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第50話「休憩」

「ねえ!!なんか羨ましい世界線の私いたんだけど!!どうなってるの私!!」


「また黑谷ちゃんが発狂してる……」



 文化祭一日目はなんとか無事終了。


 和メイドから私服に着替え、冷蔵庫に戻さないといけないもの、一旦片付けないといけないものなんかを運び終えたわたし達は部室の方へ戻った。



「ただいま戻りました〜」


「あ、お疲れ様っす」


「阿須加先生、駕籠野先輩、お二人が戻られましたよ」



 一番最後に戻ったのがわたし達のようで、部室には既にみんな勢揃い。


 ひとまず山場の一日目を越えたからか、いつにもましてみんな気が抜けていた。



「こうして見るとすっぴんでも強いね、図書研」


「ね」


「あら、お疲れ様、あんた達」


「みんないい汗かいてるわね〜」


「っすね、さっさとシャワー浴びたいっす」




 この冬ヶ丘では文化祭期間中、学校での時間無制限な活動と寝泊まりが認められている。


 その間は学校設備のシャワールームなんかも解放されてるしで、閉場後、少し静かになってもそこはかとなくお祭りムード継続中。


 アーチェリー部やら弓道部やらは徹夜で必死に的用の風船を膨らませるのが恒例行事らしい。



「で、うちはどうするわけ?夕飯の買い出しも行かないとだし、シャワーもさっさと行かないと今に激混みよ」


「ああ、そうそう。それなんだけど、私にいい案があるのよ」


「案でございますか?」


「そう!ほら、これ!」



 そう言って阿須加先生が取り出したのは、少し遠くのスーパー銭湯の回数券。


 分厚さを見る限り、多分20枚以上はある。



「阿須加先生、それ、どうしたんですか?」


「これね、福袋の特賞で当たったのだけど、よく考えたらあんま行く機会がないお店だったの。そろそろ期限も切れちゃうからお食事券諸々使っちゃいたいのよね」


「車で片道……30分ってとこすか?全然行ける距離っすね」


「そうでしょ?お風呂もご飯もここで済ませちゃうってのはどうかしら?お金は全部私の方で出しちゃうから!」


「大賛成、大賛成でございます!」


「図書研は他ほど忙しくありませんし、全然行って帰っての時間はありますもんね〜」



 時間はあるし、お金は出してもらえるしで反対する理由などあろうはずがない。


 わたし達は全会一致で温泉行きに決定した。



「プレミアム殿堂の話?」


「デュエマでございますか?」


「違うよ2人とも」



 そして時刻は18時過ぎ。


 わたし達は図書館を出て、駐車場に停めてある先生のアルファードの方へと向かった。



◇◇◇



 そしてサウナも、



「暑です。無理でございます。私死にたまうことなかれ」


「えっと〜、わたしと出る?甘神ちゃん」


「黑谷さん、私、ロウリュしてもいいかしら?」


「……あ、はい、どうぞ……」



◇◇◇



 お風呂も、



「デカいのってこんな浮くのね。壮観だわ」


「ですよね、ホント」


「あの……二人してさも当然かのようにセクハラするのは……」



◇◇◇



 ご飯も。



「すいません、天ぷら盛り合わせ、一つ追加で」


「いい食べっぷりですね〜氷室先輩」


「そう、すかね?……あ、ご飯のおかわりは……うん、大盛りでお願いします」


「……こいつほんとすっぴんでも綺麗な顔してるわね……」



◇◇◇



 そして帰り道。



「あら、みんなぐっすりね」



 意識も遠のく中、阿須加先生の優しい声と、身体を揺らすエンジン音が聞こえてくる。


 あと、わたしの胸に寄りかかって枕代わりにしてる黑谷ちゃんの寝息。


 わたしは折り重なるように、黑谷ちゃんの方へ身体を倒した。


 お疲れ様、わたし。

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