対決の結末
まず先陣を切ってきたのは、ミリアだった。剣を構えつつ俺に向かって突進し、斬りかかってくる......と思ったんだが、なぜか俺の寸分手前で突如ミリアは横にステップした。
「何だ?急に横に......っておわっ!?」
ミリアの謎の行動に疑問を抱いていた俺に、一つの槍が襲いかかってきていた。俺は慌てて状況を整理してみたところ、どうやらミリアの後ろに槍を持ったカーズが控えていたらしく、ミリアが横にステップをするのと同時に俺に攻撃をするという流れだったみたいだ。
「ちっ......躱されたか......やっぱこの程度じゃ無理か...」
「いい連携だね。俺も少し危なかったし、もうちょっとでやられるとこだったよ......」
「へっ、いいのかよ?そんな余裕かましてて!」
「へ?......!?」
カーズのその笑みに一瞬嫌な予感が走った俺は、とっさに体をかがめた。そしてその数瞬後に、さっきまで俺の体があった場所にミリアの剣が一閃した。いつの間にかミリアが俺の背後にまわって来ていたんだ。
「くっ......これもダメですか!」
「あ......あっぶな......。さっきの一瞬で背後に回ったのかよ......」
「ええ、セレン様がカーズさんとお話になられてる際に...ですが、それも見破られてしまったようですがね......」
ミリアの言う通り、確かに2人の攻撃は躱したが、正直言って紙一重だった。いくら【身体強化】や【神の眼】を使って無いとはいえ、ここまでされたのは初めてだった。ならスキルを使えばいいじゃんって話なんだが、それだと何だかフェアじゃ無い気がして、今回は使わないことにしてる。それでもここまでされたんだ。その現実に俺は久々に少し気分が乗って来ていた。
「ですが!これだけではありません!」
「くらえ!!!」
2人がそう言って後ろに下がるのと同時に、今度は左右から他のみんなが数えるのも面倒なくらいの魔法を放って来た。......どうやら俺は誘い込まれたみたいだった。
「この連携......一朝一夕でできることじゃない。みんな相当練習したんだな......」
それだけこの連携が息ぴったりだったんだ。まるで全員の心が一つになってると錯覚するほどに。
「面白い!【火炎】!【風牙流】!」
俺は左右に向かって炎と風の中級魔法を放った。なぜ初級では無いのかと言うと、初級魔法ではこれだけ多くの魔法を相殺することは出来なさそうだったからだ。
「ぐっ......なんて威力......」
「私たちの魔法を一瞬で......」
あれだけ放たれた魔法も、俺の魔法によって全て打ち消された。撃った本人達も魔法がぶつかった時に生じた衝撃波によって盛大に吹き飛ばされてしまい、立ち上がることもできなくなってしまっていた。これで残るはーーー
「あとはお前らだけだな」
「セレン!私たちの必勝の戦法!味合わせてやるからね!みんな!準備はいい?」
「おう!」
「ああ!」
「もちろん!」
「う...うん!」
「やるか!」
「これで最後です!」
ルナの檄にみんなは奮起する。ルナ、ミリア、トラン、ローレン、カーズ、ナルメア、デールが俺を倒すべく、一斉に臨戦態勢に入った。......なんかこれって俺が悪者みたいになってる気がするんだが気のせいかな?
「みんな〜〜......ゴーー!!!」
そんな呑気なことを考えてる間に、みんなは俺に向かって突撃して来た。いや、正確には”俺の周り”に向かって突撃して来た。そして、瞬く間に俺はルナ以外の6人に囲まれてしまった。
「......何する気だ?」
「状況見てわかんないか?袋叩きだ!」
「いや......そんな自信満々に言われても......」
「問答無用!!いくぞみんなー!!!」
「「「「「おおおっ!!!」」」」
カーズの合図とともに、みんなが俺を囲みつつ攻撃を仕掛けて来た。さすがにこれでは多勢に無勢だ。そう判断した俺はとりあえずこの魔法を使った。
「【防御】!」
障壁魔法の初級魔法、【防御】。普段はあまり使わないが、こう言った囲まれた状況では有効な手なんだ。実際、嵐のように繰り出されるみんなの攻撃を防いでくれている。この間に体制を立てなおそうと俺はするが、その刹那......みんながニヤリと笑ったのを俺は捉えた......いや、捉えてしまった......。
「ルナ!今だ!!!」
「よ〜〜っし!!!いっくよ〜〜!!!はぁぁ〜〜〜〜......」
ローレンの合図の元、今まで攻撃に参加して無かったルナがついに動いた。なるほどな......これが狙いだったか。つまりみんなは俺を身動きできないようにするためにこの攻撃を仕掛けて来たんだ。そして俺が障壁魔法を使うのと同時にルナがその魔法をも破壊するほどの魔法を放つ!それがルナの言ってた必勝パターンなんだろう。
......ん?でも待てよ?あの魔力量からしてルナが撃とうしてるのは恐らく......上級魔法。多分超級魔法を撃たないのは訓練場が持たないと判断したからだろう。それは良いんだが、そんな魔法を今撃ったら......。
「ルナ待て!今そんな魔法撃ったら俺はともかくみんなが!!」
「そんなことわかってるよ!でもそれはみんな承知の上だから!だから遠慮なくいかせてもらうよ〜〜!!」
「お、おい馬鹿!!」
必死にルナを止めようとするが、ルナは聞く耳持たない。そもそもみんなも承知してるってどう言うことだ!?あれをまともに食らったら無事じゃ済まないぞ!?
「いっけ〜〜!!!【暴風】!!」
「ちっ......【防御・中】!!」
ルナから放たれた【暴風】は俺の周りにいるみんなもろとも巻き込む勢いで威力を増して迫って来た。このままでは皆んなが危ない。そう思った俺は、みんながその魔法に呆気に取られてるうちに俺は自分の障壁魔法を解き、すぐさま【防御・中】をみんなの周りに設置した。この魔法は上級までの魔法であれば耐え凌ぐことが出来るほどの頑丈さを持っている。だから例えルナの魔法であっても問題は無かった。
「ふぅ......みんな大丈夫か?」
ルナの魔法がようやく落ち着き、風が止んだところで障壁魔法を解き。みんなの安否を確かめた。見たところみんなに怪我はなさそうだった。
「ああ、大丈夫だ」
「問題ない」
「少し...不安だったけどね」
「私もだよ〜......」
「あの威力の魔法を見ちゃったらな〜......」
よし、とりあえず皆んな大丈夫そうだな。あとはミリアだけ......と思ったんだが、なぜかミリアの姿が無かった。あれ?と思った時だったーーー
(ポカッ)
「いてっ!?」
後ろから軽い衝撃が俺の頭に走った。何だ?と振り返ってみるとそこにいたのは、剣を俺の頭に振り下ろした状態の姿のミリアだった。
「な......何すんだよミリア......。せっかく助けたのにそんな仕打ちありなのか?」
「ふふ......ごめんなさいね?でも、こうでもしないとセレン様には勝てないと思いましたので......」
「へ?あ......」
俺はこの試合のルールを振り返ってみた。この試合、俺に一撃でも浴びせられたらみんなの勝ち。そして今俺は形はどうであれ、ミリアに一撃入れられてしまったんだ。ということはーーー
「つまり......」
「今回は私たちの勝ちだね!!やったーー!!!みんな〜〜セレンに勝ったよー!!!」
「「「「やったーー!!!!」」」」
俺に勝ったと知った他のみんなは、大喜びしながらルナ達のもとに駆け寄っていった。......ったく、そういうことか。
「みんな......俺がみんなのこと守るって分かってたろ?」
「当たり前じゃん!そうじゃ無かったらこんなことしないよ!セレンだからできた必勝パターンだよ!」
「ミリアもミリアだ。お前は王女なんだぞ?もう少し自分の身を案じろって......」
「そうですが、何となく楽しそうでしたしセレン様に初めて勝てる気がしましたので乗っかってみたんです」
「はぁ〜〜......まったく......」
俺がみんなを守ることを察して、その隙に一本取るなんてなんて危ない戦法をするんだか......。まぁ、誰も怪我してないから結果オーライなんだけど。
「でも、今後はこんな危ないことはやめろよ?」
「「「「「「はーーい!!!」」」」」」
かくして、俺とSクラスの対決は無事?Sクラスの勝利で終わった。後日からエノルド学園のみんなは、前のように見学してても馬鹿にすることはなく気軽に接してもらえるようになった。とりあえず、これで学院間での対立もなくなりそうだ。
とにかく解決してよかったな!
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