ルスミスに向けて
無事にワイルドベアーを倒した後、俺たちは冒険者ギルドに戻ってきた。
「あ、2人とも。お疲れ様。もうクエスト達成してきたの?」
「はい。とりあえず素材出しますね」
そう言って懐から隻眼のワイルドベアーの爪と牙の一部を出し、カウンターに置いた。
「確かに。じゃあ、これが報酬ね」
「すごーい!金貨がたくさん!これって全部で何枚あるの?」
「金貨100枚よ。Sランクのクエストならそれくらい当たり前よ?それにしても、相変わらず2人はすごいわね〜。とても10歳の子供とは見えない」
「......よく言われます」
自分でも思ってるぐらいだからな。10歳の子供がSランクのクエストを達成してるだなんてみてもいない限り誰も信用しないだろう。だが、今この場にいる冒険者たちはその光景を目撃しているため、信用せざるを得なかった。俺たちが金貨を受け取ってるのを見てはーーー
「またあいつらだ......」「あんなガキどもがなんで......」「でも腕は確かみたいだぞ?」
などと小声で言い合っていた。中にはーーー
「さすが、【白銀の剣鬼】と【深紅の魔女】だな。相変わらずすげーぜ!」
と、ここ最近言われるようになった俺たちの2つ名を叫ぶ冒険者もいた。っていうか言ったのってーーー
「......イレンさん。そんな大声でその名を叫ばないでください。すっごく恥ずかしいんで......」
ここの冒険者のイレンさんだった。この人とは以前クエスト勝負をしたことがあり、それに勝って実力を認められてからは気軽に接するほどの仲になった。前まではCランクだったが、今ではBランクになってる。
「いいじゃない!私はその名前好きだよ!」
「お前のはまだいいけど、俺なんて”剣鬼”なんてついてるんだぞ?俺別に鬼じゃないし......」
2つ名をつけられるのは別に構わないが、だからと言ってどんな名前でもいいってわけじゃない。剣鬼なんて名前、俺には全くと言っていいほど似合ってない。......多分。
「まあいいじゃねーか。とにかくSランクのクエストを達成したんだってな。お前らもそろそろSランクになってもいいんじゃねーか?」
「確かに......ベンさん。Sランク昇格の条件ってどんな物なんですか?」
「Sランク昇格にはSランクのクエストを2回達成すればSランクに昇格よ。つまり2人はあと一回Sランクのクエストを受けて達成すればSランクに昇格するわよ」
「もうすぐじゃん!セレン!すぐにまた受けに行こ!」
Sランク昇格がもう時期と知ってテンションが高くなったルナだったが、それはまだ少し先のことになりそうだ。なぜならーーー
「すぐには無理だぞ?俺たちもうすぐ”留学”が始まるし......」
「あれ?そうだっけ?」
「いや......今朝先生から説明あったろ?」
ルナのこの様子だと先生の話は全く聞いてなかったんだな...。
留学については今朝先生から説明があった。留学先はルスミス王国。この王都バララニアと同じく歴史ある王国であり、古くからバララニアとルスミスは親交があるらしい。また、国王同士も仲がよく、よくお互いの国の状況や治安、政治等の情報交換なども頻繁にしているらしい。
そんなルスミス王国に留学に行くのは3日後。Sクラス20人を連れて、1週間程の時間をかけてルスミスに向かうらしい。道中は騎士団の副団長さんが率いる騎士団が護衛をしてくれるため、安全は確保されてるらしい。正直俺やルナはいらない気がするが、この際だからありがたく護衛されておこうと思っている。
滞在期間は1ヶ月。その中でルスミスの授業を体験し、自分の糧にすることが今回の留学の目的。これが朝、先生に説明されたこと全てだ。だから、今は準備に忙しいため冒険者でクエストをしている暇はないんだ。
「そっか〜。残念...」
「そう落ち込むなって!おめーらはまだ全然若いんだから地道にやってけよ!また次の機会にやりな!それじゃ、俺は帰るな!」
イレンさんは言いたいことが言え満足したのか、満面の笑みを浮かべたまま、冒険者ギルドを後にして行った。俺たちも時間が時間のため、報酬を受け取り、寮に帰った。報酬の金貨100枚は半分ずつ分けた。
3日後、俺たちSクラスはルスミスに留学に行くため、城門の前に集まっていた。先生が各自持ち物のチェックや、点呼、事前注意などをした後、副団長さんが挨拶に来た。
「みんなおはよう!俺はバララニア王国騎士団副団長セル・ブラッドだ。道中は俺たち騎士団がしっかりと守っているため、みなは安心していてもらって構わない。今回の留学で皆が素晴らしい経験ができることを祈っている、以上だ」
副団長さんの挨拶の後、俺は一応もう一度荷物を確認しておいた。今回は護身用として武器を持つことを許されたため、俺は【斬滅剣】を持ってきている。後は、適当な筆記用具と雨具等だろうか。うん、問題ないな。
「ではそろそろ出発します。皆さんそれぞれ馬車に乗ってください」
移動は無論馬車だ。俺は走って行ったほうが早いんだがこの際気にしないことにした。馬車の乗員は自由だったため、いつものメンバー、俺、ルナ、トラン、ローレン、ナルメア、デールの6人で乗ることにした。ミリアに関しては専用の馬車があるため、そっちに乗ることになったらしい。見ると、ミリアの乗る馬車の周りにはやたら多い護衛がついていた。まぁ、王女なんだからそのくらい当然だよな。
そうこうしてるうちに、馬車が動き出した。これから1週間の馬車の旅が始まるんだな......。
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