第二十七話「普通のクイズ」
「フィールドワーク」とかいう大袈裟な名前がついていながらただ単に20kmを歩かされるだけのイベントが終わった。
歩きにくさを極めた結城は、往路でゴールするとともに座り込んでしまったので、復路は間宮と朝倉が交代で背負いながら帰ってきた。
朝倉は「結城さん軽いから私一人で平気」と言ったが、間宮が「私にもおんぶさせてほしいですぅー」と譲らなかったらしい。
高島はいつの間にか仲良くなってると言うが、間宮の場合は何か違う気がする。
夜の部。
クイズ大会とか言うイベントが開かれていた。
様々なジャンルのクイズを班ごとで相談しながら回答して、正解数を競うと言うものである。
男子の班と女子の班が一対一で組むとのことで、結城の班と一緒になった。
「私、最後まで問題をちゃんと聞いて答えるクイズは得意よ?」
結城が言う。
「逆に早押しは苦手ね。コールセンターのIVR…音声ガイダンスもちゃんと最後まで聞いてから押しているわ。」
いや、クイズと関係ないよね、それ。それと、電話代が無駄にかからないか?
かくして、クイズが始まる。
問題:英語で比較級は基本的に「er」で終わるが、juniorなど「or」で終わるものを「???比較級」という
???に当てはまるのは次のうちどれか。
A:ロマンス
B:ゲルマン
C:ラテン
D:ブリテン
「あー…ラテン比較級ね。」
選択肢が読み上げられる前に答えていた。
さっき音声ガイダンスは最後まで聞くって言ってなかったっけ?
ついでに無駄な補足までしてくれた。
「英語って、ヨーロッパのあらゆる文化をごちゃ混ぜにした上でアメリカでぐちゃぐちゃに発酵させた世界で最もカオスな言語よね。」
同意を求められても困る。
問題:日本初の公害といわれる足尾銅山鉱毒事件が起きた足尾がある都道府県は?
A:群馬県
B:東京都
C:埼玉県
D:栃木県
「…山っぽいから、群馬県?」
高梨が言う。
山っぽいイコール群馬県とは、理由がひどい。
「栃木県よ。平成の大合併で生活圏全然違うのに日光市になっちゃったわね。」
的確な解答と補足、しかし…。
「群馬も高崎とか関東平野よ。群馬県が山の中ってイメージは毛無峠の『群馬県側立ち入り禁止』の写真がネットで出回りすぎたのが原因の風評被害だと思うわ。」
また無駄な、しかも割と毒を吐くような補足。
最終的に僕たちの班は結城が無双して優勝した。
同時に僕と朝倉は結城を「歩くアンサイクロペディア」と呼ぶことにした。




