第十一話「普通のメッセージ」
『YaaS 運用ご担当者様
お世話になっております。
パクチー案件につきまして、
ご相談したいことがございます。
体調が回復されましたら、
一度打ち合わせの席を
設けさせていただきたく存じます。
以上、よろしくお願いします。』
――よし、送った。
「…あんた、バカなの?それとも社畜が感染したの?」
朝倉から辛辣なツッコミが来た。
「いや、ほら…普通の文面でメッセージ送ったら失礼かなと思って、結城さんのノリに合わせようと…。」
良かれと思ったことが裏目に出るってこういう事か。
すぐに返信が来た。
『YaaS運用担当 結城です。
承知致しました。
体調が回復致しましたら、
改めてご連絡させていただきます。
以上、宜しくお願い申し上げます。』
完全に乗っかってきていた。
まだ思考暴走中なのだろうか…?
「とりあえず、教室戻ろうか。」
「そうだね…。」
旧校舎。
ほとんどが文化部の部室として使われていて、放課後は賑やかだが、休み時間はほとんど人が来ない。
誰かが来れば足音でわかる。
だから朝倉はここを選んだのだろうが。
「ぉおお?」
…??
「…ぉぉ…」
……??
何か聞こえたような…。
隙間風のような、人の声に聞こえなくもないような。
隙間風にしては、なぜここで?という場所ではあるが。
ふと朝倉を見ると、引き攣った顔をしながら、
「は、早く戻ろう!」
と、また僕の腕を掴み全速力で走り出した。
高島ではないが…。
「今怖がってた…?」
思わず聞いてしまった。
「怖いとかじゃなくて、第六感の警告だから。まぁ怖いけど。」
「朝倉、素直すぎていじり甲斐がないね…。」
「…褒め言葉として受け取っておく…。」




