王都立メルゲン学院
「......学院?」
ある日の朝母さんから唐突に言われた。王都の学院に行けと。......なんで?
「そう、セレンは今年で7歳になるでしょ?7歳になったら王都の学院に通うこと。これはこの地方に住む人にとって義務となってるのよ」
「そうなんだ、知らなかったな......」
前世でも学校に通っていたが、この世界にも学園に通うという概念があるんだな。7歳からってことは前世でいう小学校に通うみたいなものか。また通うのか......。
「学院の名前は”王都立メルゲン学院”。あなたとルナちゃんはそこに通うことになるわ」
「......メルゲン学院?」
......聞いたことないな。というか当たり前だろう。そもそも王都がどこにあるのかわからないのだし、知らないのは当然だ。
「詳しいことは今度試験しに行った時にでも聞いてみなさい」
「......ちょっと待って。今試験って聞こえた気がするんだけど......?」
「そうよ。メルゲン学院は入学の前にクラス分けの試験を行うの。試験の結果がいい順からクラスが分けられていくの。いい方から順にクラスを言うと、S・A・B・C・D・Eという順番で分けられるわ」
なるほど、この世界は試験のいい人から順にクラスが分けられるシステムなんだ。実力主義ということか......。
「でも試験って言ったって何するの?」
「基本的には筆記と実技がメインになるわね。筆記は国の歴史や魔法についての問題、実技は武術と魔法の実力を見せる、という感じで試験が行われるわ。そしてその2つの合計点数でクラスが決まるの。どう?わかった?」
「うん......なんとなくわかったけど......」
「......けど?」
わかるにはわかったが俺には無視できないことがある。俺は、この国の歴史を知らない!つまりこのままでは何もわからないまま試験を迎えてしまう。魔法であればある程度の知識はあるから大丈夫だろうけど......。
「俺......この国の歴史ほとんどわからないんだけど......」
嘘ついててもしょうがないので素直に打ち明けることにした。
「大丈夫よ。試験って言っても7歳に向けての試験なんだからそんなに難しくないわよ。後で歴史の本貸してあげるからそれで軽く勉強しなさい。それにセレンなら実技だけでも十分いい成績残せるわよ!何しろ......今やセレンは”B”ランクの冒険者なんだから!その”銅色”の首飾り似合ってるわよ!」
まるで自分のことのように喜びながら言ってくる母さん。.......そう、俺とルナはつい最近”B”ランクに昇格したのだ。1年前までDランクだった俺たちだったが、半年前にCランクに昇格し、そして一月前に”B”ランクに昇格した。この俺たちの成長速度は父さんもレイさんもサリーさんも驚いていた。何しろ冒険者稼業10年の人でもいまだにCランク止まりの人もいるほどBランクの壁は高いのだ。それをたった1年でその壁を超えてしまったのだから驚くのも無理はないだろう。このBランクの証、”銅”の首飾りは昇格した日にレイさんからもらった。
「そんなに持ち上げなくても......」
「何言ってんの?お父さんだって言ってたじゃない!『こんなすごい息子を持って俺は幸せ者』だって。親が祝わないで誰が祝うの?」
俺たちがBランクになった日、村ではお祭り騒ぎとなった。この村からBランクが出るなんて父さん以来だったこともあるが村の数少ない子供が高ランクになった事が嬉しかったのだろう。父さんや母さん、ルージュはもちろん、村長さんや村のみんなが祝福してくれた。......正直めちゃくちゃこそばゆかった。
ちなみに父さんはというと、今は”A”ランクになっている。父さんはいつか追い抜くんじゃないか?と言ってるがとてもじゃないがそんな風には思えないな......。前にも、Aランクのクエストを何個も難なくこなしてきてみんなの度肝を抜かしてきたという父さんの報告を聞いたばかりなのだから尚更だ。
「それよりも、試験だよ、試験。とりあえず母さんが言いたいのは筆記では最低限点をとって、実技で点数を稼げって言いたいんでしょ?」
「そういう事。試験は3ヶ月後だからそれまでしっかり勉強するのよ」
「はいはいわかった。通わなきゃいけないんならしょうがないね。そういう事なら早速勉強するから本貸して」
「何か分からないとこがあったら言ってね。こう見えても私、メルゲン学院出身でクラスはAクラスだったのよ!」
意外にもAクラスだった母さん。もしかして結構、魔法とか使えるんじゃ......。
「といっても、ほとんど筆記でAクラスに入ったもんだからね〜。私、魔法とかてんでダメだったもの.......でも勉強の方なら大丈夫だからなんでも質問してね!」
......やはり母さんは母さんだった。......でも頼りになるな。
2章スタートです!
これからセレン達の学院生活がスタートします!




