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よさこい談話

…モグモグ…パクパク…ガツガツ…ズルズル…ムシャムシャ…


「「「「「御馳走様でした」」」」」


各々が昼御飯を食べ終わり。今は午後のティタイム。


「それじゃぁ、京介くんの入会は決定として、先ずはよさこいについて話をしておこうかしら。京介くんの頭の中ではとても愉快なイメージになってたらしいから」

「そーね。“コスプレ杓文字(しゃもじ)踊りは無いわ」

「「たしかに!」」

椿の発言に村越さんと晃が、うんうんと盛大に頷いた。仕方ないじゃん率直な意見でそうとしか見えなかったんだし。

「まぁまぁ、京介くんも今はそう思ってないだろうし許してあげましょう」

さすが奈美さん。大人な人だ。

「まぁ、今でもそんな事いっていたなら今頃はベーリング海の蟹漁船行き決定だったでしょうね」

前言撤回!かなりお怒りのご様子だ。

ベーリング海の蟹漁船。以前ドキュメンタリーのテレビ放送を見たが、かなりヤバかった。3ヶ月程度の漁で日本のサラリーマンの年収を遥かに越えるまさに一攫千金の仕事だ。しかし過酷さが半端無い。海の野郎どもの荒くれ伝説のオンパレード、語るより見る方が早いだろう。

しかし観てしまうとトラウマに成りかねないので半端な気持ちで検索してはいけません。ここ大事です。

「もちろん思ってませんよ!誰ですかそんな失礼極まりないことをほざいた命知らずの(やから)は、って俺ですよね。すいませんっした!」

みんなのジト目に晒らされた俺はテーブルに両手を付き深々と頭を下げた。

そんな俺に対して奈美さんは慈愛の眼差しを向けながらネタに走り出した。

「みなさん。過去に囚われてはいけません。未来を見つめ今憎しみの連鎖を断ち切らなければ、憎しみは新たな憎しみを生み出すだけです」

国民的ロボットアニメのピンク髪の歌姫登場だ。確かにカリスマ性をいえば同等かもしれないけど、年齢がなぁ~。

「京介くん。何か?」

危ない!種が割れた時の目をしている!

迂闊に動くと瞬殺されてしまう。

「いえ。確かな名言に感服致しました」

(うやうや)しく頭を下げさせられた俺に椿たちはとばっちりが来ないように各々の飲み物に没頭していた。

佳奈さんのオタクな一面は確実に奈美さんから受け継がれたんだろうな。

この人一見は大和撫子な美人だけどアニメ観ながら泣ける人だし。

昔、佳奈さんが“信じられないなら、証拠みせてやるよ”ってことで、こっそりと奈美さんの部屋を二人で覗いたことがあった。

ちょうど、アニメの最終話を見ていた奈美さん。

絶対君主の力を持った少年が元親友でもあり恋人の仇でもある少年に殺されることで世界を救おうとする自己犠牲な結末。しかも大好きな妹にも嘘を付き世界の憎しみを一身に背負い込んでというストーリーだ。

それを食い入るように観ながらハンカチを噛み締め号泣する奈美さん。しかも主人公の名前を何度も叫びながらだ。普段の、姿からはまったく想像できないよな。うんうん。

「それじゃぁ、お勉強をしましょうか?」

にこやかに奈美さんが語ろうとすると、なぜか椿たちが焦ったように席を立とうとした。どうしたんだ?漏れそうなのか??

「あっ!あたしはそう言えば他のメンバーとの約束があったんだったわ」

「俺は、旅館の仕込みをやらないといけない時間になってきたわ」

「えっと、俺はえ~~と、あっ!今日使った旗を手入れしないと」

3人が目を泳がせながら足早にここを去ろうとしている。

「椿ちゃん。別れ際にメンバーとは“また、明日ね”って言ってたわよね。村越くん。今日は副料理長に任せるからお酒飲み放題”って言ってたの知ってるわよ。晃くん。旗の手入れって何をするのかな?」

奈美さんにこやかな表情のまま3人を見回している。3人は逃げられないと悟ったのか“うぐっ”と呻いて席に座り直した。何だろう3人がこんなにも逃げたがっているということは何かヤバイことが起きるんだろうか。

「あたし達も入会するときにこの展開になったのよ。奈美さんのよさこい語りを経験した人たちは口を揃えて皆こう言うわ“人生初めての拷問を経験した”ってね。つまり、長いのよ。あんたが想像している5倍は長いわよ。分かりやすく言えば、佳奈さんが趣味を語るときと同じぐらい。トイレも行かせてくれないの」

椿がコソッと耳元で今の現状を教えてくれた。

それを聞いた俺は絶句した。佳奈さんの趣味語りはまさに拷問だった。聞き流すと必ず“ちゃんと聞いてやがるかテメー。んじゃ、あたしがさっき言った、あたしの大好きなキャラの決め台詞ベス10言ってみ!”と言われ答えられるまで何度も何時間でも繰り返されるという受験勉強並の要求をしてくるのだ。

しかも、トイレ食事抜きのノンストップでだ。

この親にしてあの娘ありってことだな。

「みんなも復習を兼ねてってことで、京介くんと一緒に聞いてちょうだいね」

さて、覚悟を決めて奈美先生の授業を聞くしかないか。

「まずは、簡単に説明するわね。よさこい踊りは京介くんが杓文字(しゃもじ)呼ばわりした鳴子(なるこ)を持つことで名乗ることができるの。稀に鳴子を持たないチームもいるけど、ほとんどが持っているわ。衣装は自由で、和洋中何でもOKで、悩殺なミニミニ衣装から気品漂う着物衣装まで何でもありね。上半身ビキニで踊るチームやチアガールで踊るチームもあるくらい規制らしい規制はないのが特長。簡単に言えば無差別級異種格闘技みたいなものなの。踊りのジャンルも日本舞踊にJAZZ、HIPHOPやエアロ、従来の盆踊りのような祭舞(まつりまい)や中国拳法のような振りの躍りもあるわ。どんな踊りでも自分達が“これが私達のよさこい踊りです”と思えばよさこいになるってこと。そして、踊る人たち、あっ、踊り子というのよ。その踊り子達も、幼稚園児からおじいちゃんおばあちゃんまで幅広い年齢がいて、素人の集まりや幼稚園⚫小学校の集まり、中学⚫高校⚫大学の部活やサークル、市役所や企業の社員団体やダンススタジオのメンバーとさまざまな年齢と人種の人たちが踊り子として各地域のイベントで踊っているわ」

「なるほどなるほど。自由度がかなり高いっていうことなんですね」

俺は相槌を打ちながら、前にテレビで 見たよさこいと一颯が踊っていたよさこいの違いを納得した。

「そういうことよ。さすが京介くん。飲み込みが早いわね。」

なーんだ。椿達が身構えるほどの話じゃないじゃん。こんなの佳奈さんで慣れてる俺じゃなくても十分耐えられるっしょ。

「それでね、ここからが重要なところよ」

あれ??終わったんじゃないの??

椿を見ると哀愁漂う顔で“目覚めてしまったのね彼女が!”と拘束具の呪縛から開放される人型決戦兵器のテストタイプを見上げる金髪科学者のごとき台詞を口にしていた。

「よさこい祭りは高知県の土佐で、昭和29年に不況を吹き飛ばし、市民の健康と繁栄を祈願するために高知商工会議所が中心となって発足したお祭りなの。昔は盆踊りのように一貫性のある日本の伝統民謡みたいな感じだったのだけど、よさこいは絶えず新しいものをどんどん取り入れ、現在はチームの個性化が進んでいるわ。伝統的な音楽からロックのバンド演奏 が増えたり、髪型や衣装も派手さを増している。振り付けも各チーム工夫を凝らしていてオリジナルなものを創るのが主流になっていて、プロの振り付け師もいるわ。ただ、一見すごく自由なよさこいでもルールはあるのよ。まずは鳴子を持つこと。地域によっては、それに加えて曲中に地域の民謡やよさこい節を入れないといけないっていう場合もあるわ。ちなみに豆知識だけど、鳴子はもともとは田畑に吊るして音で鳥を追い払うために使用されていたものなの。高知よさこい祭りで踊りの中に取り入れられて以来、全国のよさこい関連の祭りでも欠かせない象徴的な道具になっているわ。これに対して、YOSAKOIソーラン祭りは 北海道大学の学生が母親の看病のため高知に訪れた際、本場のよさこい祭りに感動し学生仲間を募り“YOSAKOIソーラン祭り実行委員会”を発足させて、高知県の“よさこい祭り”と北海道の“ソーラン節”を融合させ誕生したものなの。この学生たちは凄いわよね。感動したからって祭り事態を創ろうなんて大人でも中々出来ることじゃないわよ。そして北海道で脚光を浴びることとなりそこから全国的によさこいが知れ渡りブームが起こったのよ。ここで大事なのは高知が発祥の地で北海道は伝道師的な地であることなの。北海道が発祥の地って勘違いしている人も多いのよね。YOSAKOIソーラン祭り豆知識だけど、ミレニアムな年の開催期間中に大通公園内の臨時ゴミ箱から爆発物が爆発し数名の負傷者を出す事件があったの。テロよねテロ!(なげ)かわしいわ。あと、忘れてはいけないのが、日本のど真ん中、真夏の名古屋を舞台に繰り広げる日本最大級の踊りの祭典、にっぽんど真ん中祭り。通称どまつりね。誰でも参加できる市民参加型の新しいスタイルのお祭りで、それぞれのチームが情緒ある地域文化をリズミカルにアレンジした音楽にのせて、華やかな衣装や目を見はるほどの演出を繰り広げるの。ちょうど、日本のまん中だから関西と関東のチームが両方参加しやすいのが特長で、いろんなチームが観れるわ。それに「観客動員ゼロ=全員参加型」の祭りをコンセプトに掲げるどまつりは、参加者も観客も一緒に踊りが楽しめる、どまつり名物「総踊り」で、2010年に見事ギネス世界記録TM "世界一の総踊り"として認定されたの。もう、全国規模を通り越して世界に羽ばたいちゃってるわね。見るだけじゃない、誰もが主役になれる感動体験を味わえるのがどまつりの魅力なんですって。あとは、原宿のスーパーよさこいとか能登よさこい祭り、ふくこいアジア祭りとか……」

あ~うん。長いね。これいつまで続くんだろー?ってか終わりが見えない。終わりあるよね?チラッと椿に視線を向けたが首を横に振られた。

「ちょっと聞いてる京介くん?」

「はいもちろん!鳴子が鳥対策で高知が発祥、北海道が伝道師でテロ最悪ですよね。ギネス記録マジパないッス!」

「分かってるじゃない京介くん♪」

ふん。伊達に佳奈さんの趣味話を乗り気ってきたわけじゃないんだよ。これぐらいはどうと言うことはないのさ。

「それじゃぁ、そんな熱心な京介くんには更に詳しく教えてあげないとね」

やべっ!火に油注いだ感じになってんじゃん。

「「「(余計なことしやがって!)」」」

あー。3人からの無言の圧力が痛い。

「先ずは原宿の」

「動くなよテメーら!」

さぁ、これからという奈美さんのよさこい地獄から救われる天使の怒声が店内に響き渡った。

此処まで読んで下さりありがとうございます。今回はよさこいとは何かを知ってもらうための説明文的な話になりました。よさこいについては、ほとんどが実話です。これであなたもよさこいを語れるようになりましたね(笑)

さて、次話からはファミレス内でのドタバタを書いていきます。

よろしくお願いします。

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