第四話「普通のやさぐれ」
多田のおかげで、いまだかつてないほど高島とも会話が続いていた。
もしかしたら高島は普通に会話をできればよく、私とだと、それができないということかもしれない。
私が「普通の話題」を振れないから、当たり前と言えば当たり前である。
しかし、重大なことを忘れていた。
「たかしま」と「ただ」の間にもう一人いたのである。
いや、会話のために席を移動して他人の席に座るの、あまり男子はやらないのでは…。
やはり多田はおしゃべり好きらしい。
そして、その席の主が登校して来た。
「そこ、あたしの席なんだけど?」
ちょっと声に威圧感を出してはいるが、どことなく舌足らずで空回りしているような口調で言って来た。
名前は高梨香菜である。
入学2日目にして制服を着崩し、胸元は開けている。
しかも化粧して、マスカラまでつけている。
…化粧しなければあと10分早く登校できるのではないか?
生活指導にも素行が悪そうな上級生にも目をつけられるリスクをとってまでの自己主張を入学2日目でやるとは、私には理解できないのだが、これが高校デビューという物なのであろうか。
「あ、ごめん…。」
多田が自席に戻る。
それと同時に高梨が突っかかってきた。
「お前の親、医者なんだろ?金持ちなんだろ?」
あ、私完全に見下されてる。
こういう相手には、現実を思い知らせてやる必要がある。
「うちの親は天然馬鹿で学力も大して良くないのに頑張って医者になった分、両親に学費で借金作らせてるし、そもそも公立病院の給料はそんなに良くないわ。
それはそうと、この辺で救急車を呼ぶと高確率で母が勤務する神無宮郡市医療センターに救急搬送されるわよ。あなた自身か、家族か親戚かわからないけど、『その時』に世話になるかもしれない医師の家族に無駄な喧嘩を売らない方が、得策じゃないかしら?」
言い終わると、あからさまに不機嫌な態度をとってきた。




