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第11話 そこもかよ!

 禍々(まがまが)しい空気の中、ショートパンツにパーカーというラフなスタイルの子供の姿。10歳前後だろうか、その姿からは想像出来ないほどに落ち着いている様に見える。


「キミ、魔人だよね?」


 彼はそう言うと、ゆっくりと距離を詰める。

 しかしなぜ、マモが魔人だと知っているのだろうか? 魔人について、まだよく分かってはいない俺はその場をただ、彼女に任せる他はない。


「あちゃー。魔法を使ったからかなぁ」


 マモは頭をポリポリと()きながら、やってしまったと言わんばかりの顔を見せた。


「マモ、もしかして彼も魔人なのか?」

「まぁ、会ったことは無いけど多分そう。見たところAランクかな。少なくともBランク以上だとは思うけど……」


 以前聞いた話ではマモはSランクという話しだった。それなら格下であるはずの彼は別に問題にならないのではないかと安心する。


「ちょっと厄介かもね……」


 なぜかそうつぶやくと、少し顔をしかめているのが気になった。


「マモの方がランクは上なんだろ? それなら問題ないんじゃないのか?」

「本来ならね。でも今は魔道着(まどうぎ)を殆ど着てないからあんまり良くはないかも……」


 魔道着というのは、現れた時に着ていたドレスの様な服の事だろうか? 確かに彼女は、クラスに編入する為に学校の制服を着ていた。


「それでキミは何故人間に溶け込んでいるんだい? 魔人のルールを知らないはずはないのだけど?」

「もしかして監察官(かんさつかん)? だとしたら話は早いわ。私は仕事中なの!」

「仕事? まさか召喚でもされたとでもいうのかい。それともそのレベルで神器の魔人とでも?」

「私は富と名声のアーティファクトの守護者よ」


 すると子供の魔人は高らかに笑う。マモが言うアーティファクトというのはスマートフォンの事だろう……ってそうだったのかよ。


「おっと、分かっているのかい? 虚偽(きょぎ)で守護者を語るのは重罪だよ?」

「本当よ、今はただ……うぎゃっ」


 すると彼はマモを地面に叩きつけた。


「だから重罪だって言っているだろう? 僕はキミみたいに力に溺れ好き勝手し始めた魔人を裁く監察官なんだよ?」

「だから……嘘じゃないって言ってるでしょ!」


 ユキオさんをあっさりと倒したマモが、こうも簡単に地面に押さえつけられている。正直なところ並の人間の俺にはどうする事も出来ない。


「なぁ、住穂を離してやってくれないか?」

「すまない。部外者は黙っていて欲しいのだけど」

「いや、俺はその子のクラスメイト……いや、ダチなんだ……」

「ダチ? ああ、友達って事?」

「だから部外者という訳ではないだろ?」


 子供の魔人はきょとんとした顔をするも、離す様子はない。人間に危害を加えるつもりは無さそうなのだが、仮に攻撃されたとしたらカズキが危ない。


「人と生活をしているのか?」

「離してよっ!」

「答えろ。返答によってはこの場で断罪する」


 マモ……。何も知らないカズキですら、助けようとしている、俺に何か出来る事はないのか。俺はスマホを握りしめる。魔人の圧倒的な強さに震えているのがわかる。


 そうだ、願いを使えば彼女を助けられるのかもしれない。とはいえ何を願う? 魔人を倒してくれというのも違うし、そもそも願いはマモの力で発動するのに意味があるのか?


「【マモを助けてくれ】」

「……ごめん、無理」

「マジか……どうすればいい?」

「スマホでアプ……ププッ」

「何を話している? 僕の問いに答えろよ?」

「アププって何!?」


 スマホ?

 彼女はスマホの魔人。つまりはこれが本体なのかそれとも魔界的な所と繋ぐものなのか……周りをみると、カズキも彼の勢いに押され動けないでいる様だ。


 ダメ元でスマホを開く。マモの顔の様なアイコンが出ると俺はアプリがあった事を思い出した。あの時これを押したらマモが出て来た。本来の彼女がSランクというのが本当ならこれを押せば元の姿になるのではないだろうか?


 こうなったら押してみるしかない。

 プニッとな!


 するとアプリが起動する。すると取り押さえられていた彼女の姿が消えると、現れた時の様に光と共に目の前に最初の姿のマモが召喚された。


「全く、呼ぶのが遅いじゃない!」

「はっ? どういう事?」

「だから私はアーティファクトの守護者なんだって言ってるでしょ?」

「そんなはずは……だとしたらお前は、いや貴方様は七大魔神の一人……」

「そう、マモン様から富と権力の力を継承した魔人、住穂マモよ?」


 えっ、ちょっとまって。マモって本名なの?


「う、嘘だ。だとしたらこんなに魔力が弱いはずは……」

「そうね、魔道着をパンツしか履いてなかったもの。パンツしかね!」

「真剣そうな場面でパンツ連呼するなよ!」


 もしかしてそれでパンツから銃を……


「ちゃんと魔道着を着た私の力を測ってみるといいわ」

「僕は仕事をしていただけだ。まさか、七大魔神がルールを破るなんて思うわけないじゃないか!」

「勘違いしている様だから教えてあげるけど、私は別に破ってないわよ?」

「え……?」


 そう言うと彼女は俺の方をじっと見た。確かにおれが変な願い事をしたのが原因だ。


「願い事の最中……確かに概念的な理想を叶える際は時間がかかると聞く。そいつがそんな願い事をしたと言うのか?」

「タカシはもっと単純。100個に増やす事をねがったのよ。おかげで私は低賃金長時間労働の真っ最中と言うわけ」

「ああ……それは、魔人もびっくりの凶悪さだ」


 え、そんなに?

 結構誰でも思いつくと思うのだけど、俺ってそんなにヤバかったの?


「と言うわけで、キミがしたのは業務妨害ね」

「ああ、分かってるよ。まさか魔道着を外していたなんて僕のミスだ……粛正を受けるよ」


 粛正って殺すのかよ。


「こう言っているけど、タカシはどうするの?」

「はあ? 俺が決めるのかよ?」

「殺すもよし、奴隷にして妾にするもよし!」

「そんな趣味ねーよ!」

「そうなの?」

「そうだよ。とはいえ殺すまではちょっとな、他に方法は無いのかよ?」


 マモが少し考えた素振りを見せると、ポンっと手を叩く。


「なら契約して貰うのはどう? タカシは無理だけど二人のどちらかとならできるよ?」

「あー、こいつも願いを叶えられるのか?」

「いや、守護者以外には無理ね。でも仮守護者みたいな形で条件の範囲ならお手伝いはさせられるわよ?」

「なるほど……」


 すると子供の魔人が慌てる様に口を開いた。


「ぼ、僕、このお兄ちゃんがいい!」

「お、俺? いや俺は、妹とかも居るし面倒は見れないからなぁ」

「迷惑はかけない!」

「そう言われてもなぁ……」


 すると清水さんがぬっと現れ手を上げた。


「わ、私じゃダメでしょうか?」

「まぁ、宮田が無理ならいいんじゃない?」

「僕は何もいいません」

「それじゃ、契約ね!」


 ふわっとマモが手をかざすと清水さんのネックレスが光る。ただ一つ気になっていたのは彼女はなんで名乗り出たのだろうか。


「契約完了! そのネックレスの仮守護者だから、大切にしてね!」

「ふふふ……これでショタ……いや、美少年を使役した生活が……」


 ヤバいヤバい!

 清水さんがヤバい子だったのを忘れていた!

 というかショタも範囲内なのかよ!


「美少年? その子監督官でロキの継承者だから女の子だよ?」

「そ、そうなのですか?」


 あちゃー。清水さん早まってしまったか。だが、女の子なら安心だ。


「ロ、ロリっ子……ふふふ。それもかわいいです」


 そこも範囲内かー!!

お読みいただきありがとうございます!

もしよろしければ評価、ブックマークをして頂けると創作の励みになります!


感想などもございましたらお気軽に書いていただけると嬉しいです★


次回もまたお会い出来る事を楽しみにしています(*ꆤ.̫ꆤ*)

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