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あんたんーUNundersTANdable  作者: 三咲 美月
第二章「普通のラブコメを目指したい」

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第十話「普通の不在」

『結城雪が夜中に急患で神無宮医療センターに担ぎ込まれた』

センセーショナルなニュースである。


「高熱の割に意識がはっきりしてたらしいですけどねー…それ以上は患者の個人情報なのでー」


「すでに個人情報漏洩の必要十分条件だと思うけど?」

ここで初めて間宮の母が看護師だと知ったが、患者が運び込まれた事実は漏洩してはいけないはずだ。

「担ぎ込まれた事実は本人からも皆さんにメッセージ来てますよねー」

本人が公開した事実であれば規制が緩和されると…?

いやいや、職業倫理とかデリカシーってないのか。


授業中、窓の外を見て少し考え事をする。


一般的に窓側最後部が主人公ポジションなどと言われるが、私の席は出席番号1番で窓側最前列だった。

実際にはこちらの方が、教卓から意図的に首を動かさないと周辺視野でしか映らない。

ぼーっとするには最適だった。

苗字が「あさくら」である特権として濫用することにした。


人の表情から恋愛感情を読むのは得意だ。

家業で不倫だの離婚調停だの関わって見てきたせいだ。

まず間違いなく高島は結城のことが好きだ。だが素直になれていない。

そしておそらく永遠に好意を自分の中にしまい込んで、なかったことにするタイプだろう。


次に多田。絶対に結城に惚れてる。

これは高島も言及していたが…(多田の恋愛感情をおちょくって自分の好意を隠すとか、汚いなぁ)


そして氷枕を高島に投げつけた結城。

誰がどう見ても照れ隠しだった。

あんなに感情が表に出ている結城は珍しかった。


……って、違う。

昨日の夕方の違和感の正体は…。


結城が高梨に対して気を遣っていた。

いつもの過保護ではなく、かける言葉を選んでいたり、目を合わせないようにしていた。


(何があったのか、聞くしかないね…。)


次の休み時間に、多田の腕を掴んで廊下を猛ダッシュ、旧校舎まで来た。


「…あの……息が……」

急に走らされた多田が息を切らしている。


「…何で…旧校舎…?」

「香菜本人がいたら話せないことを聞きたいの。あとデリカシーないバカと情報漏洩装置がいるから教室は要注意。」

「香菜…あぁ、高梨さん?あとデリカシーないバカは高島だとして…情報漏洩装置?」

「間宮さんだよ…。私あの人苦手だね。」

「はぁ…変な人だとは思うけど…。」


「…それで、一昨日のタクシーで何があったか、洗いざらい吐いてもらおうじゃないの!」

「…え?何で僕尋問されてんの?」

「カツ丼食う?」

「真面目なのかふざけてるのかどっちかにしてくれ!」


………。

………。

………。


「…以上です。」

「………はぁ…。何でそんなに厄介ごとを積極的に背負い込むのかねぇ。私みたいにお金もらってるわけでもないのに…。」


「…それ、元気になったら結城さんに直接聞いてみれば?カツ丼食わせて。」

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