ルスミスへの道のり②
盗賊と一悶着あった翌朝、案の定氷漬けになった盗賊達を発見した副団長さん達は疑問を抱いていた。なぜ盗賊がいたのかよりも、誰がこいつらをこんな状態にしたのかの方に疑問を抱いてるみたいだが。もちろんそれは俺です!と挙手する気は毛頭ないため、そのことについては関わらないことにした。結局答えが出ないまま、副団長さん達はその場で盗賊達を処断した。あ〜、俺が生かしておいても意味無かったな......。
「で?結局あれはセレンがやったの?」
盗賊達を処断し、再びルスミスに向けて出発した馬車の中で、ルナが小声で俺にそう聞いてきた。
「まあな。あのまま放置してたらみんなに危害が出てたろうし...」
「む〜、私も起こしてくれればよかったのに!」
「お前は起こしても絶対に起きないだろうが......」
前に一度、ルナを起こしにいったことがあったんだが、あまりにも起きなかったため、少し魔法を使って起こそうとしたんだがそれでもルナはぴくりとも起きなかったんだよな...。もはや死んでるんじゃないか?ってぐらいの寝つき度だったな...。
そんな話をルナとしていると、ローレンが少し首を回しながらゆっくりと話し始めた。
「しっかし暇だよな?こんだけずっと馬車の中にいると体が鈍ってしょうがないぜ...そもそもなんで俺たちって留学に行くんだっけか?」
「他国の教育方法や授業、武術、魔法を学ぶためだよ。バララニアとルスミスは確かに親交が深くて学園の方針も同じ。だけど、全部が全部同じってわけじゃないんだ。バララニアにはバララニアの、ルスミスにはルスミス独自のやり方だあるんだ。だから僕たちに求められているのは、そのルスミス独自のやり方を学んで自分の将来のために役立てることだと思うんだ」
トランの言っていることは正論だと思う。確かに言って何も会得しないとただの無駄足で終わることになってしまう。それだけはなんとしても避けなくちゃならない。何かしらは得るもん得とかないとな。
「そう言えば姉貴から聞いたんだけどよ?向こうの授業に参加して少し経つと、向こうの生徒と模擬戦をやらされるらしいぞ?」
「「「「「模擬戦?」」」」」
俺たちはデールの言った模擬戦の意味がわからず聞き返していた。
「ああ、親睦を深めるって意味もあるらしいけど、お互いの国の武術と魔法がどれだけ進んでいるかを測るためにするって意味も込められてるらしいんだ」
「へ〜、なんか楽しそう!」
「う〜ん......でも相手が誰かもわからないから少し怖いかも......」
模擬戦に対してはそれぞれ反応が違うみたいだな。俺はどっちかっていうとルナに近いかな?
「あっちでも何かしら問題が起きそうな予感しかしないな......」
「それが起きないことを祈るんだな......」
結果として、この予感は当たることになるんだが、この時の俺たちはそのことを知る由もなかった。
長かった馬車移動も残すはラスト1日になった。森も無事に抜け、あとは道なりに進むだけとなっていた。
「本当に長かったな......違う意味で疲れたわ」
「でももう時期着くし、もう少しの辛抱だろ」
「そうだなぁ〜......って、なんだあれ?」
俺が目にしたのは、道のすぐ横の草原でぐっすり寝息を立てている”黒い”ドラゴンの姿だった。大きさは20mと言ったところか?全身が黒い鱗で覆われていて長い爪が印象的だ。バララニアの付近では見慣れないドラゴンだな。
「あんなドラゴン見たことないよ?」
「多分この地域にしか生息してないんだと思うよ...。でも、困ったね...」
「うん......起きちゃったら大変なことになっちゃうよ......」
確かにあいつを起こしちまうと面倒になるな...。副団長さん達もさっきから一向に前に進まないでどうするか考えてるみたいだし......。
「副団長!どうしますか?」
「奴を起こすと生徒に被害が出る危険性がある。ここは少し迂回して進むぞ」
副団長の提案により、俺たちは少し道から外れ、ドラゴンから距離をとって進むことになった。これなら問題なく通過できるだろう......そう思っていた。Cランクの魔物のクランウルフがドラゴンに激突するまでは......。
「......グルッ?」
突然の衝撃に驚いたのか、運悪くドラゴンは目が覚めてしまった......。うん......これは......まずいね。
「グルルァァァ〜〜〜〜〜!!!!!!」
ドラゴンは寝ているところを邪魔され腹を立てたのか、口から炎を出してあちこちに放ちまくっていた。
「こ、これはまずい!全員!隊列をくめ!!生徒達、特に殿下には指一本触れさすな!」
「「「おおお!!!」」」
副団長さんの掛け声とともに隊列を組んだ兵士さん達だったが、ドラゴンはそんなの気にもせずに、暴れまくっていた。
「く......なんてデカさだ......。それにこの威圧感。このドラゴン...S級の魔物か!?」
「副団長!S級の魔物ですと我々だけで対処は......」
「わかっている!ともかく今はなんとかこの場から離れるぞ!まずは足止めだ!行くぞ!!」
そう叫びながら副団長さんはドラゴンに向かって行った。ドラゴンは副団長さんが向かってきてることに気づくと、副団長さんに向かってブレスを放った。
「そんな攻撃...当たらんぞ!」
副団長さんは華麗なステップでブレスを交わし、その勢いのままドラゴンに向かって斬りかかった。だが、その剣はドラゴンの鱗によってはじき返されてしまっていた。あれを見る限り、相当硬いな...あの鱗。
「ぐ...硬すぎる......!?」
次の瞬間、ドラゴンの太い尻尾が副団長さんを襲った。斬りかかるために飛び上がっていた副団長さんは、空中では避けることもできず、その尻尾の攻撃をまともに受けてしまった。
「副団長!!」
「お......俺のことはいい!それよりもお前達は生徒達を守れ......」
あの様子だと、副団長さんはしばらく立ち上がれそうにない。馬車の中から戦況を見守ってた俺から見ると、正直言うと、結構やばい感じだよね?これ...。
「副団長がやられた!...まずいんじゃないかこれ...?」
「あのドラゴン......まさかここまでとはね......」
「こ......怖いよ...私たち、食べられちゃうの?」
「だ...大丈夫だ!きっとなんとかなる!なんとか......」
みんな怯え切っている。このままルスミスに辿り着けなくて全滅なんてあり得ないだろ!......しょうがない。
「......ルナ、行くぞ」
「はいはい!待ってました〜!」
俺は静かにルナに声をかけた。もうこうなった以上戦えるのは俺とルナの他いない。ここで行かないでいつ行くんだって話だ。
「2人とも?何を......」
「ちょっと待ってろ。すぐに退治してくるから」
まだ何かいいたそうなみんなを馬車の中に残し、俺とルナは馬車の外に飛び出した。
「副団長さん!助太刀します!」
「な!?何をやっている!危ない真似はよすんだ!早く馬車にもどれ!」
「大丈夫大丈夫!セレン!行くよー!」
「ああ!」
副団長さんの言葉を無視して、俺たちはドラゴンに向かって攻撃を開始した。いつも通り俺とルナは【身体強化・上】を使って肉体を強化し、ルナは【魔力解放】、俺は【剣術強化・上】を使って自分の能力をあげた。
「行くぞ!(確か鱗がめちゃくちゃ硬いんだったな...)だったら!【雷の技・二の斬・一閃突き】!!」
雷の力を宿した【斬滅剣】を構え、剣先にありったけの力を込めた全力の一撃をドラゴンにお見舞いした。俺の渾身の突きはドラゴンの腹部を貫き、貫いた穴は少し焦げ臭い匂いを放っていた。まるで雷が直撃したように。この技は硬い表面を持つ魔物に有効とされている技だ。一点に力を集中させるため、その威力は絶大なもので、おまけに身体強化状態の脚力と筋力もプラスに働いていたため、その一撃は大概の魔物であれば簡単に貫くことができると前に【剣神】のエリさんに言われたけど、実際その通りだったな。
腹部に風穴を開けさせられたドラゴンは、大きく呻き声をあげた。
「な!?あの硬い鱗を貫くだと!?君は一体......」
副団長さんや他の兵士さん達は何が起こったのか理解が追いついてないみたいだった。
「さて......いよいよ使うよ!!いっくよ〜!!【竜巻烈風】!!!」
呻き声を上げているドラゴンに追い討ちをかけるようにルナは、最近習得した超級魔法【竜巻烈風】を詠唱した。巨大な竜巻が3つ現れ、それらがドラゴンを包み込んでいった。その中から、何やらドラゴンの呻き声とも取れ、叫び声とも取れる声が響いてきた。
そして、竜巻がやんだ頃にはドラゴンな見るも無残な姿でその場に倒れ伏していた。翼はボロボロ、爪も剥がれ落ち、鱗も所々剥がれ落ちていた。......相変わらずすごい威力だなこれ...。
「......」
とりあえず終わったと、副団長さんに伝えようとしたけど、副団長さんは口を開けたままポカーンとしていた。あ、そういえば倒した後のこと考えてなかったな......。なんて説明しよう...。
対応に困っていた俺たちだったが、そのうち、副団長さんが口を開いた。
「今回のことはまた後で詳しく話をさせてもらいたい。とにかく、生徒達を守って貰って感謝する...ありがとう」
「「どういたしまして!」」
後で説明するのがなんとなく怖いけど、とにかく無事にドラゴンを倒した俺たちは再びルスミスに向けて出発した。ルスミスはもう目前だ!
【この小説を見てくれた読者さんへ】
見てくれてありがとうございます!
この小説が面白い!楽しい!
そう思ったら下の【☆☆☆☆☆】から評価をお願いします!
逆につまんない!楽しくない!という方も
下の【☆☆☆☆☆】から評価をお願いします!
皆さんのご期待に応えられるよう頑張りますので何卒
よろしくお願いします!




