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恋は罪悪【ノベル大賞最終落選作】  作者: 衍香 壮
第4章「人はイイトリ」
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第37話「罪累」

「お前が……お前が一夏から離れてさえくれれば! そしたら、こんなことにはならなかったのに!」


 潤んだ眼に想いの強さを知る。コレがただの独占欲のみで成り立っているわけじゃないと知れば、申し訳なさに占拠された。

 一夏さんは新垣さんにとって想い人でもあるけれど、それ以前に可愛い妹なのだろう。家族であり、親友であり、好きな人。その全てが当て嵌まるこそ、彼の愛は深いのだと思った。


「すみません」


「謝られたってもう遅いんだよ!!」


「今からでも俺が家に戻れば!」


「無理でしょ。私が隼君と一緒に居たところは浅沼に見られてるし、スマホ壊しちゃったしね。それまでの足取りは辿られるだろうから今日か明日あたり警察が来るんじゃない?」


「そんな……!」


「だから伊澄は帰って。伊澄は何も知らなかった。それでいいから」


「ダメだ! だったら俺が計画を立てて、一夏を巻き込んだことに!」


「私はもう伊澄を巻き込みたくない」


「どういう意味だ」


「もういいんだよ。私から解放されていいから。十分すぎるくらい色々してくれたもん。これ以上、迷惑かけられないよ」


「迷惑を掛けられた覚えはない! 俺が好きでやったことだ! 俺が全部勝手に……だから手を離そうとしないでくれ……!」


「帰って」


「嫌だ」


「いいから帰って」


 論争の末に彼女が新垣さんを追い出す。そのまま玄関に追いやられたらしい彼は、彼女に食ってかかっていた。

 好きな人に突き放されたら誰でもそうなるだろう。けれども今は一夏さんを犯罪者に、しないようにすることが先決だった。


「スマホ、返し忘れた……」


 未だ帰ってくる気配が無い為、ネットで検索を掛けてみる。あらゆる交錯が飛び交う電波の海は中々侮れない。父さんが起こしたレイプ事件のことが槍玉に上がっているのを見てゾッとした。

 犯罪者になるというのはこういうことなのだ。一生、行いが名前と共に明記され消えることはない。そんなことにはさせたくないのに、もう手遅れだと言わざるを得なかった。


 玄関の開閉音が響く。ココに戻ってくるのかと思ったが、一夏さんが再び現れることはなかった。ということは明日の朝まで姿を見せることはないのだろう。

 俺は更にネット記事を読み漁った。と、その時、メールが届く。件名に「伊澄だ」と入っていた為、俺は慌てて開いた。


『何かいい案ないか』


 相変わらずぶっきらぼうな人だな。思わず剥れた俺は、それでも返信を打った。


『新垣さんはないんですか? もう捕まらないようにっていうのは無理ですよね。いい弁護士探しといた方がいいと思います』


 ほんの少し苛立った為、嫌味を織り交ぜてみる。こういうことが出来るようになったあたり強くなったような気がした。


『そんなことは分かっている』


 そんなことも分かってるよ。どこが優しい人なんだ。一夏さんに対する態度の違いに腹立たしさを覚えるも返信を打つ。その最中、もう一件届いた。


『一夏にとって不利な証言をしないで欲しい』


『元々、俺は自分の意思で監禁されることを決めました。一夏さんが捕まらないのなら、それが一番だし、不利な証言をするつもりはありません。

 一夏さんが父に復讐したいと思うのも普通の心理だと思います。それは正しくはないけど、世界は正しさだけで出来てはいないので』


『そうか』


 だからなんで同じ文面で返してこないんだ、この人は。


『ありがとう』


 不器用か。


『腕のいい弁護士を探してみる。あとで携帯を取りに行く。この文面はすぐに消去しろ』


「一々、偉そうなんだよな! あの人!」


 怒りに任せて消去ボタンをクリックする。スマホをベッドに投げ寝転ぶも、いい案は浮かばなかった。

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