第一次世界大戦
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サラエボ事件後、オーストリア=ハンガリー帝国は七月二三日にセルビア政府に対して十箇条のオーストリア最後通牒を送付して48時間以内の無条件受け入れを要求した。セルビア政府は条件付き承諾をしたが、オーストリアは条件付き承諾に納得せず二五日に国交断絶に踏み切る。そして二八日にセルビアに対する宣戦布告が行われた。これにより世界大戦が勃発する。
オーストリアがセルビアに侵攻することを受けて、史実ではなかったセルビアの同盟国のブルガリアとオスマン帝国がオーストリアに宣戦布告する。
ドイツはブルガリアとオスマン帝国の参戦を受けてオスマン帝国の同盟国であるフランス、イギリス・アメリカ・イタリアに対して宣戦布告する。
日本もオスマン帝国の参戦を受けて連合国に対して宣戦布告し、オスマン帝国とブルガリアに侵攻を開始した。
日本とドイツはフランス・ブルガリア・オスマン帝国に戦車を大量投入した。フランスは戦車を保有していたので、史実とほぼ近いソンムで攻防を行えていた。しかし、史実では存在していたロシア帝国との東部戦線がないため、ドイツは全戦力をフランスに向けることができた。そのため徐々にフランス軍は押されていきイギリス軍とアメリカ軍が援軍に来た時にはパリ占領の一歩手前であった。イギリスとアメリカの援軍により何とか持ちこたえパリ郊外で一進一退が続いている。
戦車を持っていなかったブルガリアはわずか1週間で日本によって殲滅された。オスマン帝国は、地形的な理由によりブルガリアのように短期で殲滅されることはなかったが、日本の黒海艦隊がオスマン帝国海軍を殲滅したことによって状況が一変する。黒海から上陸した日本軍によってコンスタンティノープル(現在のイスタンブル)とアンカラが占領される。そして史実でオスマン帝国が宣戦布告した日である11月11日に皮肉にも日本軍によって殲滅され616年の歴史に幕を閉じた。オスマン帝国を滅亡させた日本軍は南下しギリシア王国も滅ぼした。これにより黒海艦隊の地中海侵攻が可能になった。
さて、陸では激しい戦いを行っているが、海ではどうだろうか?こちらも激しい戦いが行われていた。
南シナ海(8月22日 0153時)
日本が欧州方面でブルガリアとオスマン帝国に侵攻している同じ時刻、東南アジアにある連合国の植民地に対して上陸作戦を決行していた。
「巡視船からの連絡はまだか?」
そう言ったのは、第0艦隊司令官、毛利元昭中将である。本来なら貴族院議員になる方であったが、この世界では軍人になっている。ちなみに毛利中将が言った巡視船とは、現在の海上保安庁の艦艇ではなく、輸送船や客船を改造した特設巡洋艦のことである。
「長官、未だ連絡はありません」
毛利中将の質問に返答したのは、伊予型戦艦1番艦『伊予』艦長の髙本東上級大佐である。
「そうか…陸軍並びに陸戦隊の進行状況はどうだ?」
「夜間と言う事もあり奇襲に成功したので、順調のことです。あと3時間で目標達成とのことです」
「うむ…あと3時間…このまま何もなければいいが…」
「長官、本当に英国の東洋艦隊は来るのでしょうか?」
艦長の髙本上級大佐が心配するのも無理はない。この時代は陸では戦車ができているが、空の覇者である航空機はまだ登場していないからだ。そのため敵艦隊を見つけるには、先ほどの特設巡洋艦などで偵察するしかないのだ。
「心配するのはわかるが、必ず東洋艦隊は来る。現にシンガポールにいる工作員によると東洋艦隊は出撃していると連絡があった。」
「撤退している可能性はありませんか?」
「ないだろうな…これは数分前のことだが、我々の仲間がオスマン帝国海軍を殲滅したそうだ」
「帝国海軍所属の黒海艦隊ですか~つまり敵は手柄がほしいと」
「そうだ、陸でも海でも敵は負けている。そろそろ何かしらの勝利報告がないと士気が低下するだろう」
「まだ、開戦したばっかりですよ」
「開戦した時だからこそ士気は重要なのさ。それに総統は、米国も動いている可能性があるとおしゃっていた。連合艦隊は米国の艦隊を撃破に向かっている以上、総統直轄の我々がここで敵を待ち迎撃するしかない」
そう。実はこの第0艦隊は日本帝国海軍所属ではなく霧荒総統直轄の総統海軍である。先ほど毛利中将が述べていたように、現在連合艦隊は米国海軍からの防衛のために出撃している。総統海軍には第0艦隊(総統第0艦隊)と第10艦隊(総統第1艦隊)が所属しており、今回インドシナ半島攻略のため出撃している。ちなみに総統第1艦隊は本土防衛の任務にあたっている。
「わかりました。では、東洋艦隊の編成だけでもおさらいしておきましょう」
「そうだな。ある程度はわかっているが、おさらいはしておこう。確か情報によると駆逐艦と巡洋艦は同数でそれぞれ20隻と11隻。戦艦は8隻・巡洋戦艦は6隻だったな」
「我が艦隊の巡洋戦艦は吾妻型と新戦艦の京城型の8隻です。しかし、戦艦は12隻います」
「数ではこちらの方が優勢か…しかし敵には38.1センチ砲を搭載している戦艦がいるらしい」
「38.1センチ砲ですか!?新型戦艦以外はほぼ致命傷になるのでは!?」
「可能性はある。特に我が艦隊で一番装甲が薄いのは扶桑型だ。新型戦艦は38.1センチ砲搭載艦を、扶桑型はド級戦艦の相手をしてもらおう。残りは臨機応変に対応だ」
「それが妥当だと思います」
「さて…そろそろ連絡があってもいいが…」
その時艦橋に1人の士官が入ってきた。
「失礼します!特設巡洋艦『長門』より通達です!」
「内容は!」
「はっ!『我、敵艦隊見ゆ!敵戦艦18・巡洋艦11・駆逐艦30、アナンバス諸島沖を北に侵攻中!尚、敵戦艦の中にフランス有!』とのことです!」
その士官の言葉に艦橋にいた人はざわめいた。確かに英国しかいないと考えていたため、まさかフランスが出るとは思ってもいなかったからだ。しかし艦隊司令の毛利中将はと言うと…
(フランス戦艦がいるということか、数では変わらなくなったな。しかしそんなものは関係ない。獲物が増えただけだ。我が艦隊は、総統の命を追行するのみ!「全艦艇に通達!」
艦隊司令官の言葉にざわめいていた艦橋が静かになった。
「敵が増えようが、獲物が増えただけだ!我が艦隊は、総統の命を追行するのみ!戦闘配備!」
「「「「戦闘配備!!!」」」」
「取り舵いっぱい!全艦艇最大戦速!目標英仏連合艦隊!」
「はっ!取り舵いっぱい!最大戦速!」
「長官、意見具申よろしいですか?」
そう言ったのは第0艦隊主席参謀 神馬憲映一等大佐である。
「いいぞ、何か思い付いたのか?」
「ありがとうございます!先程の報告で、敵艦隊は駆逐艦30隻いると言ってました。しかし我が艦隊は20隻です。巡洋艦は同数のため、敵駆逐艦の排除が困難になると思います。そのため、敵駆逐艦の雷撃による戦艦の安全が困難になる可能性があります。なので、ボルネオ島上陸作戦を支援している第1支援艦隊に応援要請してみてはどうでしょうか?」
「うむ…しかし、今は我々が得意とする夜間だ。それほど危惧することはないと思うが……艦長はどう思う?」
「確かに今は我々が得意とする夜間であります。しかし、主席参謀の言っている通り、我が巡洋艦の数では、戦艦の護衛已然に駆逐艦の支援も困難になると思います。第1支援艦隊の編成は、確か…巡洋艦14隻と駆逐艦16隻だったはずです。なので援護があれば、戦艦の安全だけでなく駆逐艦の生存数も大きく向上すると思います。」
「わかった。通信長、第3護衛艦隊司令官二宮 兼次中将並びに第1支援艦隊司令官大浜 優介中将に打電」
「内容は?」
「『我が艦隊は、敵艦隊の迎撃に向かう、第3護衛艦隊は、輸送船団の護衛を頼む、第1支援艦隊は、我が艦隊の援護を頼む』だ。復唱はいい」
「はっ!了解しました!」
そう言うと通信長は艦橋から出て行った。
後に南シナ海海戦と呼ばれる英仏連合艦隊と日隊が、初めて戦った海戦として語り繋がれるのだが、内容は次回のお楽しみに!




