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第二十四話 努力の果てに

「ニャンピンガさん!」

「ニャンピンガさん…」


会場にヴァインとローレグルが戻ってきた。


「ヴァイン!ローレグル!…って、うおっ!」


二人の姿を見た瞬間、ニャンピンガは思わず声を上げる。


二人は見るからにボロボロだった。服は汚れ、顔には擦り傷と疲労の色が濃く残っている。


「二人ともボロボロじゃねぇか…!」


ヴァインは苦笑を浮かべて肩をすくめる。

「いや……さすが魔法騎士団入団試験、って感じでした……」


ローレグルも小さくうなずき、声はかすれていた。

「大変…でした…」


ニャンピンガは引きつった顔で二人を見返す。


(騎士専門の試験も過酷だったが……魔法騎士の方もどんだけ過酷な試験内容だったんだ…?)


心の中で問いが膨らむ。魔法騎士専門の試験も相当厳しかったのだろう。どれほどの過酷さだったのか、想像が追いつかない。


―――


会場に静けさが戻る。アロファの声が再び響いた。


「皆さん、朝からの試験、大変お疲れ様でした。本日はゆっくりお休みください」


その声に続けて、会場の空気が一気に張り詰める。

アロファは告げる。


「まずは、魔法騎士団入団試験の合格発表を行います」


アロファは順に名前を呼び、各受験者の評価を述べていく。


「まずはヴァイン・スナルヴィンドゥルさん」


「はい!」


ヴァインは返事をして前に出る。


アロファは評価を述べた。


「貴方の風魔法は制御が安定しており、戦況に応じた応用力が見られました。索敵と機動の連携も良好です。総合的に見て、魔法騎士としての基礎と応用力が備わっていると判断します。


合格です。おめでとうございます」


会場から拍手が湧く。


「ありがとう……ございます……!」


ヴァインは嬉しさで声が震え、ローレグルは駆け寄る。

「おめでとう……!ヴァイン……!」


ニャンピンガも笑顔で祝福する。

「やったなヴァイン!おめでとう!」


「ありがとうございます!」


―――


「次にローレグル・ヴァトンさん」


「はい……!」


ローレグルは前に出て、アロファの言葉を聞く。


「貴方の水魔法は柔軟性があり、味方の支援や地形利用に長けていました。冷静さと持久力も評価に値します。実戦での判断力も見られ、総合的に魔法騎士としての適性が高いと判断します。


合格です。おめでとうございます」


「……!ありがとうございます……!」


ローレグルも拍手を受け、感極まった様子で礼をする。


ヴァインは満面の笑みで祝う。

「おめでとう!ローレグル!僕たち魔法騎士になれるね!」


「おめでとう!ローレグル!流石だぜ!」


ニャンピンガは心からの祝福を口にするが、胸の奥には不安が残る。


―――


そして、最後に呼ばれたのはニャンピンガ・イントワーリの名だった。


「最後にニャンピンガ・イントワーリさん」


「はい!」


ニャンピンガの鼓動は止まらない。


アロファは静かに、しかし一つ一つ丁寧に評価を述べ始めた。


「ニャンピンガ・イントワーリさん。まず、午前の基礎能力試験においては、貴方は十分に良い成績を残しました。基礎体力、魔力の安定、基本動作の正確さ――これらは合格ラインを満たしています。特に基礎反応速度と持久力は評価に値します。


しかし、午後の実戦技能および対人能力試験においては、いくつかの課題が見られました。森での索敵と初動対応では、時折視野の偏りが見られ、複数の脅威を同時に把握する速度に改善の余地があります。部位指定攻撃の試験では、力の加減と間合いの詰め方に粗さがあり、人形の破損を招いた点は減点対象です。盲目の試練では、視覚を奪われた状況での気配の取り方に苦戦しましたが、最終的に間合いを把握して対処した点は評価できます。状況判断演習では、負傷者を抱えたままの機動と創意工夫(布を裂いて紐を作り両手を使えるようにした行動)は、即時の判断力と応用力を示しましたが、被害の最小化という観点では改善の余地が残りました。壁の試練においては、三分間耐え抜くという極限の状況で、貴方は明確な成長を示しました。技術面では粗さが残るものの、耐える意志と守る覚悟が明確に表れていました。


総合的に申しますと、貴方は『技術の完成度』ではまだ十分とは言えません。だが、今の魔法騎士団にとって最も欠けがちなもの――それは『信念』と『覚悟』です。貴方はその二つを示しました。魔法騎士とは、技術だけで務まる職ではありません。仲間を守る意志、困難に立ち向かう覚悟、そして失敗から学び続ける姿勢が必要です。貴方にはそれが見えました。足りない技術は、入団後の訓練で補えます。団として育てる価値があると判断しました。


よって―


合格とします。おめでとうございます」


「……っ!」


アロファの言葉が会場に静かに響く。長い評価の末に告げられた合格の宣言に、場内は一瞬の静寂の後、拍手と歓声が湧き上がった。


ニャンピンガは言葉を失い、震える声で呟く。


「ごう…かく……オレ、合格したのか……」


涙が溢れ、こらえきれずに膝をつく。ヴァインとローレグルが駆け寄る。


二人の声が重なる。

「ニャンピンガさん!やったよ!おめでとうございます!」

「ニャンピンガさん……合格です……おめでとうございます…!」


ニャンピンガは笑いながら泣いた。


「みんな……オレ……合格したよ……」

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