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決闘

6話目でようやく戦闘シーンです。



―元の世界で2年間ずっと見続けてきた、青いブレザーにグレーのズボンを履いた、勇者達がいた―


昔の暗い記憶が蘇る。


…ねえ。こいつら絶対うちのクラスメイト達だよな。

勇者ってこいつらだったのかよ。

ていうかなんで転移されたんだよ。異世界のやつは俺だけのはずだろ。

あの創造神は何やってんだ。


今から断るわけにもいかんしな…。

はあ、どうせ6人ぐらいしか教育しないし、もういいや。

俺が相川蒼祐だってこともバレてないし。

今までイジメなんかよりよっぽど過酷な修羅場をくぐり抜けてきたじゃないか。

そう思うと多少気が楽になった。


「失礼します。」

「うっわ、あいつ昨日の雑魚じゃん。とっととやめさせろよ!」


といってゲラゲラ1人で笑っている奴が居た。

昨日の金髪野郎だ。

その後ろにいたクラスメイト達もクスクス笑っている。初対面で、だ。

そうか。こいつら根っからのクズだったのか。

あーキレそう。


そのまま壇上にあがり、カトレアの横に立った。


「さて、お静かに。これから3ヶ月の間、皆さんについて頂くことになった教育係の方々を紹介します。」

「まず、これから6つの班に分かれていただきます。これは、先日行われた戦闘試験の結果を参考に、我々で選定しました。」


ざわざわするクラスメイト達。

そこへ大きな板が出てきた。紙が貼られている。

恐らく、あの紙にどの班かが書かれているんだろう。


「お!一緒じゃん!頑張ろうぜ!」

「えー、私なんでCランク?」

「ねー聞いてよー。班のメンツが最悪なんだけど。」


うわー感想が完全に高校生だわー。

最悪とかお前が決めることじゃねーだろ。誰か知らんけど。

つーか顔見てもほとんど名前忘れちゃったな。もともと知らなかったのもあるけど。


「では、各班の教育係の方を紹介します。Sクラスは、騎士団副団長、ゾフィア様。」

「私がゾフィアだ。未熟者だが、よろしく頼む。」


うん、反応が分かれたな。男子と女子で。男子は鼻血を出しそうだし、女子は見とれてる。

確かにゾフィアさんは俺から見てもナイスバディだ。たがしかし、異世界にはケモ耳という神がいる。

俺は浮気はせん!多分!


「次にAクラス、ブレン様。」

「ふぉっふぉっふぉ。わしがブレンじゃ。」

「ブレン様はアルメギア王国でもっとも魔法に長けた方です。」

「軽く飛んで見せようかの。」


すると、フワッとブレンの体が浮き上がり、空中を自由自在に飛んでいる。

辺りに低い歓声が響いた。

世界で1番は俺なんだけどね。


そしてマーカスがBクラス、カトレアがCクラス。

マーカスはSクラスの冒険者だった。

この時も歓声が聞こえたよ。

カトレアは同い年だから、親しみやすそうだな。


そして最後に俺の番。


「Dクラスの教育係はヴィクター様です。」

「俺がヴィクターだ。よろしくお願いする。」

「やっぱ一番雑魚じゃん。Dクラスとか、Sクラスの俺に太刀打ちできねえだろ。」


はいーでましたー金髪野郎ー。

しかも金髪野郎Sクラスって。

むかつくわー。


「えー、何人か勘違いされているようですが、今この部屋にヴィクター様に勝てる方はいませんよ。」

「「「「「は?」」」」」


ハルちゃんー?何を言ってるのかなー?


「嘘つくなよ!絶対そこのゾフィアさんとかジジイのほうが強いだろ!俺だって昨日勝ったしな!」

「そうだそうだ!」


あーあブレンさんをジジイとか言っちゃってるし。

とりあえず俺が何も言わないのもあれだし。

事実だけを言おう。事実だけを。


「あー、悪いが「ダイキ様、昨日ヴィクター様は勝負などしていませんよね?」……」


あいつダイキって言うんだ。うーん?なんか思い出せる気がするんだけどな。

それよりハルちゃん!なんで俺を擁護するんですかねぇ!?


「ヴィクター様はSSランクの冒険者です。あの伝説のエンシェントドラゴンを倒した方でもあります。」


言っちゃったよ。なんで突っかかってくる方に行くんだろうか。


「は?嘘つくなよ?そんなこと言うんだったら後で俺と勝負しろよ!負けたら全裸で土下座して教育係辞めろよ!」

「「「「そうだ!そんな雑魚やっちまえダイキ!」」」」


と、既に勝ったような顔で見てくる。

周りからの視線も痛い。

ブレンさんは良いとして、他の3人。凝視しないでくれ。カトレアはよく分かっていないようだけど。

当のダイキはすっげー睨んでくるんだけど。


…あれ?待てよ…これ良い機会じゃね?

ダイキってたしか…親の噂を広めた奴だよな?

つまり元凶ってことだろ?

よし、潰そう。


「いいだろう、ただし、この会が終わってからだ。」

「別にいいぜ?でも逃げんなよ雑魚が。」


それから、振り分けを行い、部屋の割り当てを発表し、今後の予定を聞かされた。

どうやら最後に、全員でのダンジョン踏破祭をやるそうだ。1位の班には、好きなものがもらえるらしい。装備でも食事でも休暇でも。まあこれも可能な範囲でだろうけど。

その後、解散になった。始終ダイキに睨まれていたけども。

さて、決闘に行く前にやらなければならないことがある。


「ハルートぉ…何言ってくれてんだよ。」

「だ、だって、ヴィクターさんがからかわれているとなんか怒りが湧いてきてしまったので…。ごめんなさい…。」


あーもう、怒る気なくなっちゃったじゃん。

俺のことを考えてくれていただなんて…怒れないです。はい。


「おい雑魚!ダイキが早くしろってよ!」

「あーそうかい。」


めんどくせーけど、復讐だと思えば楽しくなるな。

ん?そんな圧倒的な力でねじ伏せてプライドは無いのかって?

もちろん無い!


町の広場に呼ばれたので行ってみると、さっきと同じ面々に加え、野次馬も集まっていた。


「ビビッて逃げ出したのかと思ったぜ!速攻ぶっ殺してやる!」


おう怖い怖い。殺すとか物騒なこと言っちゃいけませんよー。


「ふぉっふぉっふぉ。わしが審判をやろう。」

「ありがとうございます。」

「とっとと始めようぜー!」


いちいちうるせーな。


「ルールはどちらかが降参するか、瀕死になった時点で終了とする。」


俺はエンシェントダガーを抜いた。

ダイキは片手剣に盾という、典型的な装備だ。


「では…よーい…」


ダイキは一撃で決めるつもりだろう。初っ端から必殺技の構えだ。分かりやすすぎる。ニヤニヤしてるもん。

え?俺?何も構えてないよ。構える必要もない。


「始めっ!」

「でえええりゃあああ!死ねぇええ!〈烈風斬〉!!」


ダイキが剣を全力で振ると、空気の刃ができ、一直線に飛んでくる。

常人なら死んでいるだろうが、俺は違う。


向かってくる空気の刃に対して、直角にエンシェントダガーを振る。


「斬り裂け、〈真空斬〉。」


ダイキの放った烈風斬が消え、真空斬によって生まれた刃が飛んでいく。


「!!」


真空斬とは、烈風斬の上位版で、まず威力が違う。

さらに刃は真空のため、他の風のスキルなどを打ち消すことができる。


ダイキは辛うじてこれを避けたようだが、まさか渾身の一撃をいとも簡単に潰されるとは思っていなかったのだろう。

焦りの表情が表れている。


「おい!何をした!!」

「何をしたって?どういうことだ?」

「剣を振っただけで烈風斬が消えるなんておかしいだろ!ズルしたな!ハイ俺の勝ち!!」


頭のほうが重症だな。

あ、呟いただけだから聞こえなかったってことか。なるほど。


「ズルって具体的に言うと?この決闘のルールは、「死なせない」だけだろ?それ以外のことは認められているぞ?」

「はぁ!?死ねよ!!」


お前から誘ったんだろうが。

こんなやつ潰してもつまんねーしとっとと終わらせよう。


「あーつまんねー決闘だな。」

「今何つった!?!?」


あ、口が滑った。


「テメー、マジで殺してやるわ。」

「あっそ。」

「「「ダイキ!早くそいつぶっ飛ばしちまえ!」」」

「もう許さねー。」


ブチギレちゃった。


「消えろおおおお!」


全速力で突っ込んでくる。

さて、どうしてやろうか。

受け止めてやるか。


ギィイイン!!


刃と刃のぶつかる音が広場に響き渡る。


「おらあああ!!」


ギィン!!


「このおおおおお!!!」


ギン!


「うらあああ!!」


ガキ!


「だあっ!!」


ギィン!!


「ハァ…ハァ…」

「おいおい、そんなもんか?」

「ああん!?」


すごい目で睨みつけてくる。


「おい!てめー!攻撃しないとかチキンか!?クズ!ゴミ!」


あ?

何言ってんだ?

勇者様だか何だか知らんが、格下にそういうことを言うの権利は無い。


「おい、お前。ダイキだっけか?攻撃して欲しいんだな?」

「やってみろよ!」

「じゃあやってやるよ。」


シュウウ…


俺の体から蒸気が立ち昇る。


周りの野次馬達は数歩引いた。俺がヤバいことを察したんだろう。

正しい選択だ。

今度は聞こえるぐらいの声で言ってやるよ。


「スキル〈無双〉起動。〈俊敏Ⅴ〉〈対人強化Ⅴ〉〈威圧Ⅴ〉発動。」

「「「!!」」」

「なんだよそれ!?!?」


野次馬のクラスメイトが聞いてくる。


「俺の攻撃する番なんだろ?お望みのようだから、少し強めの攻撃してやるよ。」

「はあ!?」


「おい、あいつマジでヤバいよな…」

「ああ、死ぬ気がする…」


今更後悔した所でもう遅い。お前らだって煽ったんだ。こいつと同罪だ。


周りがうるさいので威圧を強化する。すると、もう動けるものは誰も居なくなっていた。


「死なないといいな。〈縮地Ⅴ〉。」


縮地は一歩でかなりの距離を移動できるという便利スキル。

そのおかげで、もう目の前にダイキがいる。


「穿て。」


右手のダガーを腹に突き刺す。


「あがぁあああ!!」

「っ!勝負あり!!」


腹を抑えて倒れるダイキ。

ブレンが駆け寄って回復魔法をかける。

すると、みるみるうちに腹の穴が塞がっていく。


「…お主…ダガーに回復魔法を付与していたな?」


さすがはブレン。魔法に関してはよくわかってる。


「死なれちゃ俺の負けになるからな。」

「…ただいまの決闘。勝者はヴィクター。」


皆、複雑な表情をしている。

そりゃそうだろ。友達が死にかけたんだしな。


クラスメイトが3人、ダイキに駆け寄り、容体を確かめている。

こいつらは確か…取り巻きだった奴だ。


「おいテメー!ダイキに何してんだよ!!」


その中の1人が胸ぐらをつかんで叫んでくるので、俺はこう言った。


「そいつだって俺に「殺す!」だの「死ね!」だの散々言ってくれたぞ?それとも、こいつはそんなことやる気はなかったってか?」

「………」

「そういう覚悟のない奴は、この世界じゃ真っ先に死んでいく。いくら力があってもな。これは俺が教育係として1つ目に教えることだ。」

「2つ目!相手の年齢や体形だけで強さを判断するな。こいつみたいに痛い目みるからな。」

「………」

「…えっと、ヴィクターさん。すみませんでした。」

「あの、俺、目が覚めました。ありがとうございました。」

「あ、私も!ダイキをぶっ飛ばしてくれてありがとうございました。」


何人かが俺のところにきて話してくれた。

あれ?こういう流れか?普通嫌われる流れだろ。

まだ大半は俺のことを敵視してるけどね。


「あんたって強いんだね!すごいよ!」

「騎士団に欲しいくらいだな。」

「あー、SSランクの〈剣聖〉ってもしかしてあんたのことか?」

「マーカス、俺の黒歴史を掘り起こすな。」


うーん、引っかかるところがあるけど、これで良かったのか?

本人はまだ気絶したまんまだし。


そこにいたハルート王は、俺に何か言いたげな表情をしながらも、その日は解散となった。


その後ハルートに呼び出されて、やり過ぎだと言われ、スキル使えたのかと聞かれ、今日はありがとうと感謝された。

その話が深夜まで続いたので、めちゃくちゃ眠たかったが。


さあ、明日からは訓練だ。ただ、今日のことで、これからが少し不安になった。

戦闘シーンもですが、これからのストーリーをどうしようか悩み中です。

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