予想外の強さ
「さて、あの3人はどこかな〜っと」
王都に戻ってきたばかりなのに、3人の様子を見てくるがためにもう一度外に出る事になった俺は、広範囲探知を発動しながら3人を探していた。
「ゴブリンキングはこの周辺にもいるからそんな遠くには行ってないと思うけど......っと反応出たな。あっちか...」
少し周辺を探索してると、3人の気配が広範囲探知に引っかかった。そして、ゴブリンキングとも考えられる魔物の反応もだ。ここからはそれほど遠くない距離だったから、すぐに着く事ができるだろう。そう思いながら、身体強化をしてその場所に向かう俺だった。
「お、いたいた。ちょうど戦ってる最中だな。見たところ......3人とも劣勢だな...」
3人が戦ってる場所についた俺は早速状況を整理した。その場にいたのはさっきほどの3人の冒険者の人たちと、ゴブリンキングだった。3人の様子を見るに、すでに息を切らしていた。相当、戦ってたんだろう。にも関わらずゴブリンキングの体には傷一つ無く、平然と立っていた。だから俺はさっき3人は劣勢だと言ったんだ。
「まぁ、危なそうだったら助けるでいいかな?とりあえず様子を見てみよう」
とりあえず静観を決めた俺は物陰から戦況を静かに見つめていた。
ーーView Change リリナーー
時は少し遡って、クエスト受注をした時ーーー
「イレン、本当に大丈夫なの?私たち、ゴブリンキングなんて倒した事ないでしょ?それにゴブリンキングって難関とも言われてる魔物なんだよ?Cランクになったばかりの私たちじゃ...」
「大丈夫だって!俺たちならどんな魔物が来たって負けやしねーよ!それにあのガキもこのクエストを受けたんだぜ?ここで格の違いを見せつけてこの世界の厳しさを教えてやりてーのよ!」
「でも......」
「リリナ、こうなった以上受けるしかないよ。大丈夫さ。イレンの言った通り何とかなる」
私はずっとこの勝負はやめておいた方がいいと思っていた。どちらも特にはならないから。無駄に争って命を粗末にするのはおかしい。それを訴えているつもりなんだけど、全く通じてない。こうなってしまった以上、私たちも参加せざるを得ない。あんな私たちよりも小さい子もやると言ってるんだからやらないわけにはいかない。
そう決め、私たちはゴブリンキングを討伐するために王都の外に出た。
「いた!あいつだ!」
外に出て数十分、ようやく私たちはゴブリンキングを見つけた。藍色のボディをした人型の魔物だ。体調はそれぞれ違うらしいけど、こいつは体調5メートルってとこかな?
「先手必勝!さっさと倒して勝負決めちまおうぜ!」
「お、おいイレン!?待て!」
「イレン!!」
イレンがいきなりゴブリンキングに向かって行った。確かに勝負なのだから早めに倒すに越したことはないけど、それでも一度も戦ったことのない、ましてやゴブリンキングを相手にいきなり突っ込むのは危険すぎる!私とザクは必死にイレンを呼び止めたが時すでに遅しだった...。
「でやあぁぁーー!!(ガキッ)」
イレンが一閃した大剣は、ゴブリンキングの足元に炸裂したが、鈍い音を立てるだけでゴブリンキングの足はほぼ無傷だった。
「な、なに!?お、俺の剣が...効かない...?」
「イレン!逃げろ!!」
イレンの剣が通らない。そう私たちが悟った瞬間、ゴブリンキングがこちらに気づき足元にいたイレンを蹴り飛ばした。ザクの一声も少し遅く、イレンは蹴られた衝撃で近くの木に激突した。
「ぐはっ...!」
「イレン!?」
激突したイレンは、今の一撃で相当の深傷を負ってしまったみたいだった。これ以上戦わせるのはまずい。私とザクは同時にそう思った。
「イレンは下がってろ!ここは俺とリリナでやる!」
「イレン!少しでも体力を回復して!」
イレンを庇うようにしてゴブリンキングの前に立った私たち。2人でやるとは言ったものの、正直勝てる気がしない。今まで戦ってきた魔物とは段違いの圧力を感じる...。これがゴブリンキング...。
「リリナ、1人でやっても勝ち目はない。ここは連携して倒すぞ!」
「うん!わかった!」
そう言うと、私たちはゴブリンキングを挟み込むようにして立ち、呪文詠唱をした。
「「火炎!!」」
火の中級魔法、火炎を私とザクは放った。私たちのパーティの中でも最強に近い魔法だ。しかも今回は私とザクの2段攻撃、これならさすがのゴブリンキングといえども......。
「!!??」
「そ...そんな...」
私たちが見たのは、勝利の可能性を打ち消すような光景だった。そこにいたのは私たちの最強魔法を食らっても平然と立っているゴブリンキングだった。見ると体にもほとんどダメージが入ってないように見えた。この魔法は魔力を多く使用する魔法だ。何度も使うことはできない。すでに息切れもしてるし...。
「はは...まいったね...まさかここまでだなんて、完全に予想外だった...」
「逃げよう...イレンを背負って全力で逃げればきっと...」
「無理だ...。ゴブリンは嗅覚が非常に優れていると聞いた事がある。仮に逃げれたとしてもすぐに匂いを嗅ぎ分けられて見つけられる......。詰んだな...」
これは本当にまずい!そう自分の本能が叫んでいた。この場にいたら確実に私たちは全滅。だからと言って逃げてもいずれは全滅。もはや打つ術がない。そうこうしているうちに、ゴブリンキングがこっちに向かってきた。大きな手を広げて私をつかもうとしてきた。
「くっ...」
何とかギリギリで躱す事ができたが、その際にバランスを崩して尻餅をついてしまった。この機を逃すまいと言った感じで再びゴブリンキングが私に襲いかかってきた。終わった...。そう思い、目を瞑った。
「「イレン!!!」」
2人の私を呼ぶ声が聞こえたが、もうダメ。そう思っていたんだけど、衝撃が来ることはなかった。何が起こった?っとゆっくり目を開けてみるとそこにいたのは......。
「ふぅ〜、大丈夫ですか?リリナさん」
冒険者ギルドで会って私たちとクエスト勝負をしていた少年が、私たちの前に立っていた。
ついにセレンが動いた!
3人の運命は?




