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「冒険ガイド」が神スキルだった 〜戦闘も生産も経営も全部このスキルで楽しみ尽くす!〜  作者: 水無月 平良


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魔装というもの


 魔物を倒すとその体の大部分が光の粒子となり宙に消え、代わりに魔石がその場に現れる。しかしその際、肉体の一部だけは残る。


 その肉体の一部がどの部位かは魔物によって何パターンかあるが、その中でも現れやすい部位と現れにくい部位というものがある。


 スケルトンが残す素材は二パターンあり、よく出るのがスケルトンの腕骨。

 そして稀に出るのがスケルトンの頭蓋骨である。


 魔装ドローン作成にはこの頭蓋骨の方が必要なのだが、これが中々落ちず僕は素材集めに苦戦していた。


 その結果、魔装ドローンより先に魔装武器スケルトンソードが作成できてしまった。


 今日は素材集めの続き兼その試し斬りをするためにダンジョンへと潜っていた。


 ――カンッ!


 乾いた音がダンジョン内に響く。


 スケルトンが振り下ろしてきた腕骨を受け流し、そのまま横薙ぎに剣を振るう。

 剣身がスケルトンの胴体を捉え、そのまま骨を断ち切った。


 魔石とスケルトンの素材が地面に転がる。


「元々使ってた普通の剣よりは強い……けど」


 スケルトンソードを眺めながら、僕はそう呟いた。


 少なくとも、今まで使っていた普通の剣よりは明らかに扱いやすい。

 刃の通りもいいし、スケルトンの骨を斬った程度では刃こぼれする様子もない。


 魔物の素材を使っているだけあって、武器としての性能はかなり高いようだ。


 ただ――。


「思ってたより普通だな……」


 僕が期待していたほどの大きな違いは感じられなかった。


 魔装がトップレベル探索者のレベルの天井を突破させたという逸話から、もっと特殊な武器なのかと思っていたのだが、実際に使ってみた感じでは頑丈で切れ味の良い剣という印象だ。


 もちろん、それだけでも十分ありがたい。


 けれど、何かもっと特別な能力があってもおかしくないと思っていた。


 そこでふと、これまでの経験を思い出す。

 スキルを獲得した時、たいていのスキルは意識を向けることでその効果を理解することができていた。


「もしかして……」


 僕は一度、スケルトンソードを握り直し、剣そのものへ意識を集中させてみる。


 すると――。


「うわ!?」


 手にしていたスケルトンソードの刀身がいきなり伸びたのだ。


 いや、違う。


 よく見ると、刀身の全体が伸びているわけではなかった。

 剣身の途中から先端部分が分離し、そのまま宙に浮いている。


「なんだこれ……」


 試しに持ち手を動かしてみる。

 すると、宙に浮いた先端部分も僕の動きに合わせて移動した。


 右に振れば右へ。


 左に振れば左へ。


 しかも、僕が剣を振る速度に遅れることなく、まるで一本の剣であるかのようについてくる。


 次の敵を探し、今度は少し離れた間合いから剣を振ってみる。


 普通なら届かない距離。


 しかし――。


 ブンッ!


 宙に浮いた剣先がスケルトンの胸部を叩き割った。


「おお……!」


 思わず声が出る。


 実質的には剣が長くなったのと同じ。

 不思議と剣先が相手とぶつかった時の衝撃も感じる。

 しかし、剣先が宙に浮いているだけで、持ち手側の重量は変わらない。


 つまり、長い剣を両手で振り回す必要がなく、片手で扱える重量のまま、実質的に攻撃できる距離だけを伸ばすことができる。


「これは……かなり便利だな」


 そこでようやく気づいた。


 魔装というのは、単純に性能の高い武器というわけではない。

 素材に使った魔物。その魔物が持っていた特徴が、武器そのものに特殊な効果として宿っているのだ。


 スケルトンソードの場合は、スケルトンという魔物そのものの性質が関係しているのだろう。


 魔装ドローンが作れるとわかった時、なぜスケルトンの骨でドローンが、という疑問があった。


 そしてこのスケルトンソードの能力。


 もしかすると、スケルトンという魔物が筋肉も神経もなく体を動かせているのは、念動力のような力を使って体を操っている、ということなのかもしれない。


「なるほど……」


 そう考えると、俄然興味が湧いてきた。


 もし他の魔物を素材にしたら、いったいどんな魔装ができるのだろう。


 魔物によって様々な特殊効果を発動できる魔装。


 それはまるで、探索者のスキルのようではないか。


 そしてそれは、僕にとって非常に重要な要素であると思う。

 なぜなら僕のスキルツリーは成長速度は異常だし、能力も有用そうではあったが戦闘にはまったく向いていないからだ。


 レベルが上がれば身体能力そのものは強くなる。

 実際、冒険ガイドがLv.3になってからは以前よりも明らかに身体が動くようになった。


 しかし、その上昇だけではもう少し階層が上がればすぐに限界がくる。

 だから階層と同等のレベルではなく何レベルか余裕を持った攻略をする計画で進めていた。


 冒険ガイドがLv.3になってからも二階層で戦っていたのは、そうした考えと戦闘経験の少なさを考慮していたからだ。


 だが、これなら――。


 僕はスケルトンソードを構え、さらに意識を込めて剣先を浮かせる。

 今までよりも広い間合いからスケルトンへ攻撃を仕掛ける。


 一体。


 二体。


 三体。


 これなら、今までよりも安全に戦うことができそうだ。


「……三階層、行ってみるか」



 *



 第三階層。


 出てくる魔物は第二階層よりも段違いに強い。

 同じスケルトンだが、身のこなしや力強さも大幅に上がり、さらに剣や斧、槍などの近接武器も持ち始める。


 だが僕はこの魔装を使っていくうちに剣先の伸ばし具合も自在に調整できるようになってきていた。


 戦いというのは基本的に間合いが広い武器を持っている方が有利だ。


 この魔装を使えば相手の武器を見てから確実に相手より広い間合いを確保でき、そしてもし相手に間合いの内側に入られそうになっても後出しで刀身を短くすることができた。


「……いける」


 戦いの中でこの魔装の使い方を学んでいく。その試行錯誤が楽しくて、敵を倒すにつれて僕の集中力は深まっていった。


 そして、相手が武器を掲げて僕の振り下ろしを受けようとした瞬間――。


「ここ!」


 剣先をさらに数センチ離すことで僕の攻撃を受けようとした相手の武器をすり抜けて、相手の頭を叩き斬った。


「ふう……」


 一連の戦闘が終わり息を吐いてゆっくりと落ち着く。


 そしてこの戦いを終えて確信した。


 魔装は、僕にとってかなり重要なものになる、と。


 もしスケルトンソードがなかったら、僕はまだ第三階層へ進むことを躊躇していただろう。

 身体能力が上がっているとはいえ、それだけでは戦い方そのものが変わるわけではない。


 僕には戦闘系のスキルがない。


 そんな僕にとって、この魔装というものは外付けの戦闘スキルのような役割を果たしてくれるのではないかとそんな予感がしていた。


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