表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/51

真実と虚偽

「お前らは今日から黒死蝶(こくしちょう)のメンバー、つまりあたしの家族だ!今決めた。ありがたく思いな!」

「おい!京介!!アニメ●トいくぞ直ぐいくぞ速攻でいくぞ~!!」

「お前、バイク乗れねーの!よしあたしが教えてやんよ」

「京介!あんたが二十歳になったら一緒に酒飲んで煙草吹かしながら朝までバカ話して、ついでに大人の階段進んでみるか?」

「おい京介!椿を何とかしろよ!うるさくて仕方ないったらありゃしねー!」

「はぁ~!?お前バカか?あたしと結婚したいなんて変わってるな~。まっ、まぁ、京介が二十歳になって、あ、あたしも一人だったら…その…考えてやっても…いいぞ」

「…京介~。ごめんな。……一緒に………」

佳奈さんの想い出はいっぱいある。楽しい想い出。ムカつく想い出。恥ずかしい想い出。悲しい想い出。あの頃が永遠と続いていたならどんなに幸せだっただろうか。


「椿ちゃん。ごめんなさい。貴女に話さないといけないことがあるの。京介くんは」

奈美さんは沈痛な表情で、椿の疑問に答えようとした。しかし、京介がそれを手で制し大きく頷いた。

「奈美さん。俺が話すよ。俺がみんなに頼んだんだから」

そのやり取りを見た椿は混乱していた。

「何なの一体。佳奈さんが死んだのは京介とのパスレースが原因でしょ!京介が転倒してそれに巻き込まれて佳奈さんが…」

佳奈さんのチーム黒死蝶(こくしちょう)はスピード狂の集まりでバイク乗りだけで構成されていた。深夜点滅信号の時間帯直線道路をノンストップで走り抜けるシグナルレース。峠道にスタートとゴールを決めて競うパスレース。その二つが主にみなで集まり遊ぶ主流だった。そのパスレースで京介が転倒し後方から来た佳奈さんが巻き込まれた。それが椿の知っている佳奈さんの死んだ原因である。

「椿。椿が聞いている内容は半分が真実で半分が嘘なんだ。パスレースは当時確かにやっていた。そのレースに俺も晃も参加していた。そこまでは事実なんだ。けど、そのレースで俺が転倒したのは事実じゃない」

京介の口から語られた言葉に椿はテーブルを叩いて身を乗り出した

「嘘よ!佳奈さんは黒死蝶のリーダーなのよ!!あたしが知る限りあの人以上のバイク乗りなんて見たこと無いわ。そんな佳奈さんが何も無い道で事故するなんておかしすぎる!!そんなのありえないわ!」

その疑問にそれまで傍観に徹していた晃が目を開けて椿を見つめ問いかけた。

「そう。ありえないんだよ椿。お前この話を聞いておかしいと思わなかった?なんで、あれだけのバイク乗りがパスレースで京介みたいな初心者の後ろに居たのかをよ」

「え?」

椿は固まってしまった。“佳奈さんの死”というありえないほどの現実に思考がそこで止まってしまい、疑問にも思わなかったのだ。しかし、晃の言葉が椿の思考の湖に波紋を起こした。

「…たしかにおかしい。そう。おかしいわ。あたしたちはあの頃バイクに乗り出したばかりで、いつも佳奈さんのテールすら追いかけられなかった。あの人の前に京介か出るなんて……絶対にありえない。でも、どうして。どうして京介はあたしを騙したの!あたしに憎まれてまで嘘をつく必要なんてないじゃない!!」

椿は京介の方に顔を向き糾弾(きゅうだん)した。

「…それは、佳奈さんは事故で死んだんじゃなく、殺されたからなんだ」

京介は拳をギュッと握り締めうつむきながら椿の疑問に答えた。

「……な、なにそれ…」

椿は放心状態になり、座り込んでしまった。京介はそんな椿に真実を伝えた。

「あの日、パスレースを終えて、いつもみたいに、みなで集まって騒いでいた。そしてそろそろ帰ろうってなって、みなバイクに乗って散って行った。俺も佳奈さんと少し二人で話をしてから一緒に走り出した。いつもみたいに俺は佳奈さんのテールを見ながら走っていたんだ。ちょうど、信号機が機能する時間だった。交差点が赤になったから俺はブレーキを掛けてスピードを落とした。けど、佳奈さんは全くスピードを落とさなかった。交差点までまだ距離があったし、俺と佳奈さんじゃテクも全然違う。だから、俺は気付けなかった。交差点間近になってもスピードが落ちなくてテールランプも光らない。無理にエンジンブレーキを掛けている感じがしてはじめて気付いた。“おかしい”ってな。そしてそう思った瞬間にそれは起こった。…交差点にトラックが走ってきて佳奈さんが…跳ねられた」

京介は思い出すのが辛いのか、震えながらしゃべっていた。そんな京介を奈美さんと晃は心配そうに見つめ、椿は目を見開いてかすかに震えていた。そして尚も京介は語り出した。

「俺は救急車呼んで一緒に病院に行った。奈美さんと晃にも連絡して。奈美さんと晃が来たのは佳奈さんが集中治療室に運ばれた後だった。そして俺は二人になぜこうなったのか説明した。救急車を呼んで佳奈さんのヘルメットを脱がして俺は佳奈さんに呼び掛け続けた。そしてふと気になってハンドブレーキ触ったんだ。そしたら、ブレーキがかからなかった。オイルが全く入ってなかったんだ。そう。佳奈さんは止まらなかったんじゃない。止まれなかったんだ」

ここまで読んでくださりありがとうございます。

また、シリアスシーン突入しちゃいました。

あと一話でこの話も終わりを迎える予定です。やっとよさこいシーズン突入の目処もできたのであと六話ぐらいで新章に入れると思います。よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ