22話 真の勇者
朱莉です。
夏休みなのにやることが多すぎて書けませんでした
今回で終盤へと入っていきます
ドアを開いた三人の目に飛び込んできたのはダクマを切り裂く虹色に輝く刃だった。
三人は勝敗が決したものだと思った。しかし…
「私に勇者の力は効かないのだよ」
勇者の力はダクマの体に吸い込まれていった。残ったシュンの剣はダクマの体に血を一滴垂らせるだけで止まっていた。
誰もが衝撃を受けた。
勇者の力は特に悪魔や魔物に特攻を持つ聖属性とは違い、勇者以外の邪悪な考えを持つものに対し特攻を持つ。勇者同士だと力を合わせ強化したりなどが可能だ。しかし、その性質上特攻の対象があいまいであった。
「なんでっ…勇者の力が効かない?!」
シュンはダクマから一歩引いて叫ぶ。
「私は魔王の地位を押し付けられただけで変わらず勇者のままなのでね」
そういいながらダクマはふと剣にシュンに似たような雰囲気の灰色に近い光を纏わせ剣を振るう。それは閃光の様に飛びシュンの体に当たると消えた。
瞬間、シュンは淡い光に包まれる。
「なんだ…これ」
「驚いたな。君は勇者の力を受け継ぐために生まれたといえるほど潜在能力が高いようだ…私の力を吸収したのか」
その状況の中一番に動いたのはシンマだった。
「ハグルマ!!」
腕の大剣を抜きダクマに切りつけるが当たり前のように剣ではじかれる。
「君も面白いモノを持っているようだな。」
ダクマはハグルマを腕に戻すと変形させて射撃の態勢をとった。
「みんな彼のアシストを!!」
シュンはその一太刀により距離を取り構えなおす。
それぞれが連携しながら攻撃を行う。しかし、ダクマそれらを意に介さない。
「変わった集まりだな」
そうつぶやいた彼は背後向かって斬撃を放つ。
「ナッ?!なぜ気が付いた」
何もいなかったその空間から溶け出すようにフェルガリアが現れる。その体には半身を分かつほどの切り傷が出来上がっていた。
「君ほど闇の精霊の気配まとっていればいやでも感じ取れる」
そんな中でもそれぞれ攻撃はやめない。
しかし、ダクマの攻撃は止まるどころか増す一方であった。
「早く起きないとみんな死んじゃうよ」
レイは謎の声に起こされた。
その声は聴いたことがあるような優しい声をしていた。
しかし、彼の体は何かに阻まれて動くことができなかった。
「流石に君だけじゃまだ解けないか…サービスだよ」
レイの体が燃えるように熱くなり額に鈍い痛みを感じる。
その熱は彼に果てしない不快感を与える。その不快感を振り払うように力を込めた。
「何が起きた…」
それは一瞬のことだった。一切の動きがなかったレイの入った黒い繭が弾けたとたん例がものすごい速度で飛び出しダクマの腹部を赤黒く鈍く光る剣で貫いていた。
ダクマの視界にはそのレイの姿はまるで周囲に溶け込むように靄がかかっておりダクマを取り囲む様々なスキルや彼の長年培ってきた戦闘の勘をすり抜けてきたのだ。
「…レイなのか?」
シュンはふとそれに話しかける。
真っ赤な結晶のような角を額に一対輝かせ、手に赤黒い剣を持つレイはダクマに刺さった剣をそのままにこちらを向く。
「お待たせ」
彼は笑みを浮かべていた。
「何を油断している」
ダクマはレイへ向け剣を振る。しかし、レイは簡単に避ける。
ダクマは自らの動きが鈍っていることに気が付く。
(これは毒…いや呪いに近い)
レイが離れるとダクマは腹部に残された剣を抜こうと持ち手をつかむが、とたん液体のようになり解けてしまった。
「まだ使うつもりではなかったが仕方がない。”魔王の創装”」
ダクマは吸い込まれるように黒いコートを羽織った。
彼の身体からドス黒い波動が放たれる。
レイとシンマ、勇者たちは不快な顔をしただけだが、それ以外は頭を抱え悶えだした。
「あ…頭がッ、割れる」
「これは私が魔王としての権能を使いやすいように具現化したものでね。闇への抵抗がよほど高くなければ耐えられないほど強力な闇を放ってしまうのだ。」
「私として耐えることのできる者のみ残っていたら使うつもりだったが、君の変化は想定以上だ。」
ダクマはそう言い剣を握る。
「ここまでは想定できていなかった。一度引いたほうがいい」
シュンはそういうとどこからともなく石を取り出し砕いた。
「強制転移」
それぞれの足元に魔法陣が浮かび上がる。しかしそれはシュンの足元には
「転移石か…戦えない者を逃がすとは良い判断だな」
「「待って!」」
マジナとフェアルはともに戦おうとするが、マモルが制止した。
「僕たちがいてしまっては彼の邪魔になってしまうよ」
パキッ 何かが割れる音がした。
「あれっ」
レイの足もとの魔法陣が砕け散った。
「俺もまだ戦うぜ」
シンマは地面の魔法陣に触れ消してしまう。
「そんな…無効化されるなんて」
とたんほかの足元の魔法陣の輝きが増す。
「シュン!すぐに戻るから!」
「うん、さよなら」
皆魔法陣に吸われるように消えた。
「感動的な別れか、時々見るがな」
ダクマは何もせずそこに立っていた。
「最後だ魔王。これで終わらせる」
残る三人は武器を手に取る。
レイとシンマが先行して突撃しシュンは一撃を狙う。
シンマのその大剣による衝撃を流しながらレイの不可視の斬撃を何とか受ける。
「やはりレイは私のスキルも魔法も何もかもを無効化しているな」
ダクマは背後からのシンマの一撃に合わせ黒いローブを変形させシンマの足に一撃与え、体勢を崩したシンマにダクマは振り返りシンマに大きな一撃与える。
レイはその一瞬で懐に潜りこみ剣を向けるが、ダクマはその一撃を避けレイの腹部を貫いた。
「生憎私の元仲間に君に似た力の者がいてね。闇が消えるからこその対策があるんだよ」
「だと思ってたよ」
レイは腹部に刺さった剣を固定した。
「”聖瞬一閃”!!」
シュンは力を剣に集めダクマに突撃した。その剣から放たれた斬撃はダクマの黒いオーラを断ち、弾き飛ばす。
「勇者の力では私は倒せないと一度言ったはずだが」
ダクマは立ち上がり言った。
「そんなのわかってるさ」
ダクマは衝撃を感じた。
「これは…」
それはレイが王から譲り受けた剣だ。そして、それを今手元で貫いているはずのレイが握っている。
「残念だけどそれは偽物なんだ」
刺されていたレイは解けるように液体になった。
ダクマはそれでもまだ動こうしたが
「なんだこの剣はッ吸われる?!」
ダクマの体が黒い煙のようになり剣に吸われてゆく
「そういうことか…ならば仕方がない。一度だけだな」
ダクマの体が消えてゆくと同時に剣の刀身が黒く染まっていった
その日長らく打たれることのなかった魔王ダクマは討たれ、世界中の魔物は勢力を失っていったという。
相当な改修がありました…
では次回会いましょう




