第二十六話「普通の従兄弟」
私が取り押さえていた少女と多田の話から、事件の背景が明らかになった。
少女は、多田の従兄弟だった。
幼少期から病弱で内気で友人が居なかった少女を、多田は気にかけていた。
そのうち少女は多田と結婚するとか言い出した。
多田はなんとか話を逸らして誤魔化そうとしたが、少女は「結婚しないと世界が滅ぶ」とかいうごっこ遊びの延長みたいな理由をつけ始め、どんどんエスカレートしていった。
多田は少女と距離を置いた。
少女は「結婚できないなら世界を滅ぼして自分も死ぬ」とか言い出した。
みかねた少女の両親が、少女を家からなるべく出さないようにしていた。
そんな中、多田が結城に告白した…。
どう言う手段なのかそれを聞いて――
少女の両親が恐れていた事態が起きてしまった――
「…情報量多すぎ!私の脳みそのキャパ完全にオーバーしてるって!警察に話すにしても、警察も混乱するわ!調書を書く担当の人ご愁傷様…」
近づいてくる救急車とパトカーのサイレンを聞いて、普通は安堵するのだろうが、私は逆にため息しか出ない。
「ところで、君、結局誰?」
私の後ろでもう一つの混乱案件が起きていた。
突然表れた結城雪にそっくりだが身長は170cmくらいありそうな、もう一人の結城という謎の生徒について。
「だからもう一人の結城さんですよー。」
「説明になってないって!」
「あー、はいはい、雪の従兄弟の結城みぞれです。雪の二ヶ月後の生まれで同学年なので、子供の頃は双子の兄弟みたいに育てられました。」
「えー?」
いや私もびっくりなんだけど?
従兄弟?
多田と少女の関係も従兄弟…。
同じ従兄弟でこうも違うのか?
多田が驚いているが高島は無反応だった。
「…高島は知ってたの?」
「あー…コイツの秘密も…全部な。」




