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魔法少女異譚【書籍化決定】  作者: 槻白倫
第8章 ■■の魔道使い

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突撃! ドキドキルームツアー! 7

 菓子谷家を後にし、二人は次なるお部屋へと向かう。


 目的地に辿り着き、インターホンを鳴らせば、少しして扉の向こうから『はぁ~い』と柔らかな声音が聞こえてくる。


「いらっしゃ~い、二人とも~」


 扉を開けて笑顔で二人を出迎えたのはふりふりの可愛らしいエプロンを来た笑良であった。笑良が扉を開けた瞬間から甘い香りが漂って来ているので、お菓子でも作っていたのだろう。


「さ~、どうぞ入って~」


「お邪魔するわね」


「お邪魔します」


 笑良に招かれ、二人は新田家にお邪魔する。


 新田家は普通の一軒家であった。言い方は失礼かもしれないけれど、極平凡な一般家庭の家。そんなイメージに当てはまるような家。


「あら~、お友達~?」


 二人が上がると、リビングらしき場所の扉が開き、一人の女性がひょこっと顔を覗かせる。


 笑良が大人に成長をすれば彼女のようになるだろうと思えるくらい、女性はとても笑良に似ていた。


「うん。朱里ちゃんと春花ちゃんよ~」


「東雲朱里です。お邪魔してます」


「有栖川春花です。お邪魔しております」


 二人が丁寧に頭を下げれば、女性は優しい笑みを浮かべる。


「あらあら~、これはどうもご丁寧に~」


 言って、女性は顔だけではなく体全体を廊下に出す。


「っ……!!」


 その姿を見て、朱里は思わず息を飲んだ。


 女性らしい豊満な身体は笑良に似ているけれど、一部笑良よりも凄まじい部分に視線が釘付けになる。


「笑良の母です~。いつも笑良がお世話になってます~」


 柔らかくお辞儀をする笑良の母親。その動作の最中ですら、その存在は大きく主張をしていた。


「こちらこそ、お世話になってます」


「っ……そ、そうですね。春花の言う通り、公私共にお世話になってます」


 礼儀正しい春花の挨拶を見て、朱里も我に返り挨拶をする。が、隣の春花を『コイツ、マジか……』と言わんばかりの目で見る。


「うふふ~。笑良と仲良くしてくれてるみたいで嬉しいわ~。どうぞゆっくりしていってね~。笑良、お菓子はお部屋に持って行くから、二人をおもてなししてあげて~」


「は~い。ありがとう、ママ~。二人共、行きましょう~」


「あ、うん……」


「はい」


 笑良に案内され、二人は笑良の部屋へと向かう。


「じゃじゃ~ん! 此処がワタシのお部屋で~す!」


 部屋の扉を開けて、笑良は自身の部屋を二人に見せる。


 笑良の部屋は温かい色味の女子らしい部屋だった。ただ、みのりのように可愛い系統の部屋というよりは、大人な女子の部屋という感じである。


「さ、座って座って~」


 暖かな雰囲気の部屋には甘く優しい香りが漂っており、同い年の詩の部屋の匂いとは大きく違う。


「やっぱ笑良は綺麗にしてるわよね」


「お部屋の乱れは心の乱れって言うしね~」


「心の乱れ、ねぇ……詩の場合は心の現れのような気がするけど……」


「詩ちゃんはずぼらの極地だからね~……」


 笑良も詩の部屋に入った事があるのか、朱里の言葉に苦笑いを浮かべる。


 心が乱れていようがいなかろうが、根が面倒くさがりのため、詩の部屋は春夏秋冬年中無休で汚い。


「綺麗にしなとは言ってるんだけどね~」


「まぁ、それに関しては大丈夫よ。今度コイツの教育的指導が入るから」


 言って朱里が春花を見やれば、春花は困ったように少しだけ笑みを浮かべる。


「あら、そうなの~?」


「まぁ、あの状態を見たら、流石に……」


「そうよね~。その時はワタシも呼んでね~? お手伝いするから~」


「ありがとうございます」


 本来なら特別な理由が無い限りは、自分の部屋は自分で掃除するべきだが、詩の場合は放っておけるだけ放っておく可能性が非常に高い。そうして、最終的にどうしようもなくなったところでハウスクリーニングに頼る事になるだろう。


 確かに、詩は音楽活動でも収入を得ているため、ハウスクリーニングを頼むくらいは痛手にならない。けれど、本来であれば必要の無い出費である。詩のためにもならないし、健康にだって良くない。埃も結構溜まっていたので、コンセント回りの安全も心配である。


 まずはあの汚部屋を徹底的に掃除してから、衣食住とは何たるかを叩き込む必要があるだろう。


「それじゃあ、いつにしましょうか~? 春花ちゃん、予定はどこが空いてる~?」


「僕はいつでも合わせられますよ。新田さんの空いている時で大丈夫です」


「分かったわ~。え~っと、ワタシの予定は~……」


 詩の部屋の大掃除の日取りを決めていると、不意に部屋の扉がこんこんこんっとノックされる。


『笑良~、お菓子持ってきたわよ~』


「ありがとう~」


 笑良が母親にお礼を言い、両手が塞がっていて扉が開けられないだろうと思った春花が扉を開ける。


「あら、春花ちゃんありがとうね~」


 扉を開けてくれた春花に、笑良の母親はにこりと優しい笑みを浮かべてお礼を言う。


「いえ」


 春花の予想通り、笑良の母親は両手でお菓子やお茶の乗ったお盆を持っていた。


 笑良の母親がお茶とお菓子を置いていく間、朱里は笑良の母親の一部を思わず凝視ししてまう。


 笑良の母親はお茶とお菓子を置いていくと、ごゆっくりね~と言い残して部屋を後にする。


「これ、カップケーキ作ったの~。美味しく作れたと思うから食べて~」


「ありがとうございます。いただきます」


 カップケーキを勧められ、春花はフォークを手に取って食べ始める。


「もっと時間があったら、凝ったのとか作れたんだけど~」


「そんな、お気になさらず。こちらが急に言いだしてしまった事なので。それに、このカップケーキとても美味しいです。良かったら、レシピを教えていただいても良いですか? 唯さんと一さんに作ってあげれば、きっと喜ぶと思うので」


「あら~。うふふ~。もうすっかりお母さんね~」


 春花の言葉を聞いた笑良は、嬉しそうに笑みを浮かべる。


「僕は男子ですし、未成年な上に未婚なんですけどね……」


「性別とか、年齢とか、もうそういうの関係ないんじゃないかな~? あの子達が春花ちゃんを慕ってることには変わらないし、あの子達にとっては母親みたいな存在な訳だし~」


「母親のような存在なら、二人のお婆さんがそうですよ。僕の場合は、親戚のお兄さん、ですかね……? 血縁関係無いですけど」


「あら、血の繋がりで家族かどうかが決まる訳でも無いんじゃないの~? 夫婦には血の繋がりなんて無い訳だし~。まぁ、従兄弟とかなら別だけどね~。それに、真弓ちゃんとその妹ちゃんとも家族になるんでしょ~? そこに血の繋がりは無い訳だから、あの子達にとって大した問題じゃ無いわよ~」


 お茶で喉を潤しながら、お菓子で糖分を補給しながら、春花と笑良はあれやこれやとお喋りを続ける。言葉数の多い春花を珍しく思いながらも、春花とのお喋りは止まず、二人は楽しいひと時を過ごした。


 そうして時間はあっという間に過ぎ、お暇する時間になってしまった。


「また来てね~。家じゃなくても、カフェテリアとか学校でいっぱいお話しましょうね~」


 笑良は名残惜しそうにしながら二人を見送った。


 春花はぺこりと頭を下げてから、笑良に見送られて次の家へと向かう。


「……で、ずっと無言だったけど、どうかしたの?」


 移動の最中、春花はずっと気になっていた事を朱里に訊ねた。


 笑良の部屋に居る間、朱里はお茶やお菓子は堪能していたけれど、率先して二人の会話に混ざるようなことはしなかったのだ。


「……いや、なに食べたらあんな大きくなるのかなーって」


「何が?」


「胸」


「……」


 あんまりにもあんまりな答えに、春花は思わず呆れたような顔をする。


 確かに、笑良の母親の胸は大きかった。それこそ、童話の魔法少女の中で一番大きいであろう笑良よりも大きかった。春花も大きいなとは思ったけれど、それだけだ。


 それなのに、朱里がずっと無言だった原因が友人の親の胸の事を考えていたのだと知れば呆れもするだろう。


「なんで呆れるわけ? アタシからすればアンタに呆れるんですけど? 男があの立派な胸を見て無反応って何? アンタ本当に日本男児?」


「日本男児の全員が全員胸に反応する訳じゃないから」


「だからって、あの大きさよ? 同性であるアタシがずっと目で追っちゃうくらいの大きさなのよ?」


「同性である朱里が目で追うなら、異性である僕が目で追うのはとっても失礼な事だと思うな」


「そうだけど! 本能が刺激されるとか、欲望が沸き上がるとか、アンタそういう感情無いわけ?」


「朱里」


「何よ」


「シャーロットさんみたいだよ」


「……」


 春花がシャーロットを下品の代名詞のように言った事はさて置いて、朱里も春花の言わんとしている事は分かったのか、うぐっと嫌そうに口を噤む。


「……それは、結構傷付く」


「じゃあ止めて。新田さんのお母さんに失礼だし、お下品な朱里は嫌だよ、僕」


「うぅっ……悪かったわよ……」


 春花に叱られ、朱里は素直に反省する。


 確かに、友人の母親でするような話題ではなかった。


 しっかりと反省をしながら、次の目的地へと向かった。


 それはそれとして、やっぱりデカかったなとは思う、朱里であった。

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― 新着の感想 ―
いや、ほんとに男児か怪しくなってきたな まあアセクシャルとかもあるから一概には言えないけど… よく妹とか姉とか親しい身の回りの女性に性的興奮覚えなくて下着もただの布としか思わないみたいなことも聞くけ…
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