表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空と海の掌握者(コンダクター)  作者: 小田崎コウ
第一章
PR
14/27

第十三話 ステキじゃないサプライズっす

「ローネ……ローネや……。おや、どこにもいないと思ったら……また、こんなところで魔法の練習かい?」

「あ、おばしゃん……だって……わたしだけ、うまく使えないんでしゅから……」

「お師匠と呼べと言ったでしょう? それにわたしは、大叔母だって説明を……」

「違いがよくわからないでしゅ……どうして練習をしたらいけないんでしゅか?」

「それは……おねえさんたちとは、年季が違うんだから、同じようにできるわけないのよ?」

「それが分からないでしゅ。村では、かけっこでも負けたことがないんしゅよ?」

 となりのアマネーにも、そのとなりのイシュケルにも、となりのとなりの……。

「どう説明したらいいかねぇ。あんたの産まれたばかりの妹が、あっと言う間に……」

 わたちの方がおおきいのに、どうして言う事を聞かないと、いけないでしゅか?



「それにわすれちゃいけないのよ……ミストークの力は祝福なんかじゃないって事を――」

 あぁ、そんな事をいってたでしゅね……だれかが覚えててくれるなら、べつにワタシはかまわない……でしゅから。




「ローネ……ローネ……」

 わたしは、ほほにぽたぽたと落ちてくる、熱いしずくに打たれて目をさましたでしゅ。

 どうやら車の後部座席で、アコさんにひざまくらをしてもらっていたようです。

「良かった……ローネが目を覚ましたっすよ、大尉!」

「本当? 良かったわぁ……心配したのよ? ローネ」

「アレ? どうして、泣いてるでしゅか? アコさん……」

 顔を真っ赤にして、くいしばるようにして涙を流していたのは、アコさんでした……。

「何言ってるんスか! ばったり倒れて、呼んでもゆすっても、起きなかったんすよ?」

「あぁ……大島の左から、回り込もうとするお船がいたっしゅよ? 大丈夫でしたか?」

「ちゃんと聞こえたわよ。ローネの報告がないと、民間人の乗った船が危なかったのよ」

「そだったですか……本当に……よかったでしゅ……」

「そんなの、ちっともよくないっすよ……心配したんだからぁ!」

「ごめんなさいです……アコさん。大丈夫ですから!」

「病院に向かおうとしていたんだけど、その方がいいわよね?」

「あ、寝てれば治るですから、大丈夫です……。ちょっと拡大をしすぎただけで」

「よく考えたら、敵が来ないか見張る程度ならともかく、無理をすれば疲れて当然よね」

「のどかわいてないっすか? ポ○リがあるっすよ?」

「そういえば、ずっと水を飲んでなかったですね」

「夢を……みていましたです……。ワタシに……妹がいた事を思い出したです」

「えぇっ? ローネって、ひとりっ子じゃなかったんスかぁ?」

「そういえば、家族構成とか聞いてないわよね……」

「妹が産まれた事で、修行に出ることになったので、名前しか知らないんですけど……」

「そうだったんすか……きっと、ローネに似てるんでしょうねぇ」

 今ごろになって、お師匠の言葉の意味に気づく事ができたです。



「じゃあ、頭を起こして飲むっすか? ゆっくりっすよ? ローネ」

 心配をかけてしまったせいか完全におねえさんになってマス。

「んっ、おいしいです……からだに染み渡って行くようです」

「というか、早坂……。ローネの体調管理は、あんたがしてくれてるものと」

「本当にすみません。自分は熱中すると、回りが目に入らなくなるもので……」

「あの……伊豆大島の戦況は……どうなったんでしょうか? 避難できました?」

「百里基地のパイロットが先導となって、大量の戦闘機を連れていったそうっす」

「いつも伊豆大島で訓練をしている、名物パイロットだそうね。助かったわよね」

「はぁ……そうですか。無事で本当によかったですよ」

 ようやく張り詰めていた精神をゆるめる事ができたんですが……おなかも鳴っちゃいました。

「おなかもすいて来ちゃったんすね? おにぎりがあるっすよ」

「もう、お昼すぎてるんですネ……じゃあいただきます」

 アコさんは、ワタシがおにぎりをほおばるのを、ずっと横から見てたです。



「ごちそうさまデシタ……このサケって魚はおいしいですネ」

「あ、向こうの世界にはサケがいないんだ……よかったっす」

「そんでまぁ、ローネの重要性は、じゅうぶんすぎるぐらい、上に理解されたわ」

「ですよねぇ。この車の前と後ろに、黒塗りの車がいるんすけど、護衛なんすよね……」

「そうなんですか? ワタシたちを、守ってくれてるんですよネ?」

 お二人の言葉が、必ずしも楽しそうではない事に、気づいてはいたですけど。

「いろいろと、おまけもついて来ちゃったのよね。情報本部に着いてから説明するわね」

 いつの間にか車は見覚えのあるビルの中へと入っていったです。おまけって何です?



「いまふとんを持って来るっスから、おとなしく座ってるっすよ? ローネ!」

 大尉はどこかに報告に行き、その間ワタシたちは、第三会議室で待機する事になったです。

(おとなしくしないとですか……瞑想めいそうでも、するです)

「ミストーク……アデルテール……ジュシュリム……でしたよネ?」

 魔法を使ったあとには瞑想めいそうをする習慣があるんです。

 門を守って旅だった、血族の先人の名を詠唱するしきたりがあったですね。習いはしたんですが誰も詠唱しないから、忘れかけていました……。



「ふわぁ……昼間眠ると、夜眠れなくなるんですけど……」

 わたしは、柔らかいおふとんにくるまって、ごろんと横になりました。

「ふふっ……。じゃあ、自分とお話でもするっすか? けど、そろそろ」

 そういえば、この足音は御笠大尉ですネ。

「あら、起きてたの? 戻るのが、遅くなっちゃったわねぇ……。ローネ」

 なんだかわたし……御笠大尉の、娘さんか何かみたいですね。そんな愛情に包まれたです。

「いいから横になっててちょうだい……軽く説明するわね」

「ハイ……。あ、おまけがついてくるとか言ってたですねぇ……」



「まず一点。わたしたち三人は、今回の功績が認められて、一階級づつ昇進したのよ!」

「そうなんっスか? 自分が中尉になって、ローネが大尉で、御笠大尉が少佐っすか?」

 早坂サンも、この事を知らなかったようで、目を丸くしていました……。

「ローネは特務大尉って事になったけどね……。実質は同じと言っていいわね」

「それって、旧軍時代の制度っすよね。国防軍で復活っすか」

 言っている事がよく分からないですけど、ワタシも昇進したんですか……。

「ローネは元一般人だから、正規の軍の教育を受けていないからって事なの……」

「あーなるほど。大尉としての待遇ではあるけど、ローネに指揮権は回って来ないんすね」

「アノ……御笠大尉は、市ヶ谷にいかなくても大丈夫なんですか?」

「じゃあ、もう一点を言うわね……。私は分析部長になって、情報本部に残留よ」

「マジっすか! じゃあ実質的に、第一と第二を統括するっすか!」

「廃止された、分析部長職を復活させてくれたのよ」

「じゃあ、第二分析室の室長も、事実上御笠大尉が兼任になるんっスかねぇ……」

「さらにもう一点……。早坂が、第二室長代行って事になるのよ」

「ほえー……。そうなんスか。まぁ、やる事はいまとあんま変わらないっすね」

「けど、忙しくなるんですよね? だいじょうぶなんですか?」

「んでもって、一番頭が痛いのがね……入って来なさい!」

 御笠大尉はこめかみをひくひくさせながら、叫びました。



「どうもー……本日から、お世話になります。御笠少尉です!」

「ちょっ、ちょまっ……。東大法学部を出ておいて、なんで国防軍にいるんっすか?」

「ローネは知らないわよね……。私の弟の純一じゅんいちよ」

 そのサプライズには、開いた口がふさがりませんでした。






「ミストーク……アデルテール……ジュシュリム……イアルローネ」

「あら、アイルローネ……。そんなの覚えても、別にいい事ないのよ?」


 だって……。誰かがローネおばちゃんの事を、覚えていてあげないと……。いつか、帰って来た時に、寂しい思いをするじゃあ……ないでちゅか……。






 御笠・早坂の、ワンポイント・ロリババァ講座

御笠:「報告書にそんな事は何も書いてなかったのにローネったら」

早坂:「魔法を使い続けると、年をとらないって事なんっすかねぇ」

御笠:「人によっては、天国かもしれないけど、遠慮願いたいわね」

早坂:「ローネが魔法を学んでいたところはロリババァの巣窟すね」


主人公が  イアルローネ

めいっ子が アイルローネです。

向こうの世界では十数年経っている設定ですね。

ざっと四倍の月日が流れているんでしょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ