イベント後①
「はじめまして。田村ひかりです。京介くんには、道に迷っていた時にここまで連れてきてもらったの。それに冷たいお茶までいただいてね」
吹っ飛ばされた俺は、今、晃と圭吾に肩を貸してもらいながらようやく立ち上がろうとしている。目の前では、椿とカノンが、ひかりさんに俺との出会いを聞いているとことだ。
椿は“それ、あたしの分じゃ”という視線を俺に浴びせてくる。もちろんその通りなのでサーっと視線を逸らせる。
「京介くん大丈夫?」
そんな俺に、ひかりさんは心配そうに尋ねてくれる。うん。マジ女神。
「あっ、いいんですよ。このバカにとってはいつものことですから。どっかのクレヨンな5歳児並みにいらんことしいなので、それにすぐ復活しますし、心配するだけ損ですよ」
「だれがクレヨンな5歳児や!それをいうならハードボイルドな町ハンターといってほしいね」
そういいながら、歯をキラリンと輝かせポーズを取る俺。それを見ていたカノンがどこから出したのか10tと書かれた大きなハンマーを出してきた。
「おまっどっからそんなもん出してきたんだよ!空想の世界なら納得いくけどリアルじゃそれ殺人凶器だからな!」
そう言いながらひかりさんの後ろに隠れる肩越しに抗議をする俺。そんな俺に‟あらあらうふふ“と笑うひかりさん。
「仲がいいんですね。うらやましいわ。そうだ、今日会えたのも何かの縁だし、この後、ご飯でもどうかな?」
「「「行きます!!!」」」
ひかりさんの誘いに3人がハモリ、晃と圭吾もうんうんと頷く。
「僕は、この後彼らと約束あるからここで失礼するね」
ハタさんは、後ろでカメラ片手に談笑している人たちの方に親指をクイクイっと動かした。
「そうだ。みんなそこに並んで並んで。せっかく田村さんと会えのだから、記念に1枚撮ってあげるよ」
そう言いながら、カメラの覗き込むハタさん。
俺たちも、ゆかりさんを中心に集まりポーズを取る。
「それじゃぁ、撮るよう。ハイ、チーズ」
パシャという音とともに満面の笑みを浮かべる女性陣とちょっとスカした表情を浮かべる男性陣たち。
「うん。いい感じだね。また、出来上がったら、写真渡すから、楽しみにしていてね。じゃぁ、僕はこれで。椿ちゃん。今年も演舞期待してるからね」
「ありがとうございます。それじゃぁ、またイベントで」
椿の言葉に笑顔で手を振るハタさん。俺たちも“さよなら”と言いながら手を振り返す。
「私たちも行きましょうか。って言っても、私、大阪に来るの初めてだから、いいお店知らないのよね。会長さん、どこかおすすめなお店ないかしら?」
会長さんは、“そうだねぇ”と言いながら、あれでもないこれでもないと思案している。
「そっしゃ。それならこの店がいいと思うよ」
そう言いながら、メモ紙に店の名前と住所を書き出す会長さん。それを田村さんが受け取り、俺たちの方へと歩いてきた。
「ここがいいんですって。あなた達はどうやってここまで来たの?」
「あっ、あたしたち車で乗り合わせて来たので、一緒に乗っていきましょう」
ひかりさんは、“助かるわ”と顔の前で手を合わせる。そして、会長さんに一礼して、俺たちは、メモ紙に書かれたお店へと移動を開始したのである。




