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ファミレスにて

♪♪♪

「エイサー!ヨーー!!」

「「「ヨーー!ハッ!!」」」

♪♪♪

「戦地合戦無双のごとき!」

「「「ハッセイヤッサー」」」

♪♪♪

(おの)が一人で届かぬ想い。ならばともに響き合おう」

♪♪♪

「一颯ACT.3(アクトスリー)“花結(はなむす)び”絆結びて花となる」


「「「セイハッ!!」」」


「ありがとうございました。一颯この夏の紀伊国よさこい祭り、この“花結び”にて出場させていただきます。どうぞ、御来場御声援のほどよろしくお願いいたします。今日この日お集まりいただきありがとうございました」

「「「ありがとうございました!」」」


パチパチパチパチ。


観客の拍手が響き渡る。

歓声とともに、ステージから退場していく一颯の人たちを眺めながら俺は拍手を打てないでいた。

圧倒されたのだ。

正直舐めていた。

所詮は素人の集まり。自分に酔いながら踊っているだけで、志も何も持たない集団であると思っていた。


「あらあら、京介くんもやられちゃったみたいね」

「あぁ。あいつなら絶対にやられると思ったぜ。何せ俺がやられたくらいだからな」

「あたしは最初からこうなるってわかってたけどね」

「へっ、俺のハードボイルな煽りに放心状態ってか」

「「「それはない(わ)(ッスヨ)(わね)」」」

「あのな、俺でも傷付く心があるだぞ!ハモるのやめて!」


奈美さん、晃、椿が何やらニヤけながらこっちに歩いてくる。

すれ違う人たちは仕切りに椿達に話しかけ、椿達はそれに答えている。

「桐木さん、今年もいい作品できたね」

「ありがとう。だけど、まだまだこれからだから、夏は期待していてね」

「旗振りの兄ちゃんよかったで~。やっぱ旗があるのとないのじゃ全然違うわ」

「どうもッス」

「椿さん。最高に格好よかったです」

「ありがとね~」

奈美さんは笑顔で手を振り、晃は照れながら頭の後ろを掻いている。椿は言われ慣れているのか自信たっぷりな表情を見せている。

そして、四人が俺の前まで来てくれた。

「よっ!どうだったよ京介~。って、言わなくても顔に描いてあるがな」

村越さんが俺の肩に腕を回しながら絡んできた。

「村越さん。村越さんだけ声掛けられてなかったですね」

「言うなよ!!!」

新人の晃ですら声をかけてもらっていたのに村越さんには誰も声をかけようとしなかった。(いか)ついおっさんが目をギラギラさせながら歩いてたらそりゃ、誰も声かけないわな。本人はただ、声掛けて欲しくてウズウズしてただけだろうけど。付き合いが長くないと分からないよな~。

「ドンマイ村越さん」

「慰めんな!余計に寂しくなるわっ!」

全く人の好意は素直に受け取ってほしいもんだよ。

「京介くん。このあとみんなで近くのファミレスにご飯食べに行くけど、一緒にどうかしら?」

「もちろん行くわよね?」

「はい」

断ってはいけないオーラ満載の疑問文に俺は二つ返事で答え、近くのファミレスに向かった。


テーブル席に向かい合って座る俺たち。ソファー側に端から椿、奈美さん、村越さん。椅子側に俺と晃の5人だ。

「ドリンクバー取ってくるけど、何がいい?」

「わりぃな。生ビール頼むわ」(村越さん)

「それじゃぁ、アップルティーをお願い」(奈美さん)

「俺は、コーラで」(晃)

「俺、ジンジャーエール」(俺)

「りょうかい。晃、手伝ってくれる?」

「あいよ~」

椿と晃は立ち上がりドリンクコーナーへと歩いていった。

「さてと、今日はお疲れ様京介くん。朝早くから大変だったでしょ?」

「そーですね。早朝からの不法侵入に車への拉致監禁。手を縛られての強制連行と非日常的な半日でしたね」

何か冷静に語ってみたら、すげー犯罪的な状況だったね。ニュースのトップを飾れるくらいの見事な誘拐事件発生だ。実行犯は山城 椿。計画犯は桐木 奈美。共犯者の晃。村越さんは……まぁ、知らなかっただろうな。そして、被害者は正木 京介。

これって、椿と俺の立場が逆だったら間違いなく犯罪者確定コースだわ。

「まぁまぁ、そう拗ねないで。埋め合わせに今日は奢るから好きなもの食べてちょうだい。それに、来てよかったでしょ?」

奈美さんの質問にニヤーと笑いながら村越さんがつけたした。

「お前も晃と同じ顔してたぞ。“よさこい”に魅了されちまったんだろ?それにまた、昔みたいに椿とも(つる)めるんだし、俺や奈美さんも一緒とくりゃ、断る道理は無いわな」

「そーッスネ。現状無趣味な俺には断る理由も無いですし。一緒にやるのも嫌じゃないかなって思います。ただ…」

「「ただ??」」

「村越さんの厨二病的な叫びがちょっとひいちゃいました」

「お前にだけは、言われたくないわ!」

「確かに、一理あるわね」

「奈美さんまで!?」

「冗談よ。あなたの煽りのお陰で雰囲気が格段に違うんだから自信もって。ちょっと厨二病くらいの方がかえって味が出ていい感じよ」

「厨二病は否定してほしかったよ!」

「まぁまぁ、二人ともそのくらいで」

「おまえが原因だろが!」

村越さんの必死な魂の叫びに周囲のお客さんは迷惑そうにジト目を送っていた。全く大人なんだから、もっと落ち着いてほしいものだ。恥ずかしいなぁ。

「おまたせ~。村越さん、いい大人が大声出さないで下さいよ。周囲の人たちに迷惑でしょ。まったく恥ずかしいなぁ」

「そうよ村越くん。子供じゃないんだから、TPOを弁えないとダメよ。叫ぶのは演舞の時だけにしてちょうだい」

「ちょっ、ちょっと!やめてあげて下さい。村越さんのHPはもう0ですよ!それ以上は、もう、ザ●リクもレ●ズも効かなくなっちまう!!」

椿と奈美さんの容赦ない言葉と晃のよくわからないフォローに村越さんは死闘の末にリング上で真っ白になったボクサーのように力尽きていた。立て立つんだ厨二病!っとこのままではあまりに可哀想過ぎるな。

「村越さん大丈夫ですか?!ほらエリク●ーです。飲んで下さい!!」

とりあえず、完全回復薬(生ビール)を村越さんに渡した。

…グビグビグビ…

「プッハー!クゥ~~~!!やっぱ人生この一杯のために生きてるようなもんだよな!ん?何だお前ら??」

村越さんの変わり身の早さに一同生暖かい目を送っていたが、飲兵衛には効果がないようだ。


此処まで読んでくださりありがとうございます。

さて、よさこい演舞と京介の入会決定。村越さんの厨二病発覚と色々書かせて貰いました。村越さんのキャラはイジられ役確定ですね。ワイルドな頼れる兄貴的な感じも捨てきれなかったんですが、こっち方面で確定しました。次話はよさこいうんちく的な話を書きます。依頼チームの振り付け指導が先週から開始したので、次話も日曜日投稿になりますがよろしくお願いします。

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