キャンプ飯
「よっしゃ! 肉だ! 肉を焼け!」
先輩はいつもよりテンション高く、俺に命令する。俺は鞄から肉を取り出す。
「じゃあ行きます」
「おう! いけいけ!」
先輩が設置した網の上に肉を置いていく。ジューッという音と共に肉が焼かれる。良い匂いがすぐに漂ってくる。それだけで涎が口内に発生する。先輩も小さいトングを持ちながらジッと肉を見つめている。
「そろそろいいかな?」
「いや、まだ片面しか焼いてないじゃないですか」
「……」
「ほら、水でも飲んでください」
俺は先輩が用意してくれた武骨なカップに水を注いで渡す。
「ああ。ありがとう」
先輩はその水をあおって一口で飲み切った。手に持っていたトングは網の横に置かれたので、いつでも食べてしまいそうな先輩の代わりに持って肉を裏返す。よく見ると油もすごい、良い肉を買っただけはある。火元に油が落ちて火がより強くなる。美味そうだ。
「なあセン、もういいだろ?」
先輩はうずうずとした様子で同じく武骨な小さな深皿と箸を持っている。こう見ると待てをされている大型犬のようだ。
「ちょっと待ってくださいね」
俺はもう一度肉を裏返す。良い焦げ目がついていた。
「はい。どうぞ」
「よっしゃ!」
肉を先輩の皿の上に置いた後、俺のであろう皿にも肉を置く。
「セン、これ使え、美味いぞ」
肉を頬張りながら先輩は恐らくスパイスであろう粉が入れられた瓶を渡してくる。
「ありがとうございます」
「かければかけるほど美味いぞー」
確かに美味かった。こんなものがあったのか。
「ほらお前ももっと食え」
そう言って先輩は気づいたら俺が持っていたトングを持っていて、どんどんと肉を焼きはじめた。同時にポイポイと俺の皿に肉を入れてくる。
「せんぱい……」
「なんだ?」
「野菜も食べましょ?」
「分かった」
なんだか野菜が好きじゃなさそうな先輩にしては意外な反応だった。結構渋るかと思ってたんだけど。先輩は俺が背負わされていたバッグに手を突っ込んだ。
「セン、アルミホイルを取っといてくれ」
「はい」
俺は言われた通りにする。先輩がバッグから取り出したのはジャガイモだった。
「せんぱい……」
「な、なんだよ」
「緑色の野菜はありませんか」
「あることにはあるが」
「じゃあそれ食べましょ?」
「いや、これは焼きそば用なんだ」
そう言って取り出したのは四分の一にカットされたキャベツだった。
「それだけですか」
「緑色はそれだけだな」
「他の色ならあるんですか?」
「おう」
見せてきたのは人参とニンニク、そしてジャガイモだった。
「とりあえずジャガイモ焼きましょうか」
「だな」




