第二十話「普通の告白」
放課後、私は掃除当番のため教室を掃除していた。
当番が割り当てられているにも関わらず無断で帰った者もいるし、目の前で高島が箒を振り回して遊んでいた。
(男子って、2:6:2が顕著よね…) 私は心の中で呟きながら、
「邪魔するなら私が全部やるから帰っていいわよ。」
と言うと、高島は「またやってしまった」とバツの悪そうな表情で男子軍団を率いて帰って行った。
高島の邪魔者を引き連れて一緒に去るという罪滅ぼしのおかげで掃除が捗った。
結局最後まで残ったのは多田だった。
ひと段落したところで多田が口を開いた。
「結城さん、ちょっと話聞いてくれるかな?」
改まって何かと思ったら…。
「結城さんのことが好きです。付き合ってください。」
………そうきたか!?
私は物事を合理的に考えすぎて、恋愛が理解できない。
愛とか恋レセプターが存在しないか、ブロックされている。
ここまで鈍感なのが春先のヒスタミンレセプターだったらどれほど良かったことか。
素直にそれを伝えた。
「私、恋愛とかわからないのよね…。」
そこで会話が途切れたら気まずいだろうなと言った後で気づくが…。
「恋愛はサポートされてない?ライセンス買えばサポートされる?年間いくら?」
予想外のボケが飛んできた。
「ちょっと!私がいかがわしい商売してるみたいになってるじゃないの!」
ガラにもなく、普通の女子みたいな返しをしてしまっていた。
私の会話に合わせてくれているんだよな…。
それがちょっと嬉しくて…ちょっと気恥ずかしくて…。
そして無下にもできなくて。
自分でも意味のわからないことを口走っていた。
「恋はUDP、愛はTCPなのよ。だからまずは3-Wayハンドシェイクからね。」
我ながら史上稀に見る迷言である。
「…『まずはお友達から』みたいな意味…僕はまだ友人にすらなれてなかった!?」
多田が困惑していた。




