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第十七話 魔法騎士団の階級

昼下がりの食堂。


湯気と人声が混ざる中、ニャンピンガは箸を止めて二人に訊ねた。

「なあ、前から気になってたんだけど、その『聖騎士パラディン』って何なんだ?」


ヴァインはにこりと笑い、説明を始める。声は軽やかだが、言葉には誇りが滲んでいる。

「『聖騎士』は魔法騎士の最高位の称号です。団には階級があって、下から従騎士エスクワイア魔導騎士ナイト魔導重騎士ハイ・ナイト、そして聖騎士パラディンって順番なんです」


ニャンピンガの目が丸くなる。

「へえ、階級があるんだな」


ヴァインの表情が少し引き締まる。

「正確には、聖騎士の称号は王が選ぶもので、世界に与えられるのは限られた者だけ――今は七名しかいないんです」


「七人!?すげぇな……」


声が思わず大きくなると、ローレグルが小さく笑ってから付け加えた。


「その七名は、七大魔法のいずれかに秀でた者に与えられると伝えられています……」


ニャンピンガは自然と息を呑む。湯気の向こうで、彼の箸先が止まった。


「七大魔法って何だ?」


ローレグルが静かに説明する。声は柔らかく、でも確かな知識がある。

「炎・水・風・光・月・虹・地の七つです……魔法騎士団ではこの七つを特に重視していて、入団試験でも七大魔法のうちどれか一つに適性があることが求められます……」


「二人は何の魔法は何だ?」


ヴァインは胸を張って言った。

「僕は風魔法です。風を使って機動力を出すのが得意で――子供の頃は凧を飛ばして遊んでました」


言いながら、ヴァインは指で空をなぞる仕草をする。ニャンピンガはその仕草を見て、少し笑った。


ローレグルは恥ずかしそうに小さく頷く。

「私は水魔法です……川で石を投げる代わりに、水の流れを操る練習をしていました。両親がよく川辺に連れて行ってくれて……」


彼女の声には、幼い日の静かな情景が滲んでいた。


ニャンピンガは照れくさそうに箸を置く。

「オレは魔法が使えねぇからなぁ。二人は本当にすげぇよ」


ヴァインがすぐに笑顔で返す。

「午前の試験、ニャンピンガさんの努力はちゃんと伝わってきましたよ」


ローレグルも優しく頷く。


ニャンピンガは胸が熱くなり、照れて笑った。

「……ありがとな……!」


―――


ローレグルが続けて話す。

「熟練すれば『聖騎士(パラディン)』の称号が与えられるんです……アロファ様は月魔法の使い手だったので『月の聖騎士パラティヌス・ルーナ』と呼ばれていました」


ニャンピンガの目が輝く。

「いやかっけぇな!」


ヴァインはさらに付け加える。

「リーベ団長は光魔法の使い手なので『光の聖騎士パラティヌス・ルキス』です」


「か、かっけぇ……!」


―――


ニャンピンガが食堂を見渡すと、団員服の胸元に光るバッジがちらちらと目に入る。


「団員の服に着いているあのバッチって何だ?」


ヴァインが説明する。

「団員服のバッジで階級が分かるんです。従騎士(エスクワイア)赤銅(ブロンズ)魔導騎士(ナイト)白銀(シルバー)魔導重騎士(ハイ・ナイト)黄金(ゴールド)聖騎士(パラディン)白金(プラチナ)です」


「本当だ。よく見ると違ぇんだな」


(師匠のバッジは何色だったっけな……というか、聖騎士(パラディン)ってもっと前から聞いたことがあったような……)


―――


食堂の時計が午後を指し始める。空気が少し引き締まる。


「そろそろ会場に戻らないとですね」


「確か、午後の部では魔法騎士の試験内容と騎士専門の試験の内容は違いましたね……」


「ああ。ま、午後も頑張ろうぜ!」


ニャンピンガが拳を握る。


「はい!ですね……!」


「はい……!」

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