実技試験開始!
列に並んだ後、試験官から試験の説明があった。この試験は武術と魔法の両方を見るらしい。武術の試験は比較的簡単で学院が用意していた冒険者の人と模擬戦をするという形式だった。その戦い方、技術、体力などを見て点数をつけるみたいだ。
魔法の試験も簡単で何か自分の得意な魔法を20m離れた的に当てるだけという感じだった。もちろん得手不得手もあるため事前に試験官に言っておけばそれなりの対応はしてくれる(ちなみにルナも先に言っておいたらしく、武術の試験は受けないらしい)。
俺とルナにとっては正直やりにくい......。武術の方は多分学院側としては勝てない相手を用意したんだと思う。あの人めちゃくちゃ強そうだし。それでも俺たちならいい勝負をしてしまうかもしれない。そう思えてならないんだ。そう思ったのは、さっき始まった模擬戦を見て、相手の冒険者の人がそれほどすごいと思えるような動きをしてなかったと感じたからだ。父さんの方が何倍も強そうだ。
魔法の方もさっきから見てると、詠唱して魔法を放ってはいるもののほとんどの受験生は的に届く前に空中で消えてしまっていた。正直見るに耐えなかったが、本来ならこのレベルが妥当なのだろう。これからこの学院でたくさんのことを学び経験してようやく立派な魔法を唱えることができるんだ。俺たちが少しずれてる感じだな......。
「次!セレン・ディクトリア!」
おっと、他を見てる間に順番が来たみたいだな。試験官から木刀を受け取り構えた。さて、どう戦うかな......。
「そ、それまで......。し、勝者......セレン・ディクトリア......」
うん、まずった。マジでやらかしました。とりあえず言い訳させてください。俺は相手の出方を見るために最初は受け身で行こうと思っていたんだが、相手の冒険者の人が、掛かってこいと言ってきたからお言葉に甘えて掛かって行ったんだ。軽くのつもりで木刀を相手に向かって振った。先に言っておくがその時の俺は【身体強化】も【剣術強化】もしてない。ノーマルの状態で挑んでいた。ノーマルなら問題ないだろうと思っていたがその時、俺は気付いてなかった、というより忘れていた......。自分の剣術レベルがS級だということに......。いくら強化魔法を使ってないと言っても、そんなレベルの奴が剣なんて振ったらどうなるか......。そのことに気づいたのは俺の剣が、受け止めようとした相手の冒険者さんの木刀を砕き、そのまま脳天に叩きつけた後だった。冒険者さんは俺の目の前で白目を向いて倒れている。試験官の人が今、冒険者さんの確認に向かってる。脳震盪のようなので少し経てば復帰できるらしい。
でも......。
「これって......まずいよね......?」
ギギっと音が出るような動きでゆっくりと周りを見渡してみた。案の定、周りの試験官や他の受験生たちは唖然としていた。目の前で起こったことに理解が追いついてないんだろうな。あぁ......ルナにあんだけ言っておきながら俺がやらかすとかないわ......。
「あの......俺もういいですか?」
ずっとここにいるのはまずいと思い、試験官に聞いた。
「え!?あ、ああ......もういいぞ。次が控えているからな......」
少し話し方がぎこちなかったがそんなことは気にせず、周りががやがやしてる中、俺は颯爽とその場を後にした。
ーーView Change ルナーー
セレンと別れて、私は魔法の試験を受けていた。さっきセレンに言われたけど、初級魔法を使って試験に挑まなきゃいけないんだよね?初級魔法は何度も使ってるけど正直物足りないな〜。いつもなら中級とか上級魔法使って魔物とか倒してるからな〜。
「ん〜どうしよ......ん?」
なんか武術の試験の方が騒がしかった。見てみたら、そこには冒険者みたいな人がセレンの前で倒れ伏してる光景があった。
「セレンってば!私にあれだけ言っておいて自分だってやってる!それなら私もやっちゃお!!」
セレンがやってるなら私もいいよね?いい!!と、自問自答をした私は、さすがに上級はまずいと思ったから中級魔法を打つことにした!
「次!ルナ・ハルバン!!自分の得意な魔法を放ってください!」
私の番が来た!自分の得意な魔法ね!それじゃこれで!
「いっくよー!【風牙流】!!」
私が放った【風牙流】は的に向かって一直線に進んでその的を盛大に壊した。それだけじゃなくて、周りにあった他の的も衝撃波と鎌風で全部壊しちゃった。でも、ま!いっか!
「せんせー!的届いたよ!どうだったどうだった!?」
感想が聞きたくて先生に詰め寄ったんだけど、誰かに手を掴まれた。後ろを見るといつの間にかセレンがいて私の手を取って、その場から離されちゃった。どうしたんだろう......?
ーーView Change セレンーー
あの後、魔法の試験を受けるのとルナの様子を見るために俺は魔法試験の列に向かっていた。並ぼうかと思ったがちょうどルナの番が来たようなので見てから並ぼうと思い、その場にとどまった。
「手加減しろ......とは言ったが大丈夫かな?」
俺が言える立場じゃないのはわかってるが、それでも目立つような真似は勘弁して欲しい。そうこう思ってるうちにルナが魔法を放った......中級魔法の【風牙流】を......。
「......」
つかつかと俺は無言でルナの所に行った。何やら試験官の人に何か詰め寄ってるがそんなことどうでもいい......。ルナの所に着いた俺は問答無用でルナの手を掴んでその場を離れた......。
早速やらかした2人。
2人の学院生活はどうなるのか?




