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空と海の掌握者(コンダクター)  作者: 小田崎コウ
第一章
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21/27

第二十話 こんな終わり方ってアリっスか?


「いま、午後十一時半ね。空母の運用が可能なスタッフは集まったかしら?」

「はい! 元米国海軍のスタッフが、各所に一名はいて、不足分は日本人で補えます」

 空母の作戦司令室に、連絡係をこなしている瑞穂さんが、現れました。

「ねぇ純一、佐官級以上の幹部はまだ集まって来てないの? こういう場合、法的にはどうなるの?」

「ったく、人使いが荒いなぁ……。現在も、姉さんが最上位者で、法的にも有効ですよ」

 純一さんは、唯一の法務幹部として、御笠少佐をサポートしています。

「ねぇ、英輔、パイロットの練度はどれくらいなの? Fー16の経験者は?」

「全体的に見て低いですが、元米海軍出身のFー16経験者が二名います」

「そう。では、その経験者をトップにした、二つの飛行戦隊を構築しなさい!」

 天城大尉は、御笠少佐に頭ごなしに命令されていましたが、なんだかうれしそうです。

「アコは早く、国防軍の指揮系統ネットワークに、割り込みをかけなさい――」

「いま、やってるっすー……。十五分も見てもらえれば、情報本部として確立できるっす」

 アコさんは先ほどから、御笠少佐に縦横無尽に用事を言いつけられてマス――。

「じゃあローネは、各レーダー基地から第一報が入り次第、パッシブ運用でテンゲンを使ってちょうだい!」

「わかりましたです――」

 一番安全だという事で、作戦司令室の隅にワタシの場所を作ってもらえたです。



「では……午後十二時をもって情報本部の権限を確立させて、空母を出航させます」

 御笠少佐は、重圧をそうと感じさせない表情で、命令を下しました――。



「御笠少佐、乗り込みを希望する全員のID確認が終了しました。いつでも出航可能です」

 瑞穂さんは、チェックシートの束を手にして、作戦司令室に走り込んで来ました。

「純一! 現在をもって、連結ボルトを爆砕し、以降の乗船を認めるな!」

 純一さんは、不平をこぼしそうにしていましたが、握り拳を見て逃げていきました。

「少佐! 現時点で利用可能なのは、Fー16が九機でパイロットが八名です」

 天城大尉は、受話器を置いて振り返り、御笠少佐に報告をしていました。

「国防軍の指揮系統ネットワーク上に、情報本部の権限で確立! 上位者なし」

 アコさんは、カタカタと鳴らし続けていた、キーボードの手を止めました。



「それでは現時刻をもって、統合任務部隊『サンダーホーク』を名乗る!」

 御笠少佐はマイクを手にして宣言しました。

「乗り込んだ総員の国への思いは預かった! 空母サンダーホーク、出航せよ!」

 その直後に汽笛が鳴り響き、作戦司令室のみんなは背筋を伸ばしました。




「ただちに横須賀軍港を出航後、右に回頭して浦賀水道を通過し、相模湾に出よ」

 御笠少佐は受話器を手にとって、艦橋に指示を出していました。



「瑞穂! 御笠国防大臣か、天城政務官へのコンタクトを、要請しなさい」

「はっ! 至急警視庁との連絡網を復活させて、コンタクトを取ります!」

 瑞穂さんは、警視庁との連絡係まで、命じられてしまいました。



「現在、戦術リンクが確立している、いかなる基地からも敵影報告ナシ!」

 アコさんは報告したあと、わたしを安心させるかのように、笑みを浮かべました。

「どうにか準備が間に合ったようね……。純一は百里基地との連絡を急げ」

「ハイハイ……。やってますよー。えーと、電波障害は潮風で晴れつつあります」

「英輔は、もしヘリで乗り込んで来るようなバカがいたら、対応をしなさい」

「バカと書いて『物好き』と読むのでありますね! 少佐。早速、国防海軍の護衛艦四隻とイージス艦二隻が、参加を求めています!」

「この場合は『苦労人』と読むのよ。参加を認めるわ。輪形陣を構築するように伝えて!」

「姉さん、三浦半島の防空陣地から、サンダーホークの指揮下に~」

「認めるわ! 百里はまだ? あと館山の防空陣地に、呼びかけを続けなさい」

「ぼくにだけ厳しい気がするけど、気のせいかなぁ……うへぇっ」

 純一さんは、少佐にぽかりと頭をはたかれて、照れ笑いを浮かべました。

「アコ! 忙しいだろうけど、例の指向性の通信装置『スピーカー』の準備も進めて!」

「了解っす。設計図は頭の中にありますし、空母の元スタッフが、作業しています」

 裏ネット以上のやり方で、作戦命令を下す方法なんだそうです。



「おい、アコ嬢ちゃん! その出力を持つような機体は、ひとつしかないぞ?」

「お疲れさまっす! あの条件を満たすだなんて、いったいどんな機体なんすか?」

 通話の相手は、空母の元スタッフの方のようでした。

「聞いて驚くなよ? 電子戦仕様の早期警戒管制機で、垂直離着陸が可能なんだがな――」

「はぁぁっ? そんな機体、ロールアウトしてました? それって、動くんスかぁ?」

「動くとも。最高の状態で保管され、横田に運ぶ途中だったんだよ。極秘裏にな」

「マジっすか! 戦闘をしないなら、飛ばすだけでじゅうぶんっすよね……」

「ただし、問題がひとつあってな……。バラさないと、飛行甲板に出せないんだ……どうするね?」

「んなぁっ……。それじゃあ、意味がなくないっすか? おやっさーん!」

「まぁ、そうなんだがな……。部品だけでも使うかと思ったが」

「ちょっ、Fー16に、電子戦用のレドーム乗せるとか言わないでくださいよ?」

「ティルトローター機でも調達できるんなら、何とかなるだろう」

「はぁっ? ティルト? そんなん、あっという間に撃墜されてしまうっすよぉ?」


「アノ……それって……。飛行甲板にさえ、出せればいいんデシュよね?」

 ふと思いついた事があるので、声をかけたんですが、かんでしまったです。

「え? そりゃあ……そうっすけど? いったい魔法で、どうやるつもりなんすか?」

「えぇと……アコさんなら、プログラム的に考えたら、簡単な方法だと思います」

「えぇ? プログラミングが何か関係する……って、もしかして、位置座標に割り込み?」

「イグザクトリィ|(その通りです)人間だと、怖くてできないんですけど」

 MAL○Rに、あこがれていたんですけど、石の中はイヤですからネ……。

「うーわ……それって、めっちゃチートじゃないっすかぁ……マジやっべぇ!」

「えーと、嬢ちゃんら……さっきから何言ってんだ?」

「それはいいから、おやっさんは、その準備を進めておいてくださいっす!」

「やろうとしてる事はわかったわ。Fー16が発進して、甲板が開いたら試してみて」

 御笠少佐も、わたしたちの話を理解したのか、許可を出してくれたです。



「姉さん! 百里から電波中継機が飛んだので、リンクが確立しました!」

「じゃあ、戦術核の話をして協力を求めなさい。可能なら統合作戦部隊に参加要請を」

「それは完了してます。あと小一時間は飛べるので、首都圏との通信も可能です」

「そう……。百里に気の利く人間がいてくれたのね。瑞穂と連携しなさい」

「ちぇー……。褒めてくれてもいいと、思ったんだけどなぁ……。鬼少佐どの」

「あーはいはい……。これだから、弟は手がかるのよねぇ……よくやったわね」

 その言葉を聞くと、純一さんは満面の笑みを浮かべて、敬礼しました。

「姉さん! 百里の電波中継機を経由して、通信要請が届いています!」

「その顔つきじゃ、かなりの上位者のようね……。私が出るわ」

 少佐は天城大尉に、この場にいる者に通話が聞こえるように指示をしていました。



「統合任務部隊『サンダーホーク』とやらを名乗っているのは、そちらで間違いないか?」

「統合幕僚長と陸海空の幕僚長の死亡が確認されており、負傷して入院中の、情報本部長から指揮を託されている、御笠詢子少佐であります……そちらの官姓名を述べよ――」

 こちらを探っているかのような声に、少佐は毅然(きぜん)とした態度で答えたです。

「ふっ……。こんな親子の対話というのも、むなしいもんだとは思わんか? 詢子――」

「英輔から聞いたんですか? 物事には総じて、たてまえという物があるんですよ――」

 アレ? この声はどこかで聞いた事があるんですケド……それって、もしかして――。

「照れるな照れるな……。まぁ、それはおいておくとして、戦術核による特攻機だと?」

「まだ未発見なんですが……だとすれば、すべての敵の行動に説明がつきますから――」

 天城政務官は、何というかその……一筋縄ではいかないタイプの人みたいですネ。

「で……どうやって、サンダーホークなんて骨董こっとう品を引っ張り出せたんだ?」

「当艦は現在、考え得る限り、最もクリーンなエネルギーで運行しています」

 御笠少佐は、おとうさん……。天城政務官からの質問を、華麗にスルーしてるです。

「まだ、わたしにすら明かさん気かね……まぁいい。期待してもいいんだな? 詢子」

「ええ。私たちで無理なら、きっとどこの誰にも、阻止する事はできません」

「よろしい……。では……御笠国防大臣との連名で、統合任務部隊『サンダーホーク』を承認する」

「ありがとうございます。成功しても失敗しても、責任を取って辞職する覚悟はできています」

「まぁそう言うな、詢子……。御笠大臣からも一言あるそうだ……傾聴せよ!」



「詢子か……。わしにもいろいろとその……認めがたい事があってなぁ……」

 ばつがわるそうな声で、ぼそぼそとしゃべっているのが、本当に大臣ですか?

「おまえが……。娘があまりにもかわいかったもんで、欲が出たんじゃよ」

 次の瞬間の御笠国防大臣の言葉を聞いて、作戦司令室にいた全員が硬直していました。

「えぇ? じゃあ、ぼくはハズレって事ですか? おとうさーん」

 真っ先に反応したのは純一さんだったですけど、目が笑っていますネ。

「って、国民の財産を使ってこんな通信をしてもいいのかしらね」

 詢子さんは、そっと目尻の涙を指でぬぐっていました。おとうさんとの誤解が解けて良かったですネ。

「まぁ……そういうワケだ。早坂の姉妹もそこにいるそうだな……。ちばりよー!」

 意味不明の言葉で通信が切れたですけど……。

「あっはっは……。やっぱり御笠のおやっさんは面白い人っスねぇ。意味不明っすけど」

「あれ……。姉さんが高校の修学旅行で沖縄にいった時に渡した、お土産のTシャツの言葉ですよ」

 そういえば、お世話になっているって……アコさんも瑞穂さんも言っていましたよネ?

「えーと、姉さん……。抹消するわけにもいかないんですよ。統合任務部隊の認証ですから」

 天城大尉は、装置を操作して、一枚のディスクに保管しながら、ほおをかいたです。



「何はともあれ、無事認証されたんスから……。こういう場合では法律ではどうなってるんスか?」

「国防軍法の修正第二十二条では、統合任務部隊は司令部を置く事になっていますから……」

 アコさんの問いに、純一さんが反応し、数秒考えてから、法律をそらんじていました。

「という事は、詢子お嬢様が『司令』という事になるんですね……すてきな響きですね」

「当艦は、相模湾の指定ポイントに到達したそうです。『御笠司令』指示を願います!」

 天城大尉も満面の笑みを浮かべて立ち上がり、御笠司令に敬礼をして問いかけました。



「まったく……。どいつもこいつも、私に指揮を託そうだなんて、物好きな事ねぇ……。それではこれより、敵の奇襲攻撃にたいする要撃作戦を開始する! 状況開始セヨ!」

 その、いまにも泣き出しそうな御笠少佐の瞳を見ていると、胸がいっぱいになりました。



 御笠・早坂の、ワンポイント・打ち切り講座

御笠:「私たちの戦いはこれからだ! 小田崎氏の次回作に注目~」

早坂:「いやいや! こんなところで、打ち切りじゃないっすよ?」

御笠:「昔『コマ○ダーゼロ』って漫画でトラウマ級の打ち切りを」

早坂:「いや、若い人には分かりませんって。年がバレルっすよ?」


サブタイ詐欺ですみません(笑)

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