7 授業
「おはよう諸君、授業を始める」
目の前に立つのは厳格な初老の教官だ。教室に入ってきた時から感じられる圧倒的な威厳に、思わず体が固くなる。
「先に自己紹介を行おう。私の名はガイル。元王立騎士団第1部隊隊長、ガイル=ファン・アレクサンダーだ。隠居後はここでバーク=ファン・アルシュ2世様に仕えている。以後お見知りおきを」
教室がどっとざわめく。
なんでも第1部隊隊長とは、戦争(対人・対国)における将軍職を任されるほどの超要職らしい。
「授業は1ヶ月程度しかない。その中で10人に選ばれたくば、せいぜい頑張るが良い。今日の授業はここ、ユー大陸の常識と政治的関係だ。しかしいちいち国の名前を覚えるのではない。種族間の相関関係を頭に叩き込め。頑固なドワーフとプライドの高いエルフの中は険悪、獣人とエルフも険悪だ」
「え、えええるふって、どどど、どことも仲が……わる、るいんですね……」
水色ショートの少女が、おずおずと反応する。
「それは違うぞ、リル・ラキシア。エルフは人間と魔人と仲が良い。あくまで性格や過去の歴史の中で、獣人やドワーフがエルフと合わなかっただけの話だ。我々魔人は唯一ドワーフと仲が悪いが、この王国にはドワーフ産の魔道具が多く売られているし、使われているぞ」
(ほへー、転生前のファンタジー知識と違うところが多いんだな)
「そして5種族全てにとっての共通敵が魔物と邪神だ。これは国に左右されない冒険者ギルドや神殿勢力等にとっても敵だ。よく歴史を理解しない有象無象が魔王を敵視することがあるが、ここでの魔王は我らが魔人にとっての王族のことだ。なにか質問はあるか?」
赤髪の少年が元気に手を上げる。
「先生! 邪神と神様って何が違うんですか!」
「よくぞ聞いた、アーサー・ラーゴ。邪神というのは最高神アーラ様が過去に過ちを起こした神を追放したとき、魔障に祟られて堕ちた存在のことだ。最高神の弟こと、聖封神ルーラ様が抑えられようとしているのだが、生まれてくる存在が多く、我ら生者も協力するべきだと言われている」
「えええええ!?」
思わず素で声が出た。
「どうした、シオン・エイドリアン」
「い、いえなんでも……」
(あのポンコツ最高神の弟だったの……!? ウッソだー!?)
「そうか、では今日は初回授業のため、みんなの力を知るために実技授業に移る。訓練場に移動するぞ」
「「「はい!」」」
難しい話を理解できずウトウトしかけていたアリアが飛び起きて、慌てて移動し始めた。




