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アルメギア王国

少々長めです。

「さて、じゃあ次は職人ギルドに行くか。」


ダンジョン前にある魔法陣で、職人ギルド前に転移した。

でも、ダンジョンから歩いて5分のところにあるので、意味はあまりないと思う。

しかも冒険者ギルドは職人ギルドの目の前にある。便利だ。


ギルドのドアは高さ2m半ぐらいの、立派な観音開きの扉だ。

このドアには魔法陣が描かれていて、これだけ大きいにも関わらず、軽い力で開けることができる。


「いらっしゃい、今日はどういったご用件で?」

「加工の依頼を出したい。」

「ほう。素材は手元にございますかな?」


マジックストレージからオークキングの牙を取り出して、カウンターに出す。


「こ、これは、オークキングの牙ですか?しかもかなりのサイズですな。」

「これをネックレスに加工して欲しい。」

「ネックレスにするのですか…。勿体無い…」


オークキングの牙は、魔物からとれる素材の中でもかなり硬く、ナイフにするのが一般的だからだ。


「ええ、ちょっと友人に頼まれたので。」

「分かりました。それで、報酬はどの程度出されますか?オークキングの牙ですと、銀貨5枚ほどが相場ですが。」


この世界の通貨は、白金貨、金貨、銀貨、銅貨、鉄貨の5種類で、それぞれ10枚で上の通貨1枚になる。

ただ、基本的に白金貨は金額が大きいため商人や国同士などでしか使われない。

まれにギルド報酬でも金額が大きいときは使われたりする。


「それと、ネックレスでしたら加工代とチェーン代とその加工代も必要ですので、金貨1枚ほどになります。」

「いや、それなら必要ないですね。チェーンの素材はこちらで出すので。」

「そうなりますと、銀貨7枚になりますね。素材は何にされるんでしょうか?」

「これで。」


と言いながらマジックストレージからミスリルのインゴットを取り出す。


「ミスリルですか!?そんな貴重なものをネックレスに!?」


いや、正直それより上のオリハルコンやらアダマントも持ってるからなぁ。

でも、ネックレスならミスリル銀でも大丈夫か。


「そうか。やはりミスリル銀程度にしておいたほうがいいかな。」


ミスリル銀というのは、ミスリルを数パーセント含む銀の合金で、魔法に強いミスリルと、魔除けに使われる銀の特性を生かして、対アンデッド装備に使われることが多い。


「はい、それが良いと思われますよ。」


苦笑いされちった。


「では、少々お待ちください。」


数分後。


「こちらが依頼書になります。ご確認ください。」

「…はい、問題ないですね。」

「期限はどの程度にされますか?」

「一週間ほどでお願いします。」

「分かりました。では、素材の方をお預かりしますね。」


あとは腕の良い職人がやってくれることを祈るしかない。


「ありがとうございました。またのご利用お待ちしております。」


このあとはどうしようかな…

まだ昼前だし。


あ、そういえば、王城に呼ばれてたんだった。

店で軽食食べて城に行くか。


このあいだ冒険者仲間から聞いた店にでも行ってみよう。

パンが美味しいらしい。

ちなみにこの世界の食事情は地球とあまり変わらないみたいだ。名前まで一緒だし。

名前に関しては〈翻訳Ⅴ〉のおかげかもしれないが。


さあ、噂の店に来てみた。

けっこう混んでるってことは美味しいんだろうな。


「お客さん、何にします?」

「そうだな…」


メニュー見て分かった。

ここパン屋だろ。

そりゃ美味しいわけだよ。


ボクサーチキンサンドってのが美味そうだ。

っていうかボクサーチキンってあの小さい鳥のことか?

すばしっこいから捕まえるの大変そう。

あれ食えるんだ。


あとは…どうしようかな。

軽食だし飲み物ぐらいにしておくか。


「じゃあ、ボクサーチキンサンドとホットミルクで。」

「あいよ!」


少し待っていると、皿に載ったチキンサンドとホットミルクが出てきた。


「いただきます。」


チキンサンドにかじりつく。


旨っ!熱っ!

もぐもぐもぐ

辛っ!


いや、旨い。

あれだ、祭りとかの露店で買えるような感じの肉。


なんか懐かしいな。


そしてチキンサンドはあっという間に無くなったわけで。


「ごちそうさまでした。」

「毎度っ!また来てくれよっ!」


あーあ、軽食のつもりだったけど地味に重かったな。

城に行こう。



美味しいパン屋から30分ほどで城の門の前まで来た。

すると、俺の服装を怪しんだのか、門の見張りが近づいてくる。

まあそうだよね、黒いフード付きのコートを着た真っ黒な男が城を見てるんだもん。


「失礼ですが、身分証かギルドカードの提示を。」


ギルドカードをコートから取り出して渡す。


「ヴィクター様ですね、お待ちしていました。どうぞこちらへ。」


見張りに連れられて城の中へ。

応接室に通される。


「申し訳ございませんが、ハルート王がいらっしゃるまで少々お待ちください。」


といって、見張りが出て行った。


出されたお茶をすすって待っていると、ドアがノックされた。


「ハルートだ。入るぞ。」


どうしたハルちゃん、口調が完全に違うやないの。


ドアから入ってきたのは、金髪のイケメン王。と、執事さん。

姿はハルートだ。


「爺、人払いをしてくれ。」


その声で、執事が一礼して部屋から出て行った。途端、


「はうー。ヴィクターさんー助けてくださいよー。」


やっぱりいつものハルートだった。


「どうした、イケメン君。」

「僕なんかに王様なんてできないですよぅ。ていうかその呼び方止めてください!」

「いいじゃん。男の敵。」

「なんでですかぁ…」


いつも通りのやり取りをしたあと、本題に入る。


「で、なんで俺を呼んだ。」

「あ、呼んだ理由なんですけど…」


途端にハルートの表情が曇る。


「…この間のエウリュペトラの国際会議で、魔王の問題が取り上げられたんです…」

「いつものことだろ。」


北に存在する魔族の国、【ガルド】。

この国は世界と敵対していて、睨み合いが続いている。

だが、依然この国の全貌がつかめていないため、攻め入ることもできない状態だ。


「いえ、それが…ついに勇者召喚に踏み切ることに…」


勇者召喚ってのは文字通り、俺みたいに異世界から勇者を召喚する儀式のこと。

ただ、膨大な魔力が必要なため、最悪、暴走を起こして国が沈む…なんてこともあるらしい。


「ほー、あの爺さんたちもようやく重い腰を上げたか。」

「大変なのはここからなんですよぉ!」

「どうした?」


「このアルメギア王国で勇者召喚を行うことになったんですぅ!」


「…は?なんで?」

「それは…押し切られてしまって…」

「なるほどなぁ、それはお前が悪い。」

「ええー!そんなぁ…」

「それで、俺に魔法陣の魔力注入を頼むために呼び出したと。」

「いや、そうじゃないんです。」

「ん?違うのか?」


といった瞬間、クラッとした。

焦点が定まらない。


マズい。何が起こったのか分からないがマズい。

くそっ、どうにかしないと…


「ヴィクターさんごめんなさい。こうするしかなかったんです。」

「ど、どういう…」

「先程出したお茶に強力な睡眠薬を入れました。普通の人なら死ぬレベルの強さです。」

「な、なえ…そんあこと…を…?」


眠すぎる…

舌がまわらない…


「少し眠っていてください…起きたら説明しますから…」

「あ…ぐ…」


そこで俺の意識は途切れた。

次回からようやく本編かな?

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