5 急遽
鑑定の儀から1週間ほどたった。俺は相変わらず毎日家事の手伝いだったり、木刀の素振りだったりとほぼ変わらない日々を送っている。
「にいちゃ〜ん!あそぼ!!」
おっ、エルが誘ってきたな。
エルはまだ人にかまってほしいお年頃らしく、毎日のように家に来るアリアとミールの幼馴染姉妹、そして俺と一緒に遊んでいる。
遊びと言っても、レベル1の時点で素早さ1500の俺を鬼ごっこで捕まえることはまず無理なので、少し手加減しながらみんなと楽しく遊んでいる。ちなみに俺は転んだだけでも致命傷なので、毎回結構ハラハラしていたりする。
この世界では全員に職業があるらしく、「魔の者」という謎の役職だけではなく、母さん(リア)の「薬草師」や父さん(マルク)の「大剣士」等、様々な役職がある。
前に素振りをしているとき、少し父さんと打ち合ってみたのだが……
うん、相手にならん。
並の大人を遥かに凌駕する攻撃力と素早さを持っている俺だが、『魔力纏い』のスキルを使用して補強した木刀も無惨に木っ端微塵にされて敗北した。いやー、かすっただけで致命傷なんだからもっと手加減してくれよ!?
……とか思っていたが、この一週間で『魔力纏い』を応用することで、木刀のダメージを1程度に抑えることができるようになった。まあ、痛いのに変わりはないけど。
今日も遊び終わって、家族みんなで夜ご飯を食べるときに、かなり大切な情報を父さんから知らされた。
「シオンー、お前明日からアルシュ家にお父さんと一緒に通うぞ!」
「は?」
マジで意味がわからない。
武人である父さんがゼロの家、いわゆる貴族家であるアルシュ家に働きに行っているのは知っていたが、俺がついていくってどういうこと?と思いながら説明を聞く。
「実はな、5歳で鑑定の儀を受けたシオンとかアリアちゃん、ゼロ坊っちゃんみたいな子どもたちは、みんなその地を治める貴族のもとで試験というか授業を受けるんだ。その授業の中で活躍した者は、教師の推薦のもとで来年からアルファ王国王都ララルシオの学院に通うことになるんだ! 頑張ってこいよ!」
「は?」
(いや言うの遅すぎだろ! 明日!?)
ということで俺は急遽、アリアやゼロと共にアルシュ家で授業を受けることになったのだった。




