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ハーフエルフの父  作者: タマツ 左衛門


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さくら日記 10歳 冬休み 自由とは

さくらがエルフの里国で行った冒険の3日目。今日家に帰る。

名残惜しいけど、、、また、来る。お父さんとママにはお願いする。

「おじいちゃん、おばあちゃん、色々とありがとうございました。また来るよ。今度は皆で来るよ。それまで、ちょっとお別れ」

さくらは泣き出してしまった。


トゥクルトッドドゥーの『ウメ』跨ぎ、乗せてもらうと、エルフの王宮を目指し出発した。

ホーリョンの里とピェッチュリークの里とに挟まれる深い森。

カスズタンとゾタッヅはひとりで森の中に入っちゃダメだって言ってたけど、ウメが一緒だもんね。

「あ、おーい、また来るよ!そしてまた会おう。あの泉にも連れて行ってよ~!」

少し離れた所にカスズタンビエガックとゾタッヅビエガックの兄弟が見送ってくれてる。

さくらが手を振ると、ゾタッヅビエガックはブンブンと手を振り返してる。カスズタンビエガックも弟に倣い手を振ってくれている。

「また来るよ、必ずね」


「女王様、ただいま戻りました。ウメをありがとうございました」

「うむ、さくらよ一人として向かう、ホーリョンの里は如何なる場であったか」

「はい、とてもいい所でした。すぐにまた行きます。あ、でも今度はお父さんとママと一緒かも知れません。それと夜の森で助けて頂き、ありがとうございました」

あの夜は女王様にお礼が言えて無かった。後の方は覚えて無いし。

「うむ、ホーリョンの里がさくらにとって、第二の里と成るが良いか」

「はい!」

あの日あの夜、女王様が来て下されなかったら、どうなっちゃったんだろう。

でも、女王様は来くれた。カスズタンビエガックとゾタッヅビエガックの兄弟を助けてくれた。そして私の事も、、、。

「リーザが家で待っておるぞ」

「はい!」


王宮を離れ、リーザの家に向かう。

母リーザは家の外、入口前に立つ姿が見えた。

「ママー!」

母の姿が見えたさくらは、全力疾走で母に向かった。

「ママ、ただいま。すごい、すごい事がいっぱいあったよ!」

母リーザは優しい顔をさくらに向ける。

(この子は何を体験し、何を学んだのでしょう)

リーザは『開く』事により、さくらの表層にある意識や思いを詮索などしない。さくらが何を思ったのか、考えた事を自分の言葉で話してくれるのを待つ。

エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーからは、少しの報告は受けていたが。

「さくら、お帰りなさい。さあ、中に入りましょう」


リーザのエルフの王より与えられている家屋の中は、生活感の感じられない殺風景なモノであった。

しかしトキヒコと出会い、妻となり、母となり、その生活形態や生活習慣も大きく変わり、この家屋でも少しの調理相当の設備と道具が揃えられていた。

「さくら、よくぞ無事に戻りました。母は嬉しいですよ」

母リーザは娘の元気な姿を見、嬉しかったし、一人で2日の時間を過ごした娘にも誇りを持った。

「うん。でもママ大袈裟だねぇ」

「母親とはその様なモノです」

「はい」

さくらも母リーザとの再会は、なによりも嬉しかった。


「ところでさくら、私からの冬休みと宿題となります『自由』とは何でしたのでしょう。何か分かりましたか、何か気付きが有りましたか。」

さくらは、今を含めたこの3日間を振り返った。

短い間であったかも知れない。でも、多くの体験多くの冒険をした。満足と充実感があった。

そしてピュッチュリークの兄弟、女王ユーカナーサリーの事を思った。

「自由は、、、多くを学び、多く知り、“力”を持つ者が手に出来るモノです」

「さくらの言う、その“力”とは何でしょう。」

女王ユーカナーサリーの事を想った。

「強く、優しく、カッコいい事です。」

女王様ぐらいお力をお持ちなら、何でも自由なんだろうなぁ

「50点ぐらいですかね。」

ええ~

「さくら、『自由』とは、実は答えの無い、答えの出せない事象かも知れません。」

ええ~、答えが無いのに50点って、、、

「さくら、一緒に考えて見ましょう。」

「はい」

ママが分からない『自由』って、、、実は何なんだろう?


「実はですね、私も含めたエルフは、『自由』と成る言葉としての概念を持ちません。ですのでこれは、さくらに謝らなければなりません。しかし私も多くを学びました。」

ママも勉強するのか〜

「大衆的な考えとして『自由』とは、誰にも何にも拘束・強制・支配されず、咎められず。自身の思うがまま、自身の意思や本性によって行動する事です。

ですが他者から見て、自分勝手な行いや振る舞い、自分勝手な言動と捉えられる事も、当の本人は自由と言う意識下での行動かも知れません。多くの者と共同生活を送る中で、自身の評価は他者が行う事となります。

ですので、人が変われば、見方が変われば『自由』の範囲や範疇、その意味、本質や根拠、定義も変わります。

一概に『自由』と言っても、実は難しいモノですね。」

(「ママ~、ママが難し過ぎるよ~」)

「ですが、私たちが求める自由とは違います」


「また私たちは、日本の社会であれエルフの里国であれ、それぞれの中で生活を送り暮らしてます。ですので、自身の自由が誰かの不自由を生み出してしまう事も有ります」

不自由が自由から出てくる、、、

「ですが、周囲を配慮する余りに、自身の自由を自らが奪ってしまうのも、違うと思います」

「『不自由』とは『自由』の対義語ともなります。よって自由の有る処には不自由が存在してしまう事に対して、留意、、、注意せねば成りません」

「制約が有る中で得られる自由が本質なのか、何も制約の掛からない事が自由なのか、、、考えると、やはり『自由』とは、難しいモノですね。私も問われられたら、正しく答えられないかも知れません。」

(ママも50点?)


「トキヒコさんはさくら、あなたに自由でいて欲しいとおっしゃってます。」

(うん!)

「ここ(エルフの里国)には我が王が居ます。そして向こう(日本社会)にはトキヒコさんが居ます。ですので私とさくらは自由を求め自由で居られるのです。恵まれています。」

(自由は求めるモノなのか、、、)

「トキヒコさんは言います。『困った時はオレに言え』と、、、根拠が無いのが、玉に瑕なんですが、、、ですが、だからこそ、私とさくらは自由を求められるのです。困った事、困った時が来ても、守られている私たちは進めるのです」

お父さんが、『自由』というモノの道を作ってくれるのかなぁ

「それと余談となりますが、トキヒコさんは『お金以外の事』と付け足されます。ですから、お金の事は私に言いなさい。私も多くを学びました。金銭を得る手段も学びました。ですので、いざ、となりましたら何とかします」

(「あっ、少しお父さんぽい。」)


「うん、、、はい!分かったような、分からないですが、自由を望み求め、どうしたら自由でいられるか考え、いつかママにその答えを教えます!」

「はい、さくら。教えて下さい。いつの日にか」

「うん!」

、、、50点かぁ



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