレンジ、ピンク等の暖色系の色がよろしいのではないでしょうか?」
確かに、女の子が好むとされる色がいいかも。でもでも、青やミドリも可愛いいいかも。実際に可愛らしい水着がパソコンの画面に映し出されている。
しかし、やはりその種類の数は追いきれない程、多種多様だ。
「ピンクは桜のイメージが有るから、さくらの色かな。でも、黄色はどうだろう」
「きいろ~!」
「トキヒコさん、何故黄色なのでしょう?」
「うん、黄色は目立つだろうから、海水浴場が混雑していて、さくらの事を見失いそうになっても、直ぐに見付けられるかな、と思って」
まぁ、リーザが居れば例えさくらを見失なったとしても、『術』を使うなりして、瞬時に解決するだろう。
「そのような考えには至りませんでした。トキヒコさん、流石です」
いやいや、そんなに感心される程の事では無いのだけど。
「さくら、黄色にしましょう。良いですか?」
「うん!」
さくらの水着は黄色のモノで、胸元と腰の周囲に白いヒラヒラの付いた可愛いやつに決まった。
「ふんふんふ~ん」
と鼻歌交じりにリーザがメジャーを手にやって来た。すごく機嫌が良さそう。
「では、続いて私のですね!」
パソコンの画面を覗いていたと思ったが、リーザはすっと立ち上がり服を脱ぎ出した。
「わわ、リーザストップ。どうしたの突然?」
もう上半身はブラジャー姿だ。
「ええトキヒコさん、何か問題か?」
「いや、突然服を脱ぎ出したからビックリした。水着選びは裸にでもなって行う風習が?」
「いやですわトキヒコさん。こちらに成人女性の水着の選択に関しての案内が有ります。先程さくらの水着を選ぶ際に記載に気付きました。身体のサイズを測る事から始められるようですので。特にバストサイズです。トキヒコさん、測って下さい」
リーザにメジャーを差し出された。
ああ、確か以前にリーザの水着を買いに行った時に、定員さんにそんな説明を受けたっけ。忘れていたよ。
リーザのオッパイは少し大き目で形の良い、自慢のオッパイだ!(誰に自慢?)
「でもリーザ、リーザの水着選びはもう少し後からにしない?せめてさくらが寝てから」
ここで服を脱がれて、裸になられちゃったら私が色々と保ちません。
リーザ、何か察してくれたみたい。
「そうですね、そうしましょう」
意味深なほほ笑みを向けてくれた。
「さくら、お風呂に入りますよ。今日は遅くなってしまいました」




