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あんたんーUNundersTANdable  作者: 三咲 美月
第二章「普通のラブコメを目指したい」

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第十五話「普通の拷問」

目の前で、微かなメイラード反応と出汁の香りを漂わせて、湯気を放つ物体が存在感を放っている。

豚肉に衣をつけて揚げ、それを卵で閉じ、白米の上に乗せた料理。

一般的に「カツ丼」と呼ばれる。


放課後、私の前のそれが置かれていた。

多田がわざわざ作ってきて、そして職員室で電子レンジを借りて温めてきたらしい。


病み上がりで登校したら放課後に何故かカツ丼。

何故?

というか、そもそも私は胃袋も小学4年生で成長止まっているからこの量食べきれないし、消化器系も弱ったままの病み上がりでカツ丼とか拷問なのだが。


「これはただのカツ丼じゃないよ。取り調べ用カツ丼だからね。」

何だよそれ。

『朝専用コーヒー』みたいな商品名か。

そもそも『取り調べ用』って用途限定しすぎで意味不明である。


ついでに夢を壊すようで悪いが、実際の取り調べは食事は被疑者と警察官は別々にとるし、弁当代は後で被疑者が実費で払うものだから、取り調べのカツ丼はファンタジーである。


「教えてもらおうじゃないの。何で人の問題を抱え込もうとするのかをね。」

朝倉が言う。


「ステークホルダー全員がWin-Winである必要があるからよ。」

「結城さんだけLoseじゃない?」

「私はサービスであり、人的リソースなのよ。ステークホルダーとしては扱われないわ。」

「…それ社畜じゃん。」


我ながら、生まれながら社畜思想だとは思っていたが、改めて言われて自分の異常さを自覚する。

小路がアブノーマルというのもあながち間違っていない。


「…私はね…サラブレッドなのよ。情シスの。」

とりあえずドヤっておいた。

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