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第二十五話 試験の幕が下りて

「これより、閉会式を始めます」


アロファの声が会場に静かに響いた。


閉会式はこれからの魔法騎士としての務め、王への忠誠、そして団としての責務についての話だった。ニャンピンガは背筋を伸ばして聞いている。言葉は重く、しかしどこか清々しさを含んでいた。


「魔法騎士とは技術だけで務まる職ではありません。王と民を守る覚悟、仲間を守る責任、そして失敗から学び続ける姿勢が求められます。今日ここで見えたもの、見えなかったもの――両方を胸に刻み、入団後に磨いてください。団は貴方たちを育てます。互いに助け合い、互いに厳しくあれ」


アロファは続ける。声は落ち着いているが、聞く者の胸を真っ直ぐに打つ。


「三日後に叙任式を執り行います。それまでは各自、体を休め、心を整えてください。」


会場は静まり、次に穏やかな拍手が広がる。アロファは最後に宣言した。


「これにて魔法騎士団入団試験を終了と致します」


試験官たちは一礼し、場はゆっくりと日常へ戻っていく。アロファは淡く光る泡のように消え、審査の場は解かれた。観衆のざわめきが戻り、受験者たちの顔に安堵と疲労が混ざる。


―――


「ニャンピンガさん!やりましたね!」


ヴァインが駆け寄り、笑顔を弾ませる。

ローレグルも疲れた顔で微笑む。

三人は自然と肩を並べた。


ニャンピンガが提案する。


「ヴァイン、ローレグル」


ニャンピンガが呼びかけると、二人は首をかしげる。


「オレたちさ、もう魔法騎士の仲間なんだし、敬語じゃなくてタメで話そうぜ!呼び方もニャンピンガでいい」


ヴァインは一瞬驚く。

「いいんですか!?」


ニャンピンガは答える。

「オレたちってそんな歳変わらなさそうだし?オレだけタメっていうのも……何か……おかしいだろ?」


ヴァインは笑顔で応じた。

「確かに……これから同期になる訳ですしね……

よし、分かった!これからよろしく、ニャンピンガ!」。


ローレグルは戸惑いながらも、ゆっくりと顔を上げる。

「うう……私にはまだ恐れ多いです……

ですが……よろしく……お願いします……ニャンピンガさん……」


ヴァインがからかうように笑う。

「はは、ローレグルは時間がかかりそうだね……!」


夕日が三人の影を長く伸ばし、笑い声が柔らかく染まる。日はあっという間に暮れ、穏やかな時間が流れた。


―――


その夜、養護施設の自分の部屋で、ニャンピンガはベッドに寝そべって天井を見つめていた。


布団の縁を指でつまみ、指先に温もりを感じる。静かな部屋に、自分の呼吸だけが響く。


(父さん……母さん……じーちゃん……皆……)


最初に浮かぶのは家族の顔。


「オレ……やったよ」


次に仲間たち、ネモ、ヴァイン、ローレグル。


稽古をつけてくれた師、フレッドの厳しい姿。


そして、ふとリーベの姿が最後に浮かぶ。言葉にならない感情が胸に満ちる。


ニャンピンガは伸ばした手をぎゅっと握り、ゆっくりと降ろした。実感はまだふわりと薄い。


これから始まる道への覚悟を抱え、ニャンピンガは静かに目を閉じた。

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