再びの邂逅
「ようセン」
「なんでいるんすか」
「おい、勘違いするな。本当に偶然だ」
流石にタイミングを見計らっていたのなら怖すぎる。
「分かりますよ」
「岩合先輩、こんにちは!」
隣にいた新井が元気よく言う。
「だれだお前」
そのテンション感とは真反対に先輩は聞いたこともないような低い声で言う。背が低いこともあり、睨んでるように見える。実際睨んでるかは分からない。前に聞いた先輩の話通りだった。本当だったのか。
「え、えっと。すみません」
そう言って新井はそそくさと薄情にも行ってしまった。
「何だったんだ?」
「なんで岩先輩睨んでるんですか」
「は? 私は睨んでないが」
「やっぱりそうだったんですね」
先輩が勘違いされている理由が分かった。俺は噂の理由がただ先輩の身長が小さいというだけということに笑いがこみあげてくる。
「なんだセン。少し気色悪いぞ」
「それは言い過ぎじゃないですか」
「変なことを考えてるのが悪いんだ」
それには何も言い返せなかった。
「セン、今から飯か?」
「そうですね。本当はさっきの奴と学食行く予定だったんですが……」
「そうか。ならちょうどいい」
「学食いっしょに行きますか?」
「それは魅力的だが、今回は別の選択肢を取ろう」
「別の選択肢?」
「そうだ」
そう言って先輩はズボンに引っ掛けていたキーリングを掲げる。
「どこか食べに行くんですか?」
「いや、自分で作るんだ」
そう言った先輩に連れられたのはまずは先輩の家があるであろうアパートだった。
「先輩の手料理なんですか?」
「ははっ、それはちげーよ。まああながち間違ってはないが」
「え?」
「まあライダー気分で座って待ってな。すぐに戻ってくるから」
先輩はそれだけ言い残してタタタッと部屋に入っていった。一体なんだというんだ。この人といると新しいことばかりだ。俺は試しに先輩に言われた通りライダーっぽくハンドルに手を伸ばしてみる。おお、なんかそれっぽい。先輩がやってるみたいにハンドルを回してみる。どうやら右側だけしか回らないらしい。よく考えると当然だった。アクセルは一つだけだ。ブレーキは両方にあるらしい。ブレーキだよな? 自転車と同じならブレーキだ。
そんな感じで少し男心をくすぐられながら観察を続けているうちに先輩が戻ってきた。かなりの荷物を抱えていた。
「先輩その荷物って……」
俺の言葉に先輩は口角を上げた。
「そうだ。キャンプだ!」




