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地球真拳カミカゼ ~ま、まさか!?→そのまさかよ!!~  作者: 関 涼太郎
第三話 『惨劇!忍び寄る暗殺者!』
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4 登場! 名奉行越前クラゲノスケ!

 


 殺人現場と化した宇都宮(うつのみや)代表ファイター控室。

 急ぎ駆け付けた神風(かみかぜ)トオルであったが、すでに野次馬やマスコミ者で通路が塞がれていた!


「ええい! 静まれ! 静まらんか!!」


 殺人現場に近づけぬようマスコミ集団を食い止める町奉行所役人数名!

 梯子(はしご)を横に構えバリケードを作る!

 飛び交うマスコミ者の質問!


ギョウザ男(ぎょうざおとこ)が死んだのは本当ですか!?」

「下手人は!? 死因は!?」

「身長は!? 体重は!? 年齢は!?」

「奥さんはいますか!? 子供は!? 親兄弟は!?」

「好きな食べ物は!? 嫌いな動物は!?」


「ええい、黙れ黙れい!!」


 決勝進出ファイターの暗殺事件!

 少しでも情報を聞き出さんとするマスコミ者!

 役人の制止にもひるまず、必死に食い下がる!


「「黙れ黙れ!!」」

「「黙らぬ黙らぬ!!」」


 役人とマスコミ者で押し合いへし合いが開始される!


「「黙れ黙れ!!」」

「「黙らぬ黙らぬ!!」」

「「黙れ黙れ!!」」

「「黙らぬ黙らぬ!!」」

「「ア・黙れ! だまあ~~あれえ~~!!」」

「「ア・黙らぬ! だまあ~~らぬう~~!!」」


 カーン!


 役人とマスコミ者集団が見えを切る!

 ――その時!


 パシャリ!


 マスコミ者の一人が写真機を誤って発動!

 閃光とともに役人の姿を写真に収める!


「ぬう! 貴様! ソレガシの寿命吸い取ったな!?」

「ひい! これはとんだドジッコを! ご勘弁願いやす!!」

「いいや、勘弁ならぬ!! こ奴を公務執行妨害及び殺人未遂でひっ捕らえろ!!」

「ヒイー!!」


 押し合いへし合いから一転!

 現行犯に申し開きの余地なし!

 極悪犯罪者への逮捕行為が行われる!


「「御用だ御用だ!!」」

「ヒイー!!」

「ここにいる者は全て共犯! 一網打尽じゃ!!」

「「ヒイー!!」」


 マスコミ者をこん棒やサスマタで叩きのめし、縄で縛りあげる役人!

 逃げ出すマスコミ集団!


「一人たりとも逃すな! 増援を呼べい!!」


 ピイー! ピイー!


 呼子笛(よびこぶえ)が鳴らされ、マスコミ集団が逃げる方向から増援部隊!

 挟み撃ちである!


「「御用だ御用だ!!」」


 凛々しく光る御用提灯!


「ええい、公儀の犬どもめが!」

「かまわねえ! やっちまえ!!」


 フトコロからドスやチャクラムを取り出すマスコミ者!


「貴様ら! 聞屋(ぶんや)の分際で歯向かうか! もはや許さん!!」


 おお、治安組織と犯罪者集団の乱闘が開始された!


 ワーワー! ワーワー!


 発生するモコモコ乱闘煙(らんとうけむり)

 その隙を突き、神風トオルが宇都宮代表控室へと滑り込む!


「ギョウザ男!!」


 部屋に入り神風トオルが目にしたのは――ムシロをかけられたギョウザ男の死体!

 そして検分を行う町奉行所の同心たち!


「何奴! ここは立ち入りを禁じておる!!」


 ヴォン!


 神風トオルに気づいた同心の一人がビーム十手を構える!


「あいやご無礼! 俺は地球代表ファイター神風トオル!

 ギョウザ男とは同じ栃木県民! アレコレ気になったゆえ……つい!!」

「ついではない! さっさと出ていかぬか!!」


 恐るべき剣幕! 勤めに忠実な役人に付け入る隙はない!

 例えそれが……地球ファイター相手だとしても!

 ――だが!


「良い! 同郷の士! その死に顔、見せてやれ……!」


 鶴の一声!

 その発言者は黒塗りの陣笠をかぶり、身なりも上等!

 力強い眼光! キリリとつり上がった眉!

 それでいて落ち着き払った物腰……ただ者ではない!


「下郎! 越前(えちぜん)様に感謝いたせ!」


 ビーム十手をしまう若手同心!

 出された名に覚えのある神風トオル!


「越前……! ま、まさか!?」

「そのまさかよ! 私はシン・巣鴨(すがも)町奉行、越前クラゲノスケである!」

「お奉行様……! これはご無礼を……!」


 ウヤウヤしく平伏する神風トオル!

 クラゲノスケが同心に目配せし、ムシロをめくらせる。

 現れるギョウザ男の死に顔!


「……ッ! これはムゴイ……!」


 そう! なんたるムゴイ死に顔か!

 ギョウザ男の額に深々と刺さるは十字手裏剣!

 ()()()()()使()()()()()()()()である!


「直接の死因はこの手裏剣に間違いあるまい。

 他に外傷なし! 一撃のもとにギョウザ男を葬ったようだ」


 越前クラゲノスケが名探偵的推理を披露する!


「地球ファイターを一撃で……これは一般庶民にはできぬ業前(わざまえ)!」

「いかにも! 現段階で容疑者は二名!

 一人は控室前で待機していた地球ファイト実行委員会職員!

 そしてもう一人は――」


「――ギョウザ男さん!!」


 越前クラゲノスケの言葉を遮る女の声!

 犯行現場に飛び込んできたのはオレンジ色のチャイナ服女!

 手裏剣が刺さったギョウザ男の元へ駆け寄り――


「そんな……! どうして……どうしてだべ!」


 その胸に顔をつけ涙を流す!


「……この頭がシュウマイの生物は何者か!?」

「はッ! 先ほどお話しいたしました容疑者の一人、シュウマイ女(しゅうまいおんな)でございます!

 この大会が終わったのち二人は祝言(しゅうげん)を挙げる予定だったとか……!」

「左様か……。なんと不憫な……!」


 部下の説明を聞きシュウマイ女を哀れむ越前クラゲノスケ。

 試合前の控室を訪ねたために彼女は容疑者の一人となった。

 しかし、この様子では――下手人ではあるまい。

 死体からシュウマイ女を離そうとする同心。

 それを首を振って止めるクラゲノスケ。


「一緒に暮らすべって! 一緒にお店を開くべって!

 約束したのに……ウワーン!!」


 テロリストがダムを爆破したがごとく涙をドバドバ流すシュウマイ女!

 おお、なんという悲劇であろうか!

 将来を約束した二人に訪れたのは……永遠の別れであった!


「越前様……これを……!」


 同心の一人に何かを手渡されるクラゲノスケ。

 そのブツをしばらく見つめ……沈痛な表情でシュウマイ女の傍らに膝をつく。


「……これはギョウザ男が最後まで握っていたもの。

 おそらく、そなたへ渡すはずだったものであろう……!」


 ギョウザ男にうずめていた顔を起こすシュウマイ女。

 クラゲノスケから手渡されたブツとは……!


「これは……指輪!?」

「内側に『ギョウザ&シュウマイ』と彫られておる。

 そなたとの夫婦(めおと)指輪であろう……!

 ギョウザ男の形見じゃ! 大事にな……!」


 おお、なんたる悲しき運命!

 ギョウザ男が地球ファイトの後で渡そうと思っていたものは……夫婦指輪であった!

 夫婦として二人で歩んでいくという誓い!

 互いの存在を常に感じるための印だ!

 ギョウザ男が生きていれば……きっと幸せな光景を目にすることができたであろう!

 目を閉じ、ギョウザ男を想うシュウマイ女!

 ――そして!


「ギョウザ男さん……今行くだべ……!」


 シュウマイ女が手刀を構え、首筋に当てる!

 その手で自らの首をはねるつもりだ!

 おお、シュウマイ女よ!

 自害しギョウザ男の後を追おうというのか!?

 ――しかし!


「馬鹿者ッ!!!」


 ピシャアン!


「アンッ!」


 それを許す越前クラゲノスケではない!

 シュウマイ女の顔面を平手で叩く!


「ギョウザ男の気持ち……お主にはわからぬか!」

「ギョウザ男さんのいない現世など! 居とうありませぬだべ!!」

「馬鹿者ッ!!!」


 ピシャアン!


「アンッ!」


 越前クラゲノスケがシュウマイ女の顔面を平手で叩く!


「お主が後を追って! ギョウザ男が喜ぶと思うか!?」

「思うだべ!」

「馬鹿者ッ!!!」


 ピシャアン!


「アンッ!」


 越前クラゲノスケがシュウマイ女の顔面を平手で叩く!


「その指輪はギョウザ男が最期まで握りしめていたもの!

 今わの際まで! お主のことを想っていたのだ!

 そんな男が……大切な人の死を望むと思うのか……!」

「……ッ! けんども! けんども!!」

「馬鹿者ッ!!!」


 ピシャアン!


「アンッ!」


 越前クラゲノスケがシュウマイ女の顔面を平手で叩く!


「さぞつらかろうが……生きろ! シュウマイ女!

 ギョウザ男の分まで! 必死に生きるのだ!

 生きて生きて……いつか幸せを掴め……!

 それがギョウザ男への供養となろう……!」

「お奉行様……!」


 自害を決意していたシュウマイ女。

 厳しい顔から一転、越前クラゲノスケの柔らかな眼差し。


「ウワーン!」


 声を上げて泣き出すシュウマイ女!

 心のダムが再度爆破テロ! 決壊! 大参事!

 寄り添い見守るクラゲノスケ!

 二人のやり取りに思わずもらい泣きをするその他同心!

 神風トオルもまた、ハンカチーフで目をぬぐう!


(ギョウザ男……! しくしく……!)


 そして改めて……下手人への怒りが湧き起こる!


(わずかな時間であったが……苦楽を共にした仲!

 必ず! 下手人を捕らえ! 仇を討つ!!)



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