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挿絵(By みてみん)


      3


 パッと目を開ける。


 俺はふかふかの、天蓋付きのベッドで眠っていた。

 アニメなんかで観るお姫様が眠っているような、ひらひらとレースの付いた可愛らしいベッドだった。


 何だここは……。

 病院か……?


 頭がぼんやりする。

 俺は何をしてたんだっけ……?


 高校の夏休みで、ウキウキ熟女ウォッチングをするために川にいって、女の子を助けようとして溺れて——


「……あ、そうだ」


 お姫様って言われてたんだ。


 自分の手足を見る。

 どう考えても小学生ぐらいの女の子になっている。

 しかもさっきは血と泥まみれで気付かなかったけど、金色の髪は潤いをもって、華奢な肩に流れている。


「何で俺がお姫様に……?」


 死んだから異世界転生……って、そんな馬鹿げた話があるのか?

 でも今は、それを信じた方がシンプルで分かりやすい。

 一旦はその仮定を前提に考えよう。


「それから……何があった……?」


 目が覚めたら血と泥まみれで、右腕が千切れていて、死にかけてて、謎の空間で謎の子どもからキャンディーを舐めろと言われて、パワードスーツみたいなやつで電気ビリビリ男を倒して、それから——


「——メイドさんだ!」


 ガバッと起き上がる。

 そうだ、思い出した、メイドさんだ。


 俺を守ろうとしてくれたあの子はどうなった?

 誰かに聞きにいかなきゃ——


 ——とドアに手をかけて、ふと立ち止まった。


 あの子のことを何も知らないのに、いったい何て言えばいい?


 しかもこの子の中身は今、高校生の男になってしまっているのだ。

 この子の両親がそれを知ったら悲しむに違いない。


 それに『姫』の両親ということは『国王と王妃』だろう。

 下手なことを口走ったら、そのまま処刑されるかもしれない。


「……ま、まぁ、一旦、ね。一旦、考えよう。うん」


 メイドさんの安否は気になるけど、自分の命が一番大事に決まっている。

 今は一旦、向こうの出方を伺おう。


 それにしてもここはどこなんだろうか?

 多分、気を失う直前に見たお城の一室なのだろう。

 ここがこの体の女の子の自室……つまりお姫様の部屋だと考えると、納得の豪華さだった。


 スイートルームとかVIPルームとか、そういうレベルじゃないぐらいお高い部屋な気がする。

 それは、物を知らない高校二年生の俺にでも、確信を持って分かるレベルだ。

 家具や鏡、小物に至るまでありとあらゆるものが冗談みたいに煌びやかで贅沢な感じだった。

 しかも部屋の中にトイレとバスルームまで完備されていて、当然のようにどっちも豪華な造りをしている。


 カーテンも豪華な装飾が施されていて、見るからに高そうだった。

 万が一汚したり破ったりしたら大事だから触らないけど、カーテンの隙間からオレンジ色の光が差し込んでいる。

 どうやら今は夕方らしい。


      ※


 それからしばらく部屋の中を見回っていたものの、さすがに飽きてくる。

 さてどうしたものかと考えていたら、ふとトイレにいきたくなった。

 さっきトイレあったな、と思いながら立ち上がって、


「——!」


 そのまま固まった。


 トイレ?

 こんな可愛い子のパンツを脱がせる気か……⁉︎


 いや、別に何もやましい気持ちはない。

 俺は熟女好きなのだ。

 熟女好きな、はずなのだ。


 そもそも何より俺の体なんだから、何も悪いことはない。

 服を着ようが脱ごうが、その全権限は俺にある。


 とはいえ、さすがに抵抗がある。

 罪悪感がある。

 俺は本来熟女好きで、子どもになんかこれっぽっちも興味がない。


 だけど、自分が子どもになってしまったからか、それとも自分の可愛さに衝撃を受けたからか分からないけど、猛烈に子どものことが可愛いと思っている。

 むしろ熟女の何が好きだったのかを、感情で思い出せない。


 だからこそ罪悪感で胸がいっぱいだけど、トイレにいかないわけにはいかない。

 もしこれが夢じゃなくて現実で、俺がしばらくこの体と付き合っていくのであれば、トイレは避けて通れないだろう。


「……よし」


 丸くて甘い声で意気込んで、ネグリジェに手をかけた。


「許せ……」


 覚悟を決めて、ネグリジェを脱ぐ。

 シルクなのか何なのか、つるつるした素材だ。

 一切の染みも汚れもない真っ白な肩を、するりと滑り落ちる。

 そして、


「おぉ……!」


 そこに、素肌が現れた。

 まるで膨らみのない胸に、淡い桜色の小さな乳首がぽつりと花咲いていた。

 自分の体だというのに、触ることすらためらわれる神聖さだ。


 そして、するすると、肉は全然付いていないのに不思議と柔らかい脇腹に親指を這わせる。

 親指は下へ下へと滑り落ちていき、綿の可愛らしい、赤いリボンの付いたパンツまでたどり着いた。


 心臓が、小さな体の中で固く固く脈を打つ。


 滑り落ちてきた親指を、パンツの中に入れる。

 パンツの中は、寝汗なのか何なのか、しっとりと湿っていた。

 親指の背に、その甘い匂いがしそうな汗の温度が伝わってくる。


 悪く思うな!

 許してくれ!


 心臓を殴り付けるような激しい鼓動に目眩を感じながら、ばっとパンツを下ろした。


「……」


 全裸の俺は、鏡の前で固まった。


 マイリトルサン。

 どうして、まだ、いるんだい?


 あぁ。

 この美少女の股間には、細くて白いのがチョロリと生えていた。

 ご丁寧に玉もある。


「……あー」


 なんて酷い夢だ。

 やめやめ、おしまい。


 俺は、美少女では、なかったのだ。


 男の娘になってしまったのだ。


続く

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