第二十五話「普通の時効」
息を吸っているはずなのに吸ってる空気が足りている気がしない。
…という体感だが実際は私の肺がしょぼいのであるからどうにもならない。
必死に息を吸おうとするほど息を吐ききれてないから呼吸の効率が落ちるとか言われても、苦しくて深呼吸とかする余裕はない。
…と、考える程度に呼吸はきついが脳に余裕は出てきた。
「おい、弾が当たったの、この位置心臓じゃないか?」
…ちがうぞ高島、心臓はもう少し下だ…みぞおちから指3本上を心臓マッサージと保健の授業で2週間前やってたのを忘れたか?
「肺に穴が空いて、呼吸ができなくなってたりとかする…?」
多田、刑事ドラマ見過ぎだ、普通被弾したら呼吸不全より失血とショック症状でヤバい。
「…このまま死なれたら……」
いや死なないって…一向に血中酸素飽和度が回復しないという問題はあるが…。
「…俺、お前に謝れてない…。」
なんの話だ、高島…。
「…小学校の時、お前にウザ絡みして…お前の筆箱で意地悪したこと…悪かった…ごめん…」
いや時効だろ、それ。
というかシリアスに泣きながら言うな、死亡フラグ立てて死んでない私を殺す気か?
「…救急車、もう少しで来ると思いますー。」
…あ、間宮、いたの?
「…あー、はいはい、ちょっとみんなどいてもらえます?」
…この声は…。
「え、誰?」
…いやそうなるよな。
みんなこの人のこと知らないはずだから…。
「隣のクラスのもう一人の結城さんですよー。では診察と処置お願いしますー。」
「えーっと、弾は筋肉で止まってますね…。この筋肉ほとんどないへなちょこな雪の体で信じがたいですが。」
…へなちょこゆーなし!
「とんでもない肩こりです…。あのお父さんにまたこき使われているのか、あのお母さんが寝床散らかして安眠妨害してるのか…ストレスたまってそうですね…。」
…うちの事情バラすな!
「間宮さん、パルスオキシメーターを…。」
…ツッコミに忙しいが観点は正しいんだよな…。
「はいー。ついでに指もこっちに…。不謹慎ですけど結城さんの指に触れて幸せですー。」
…間宮、ちょっとは感情隠せよ…。
「…うーむ、とりあえず酸素吸入させておきますかね…。」
…シューーー…




