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数学研究部は問題なんて朝飯前:擬素数  作者: 数式舞
数学研究部は問題なんて朝飯前 :擬素数
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第五章: 砕けた周波数 (上)

絶縁壁の向こう側で、低い唸りが絶え間なく響いていた。私たちの量子フォトニクス実験室を守るその壁を透過した雨音は、ゆっくりとした安定した心臓の鼓動のように、精密機械の唸りと混ざり合っていた。


部屋の向こう側で、如月は複数のモニターの淡い光に包まれていた。彼女の指はキーボードの上で静止し、左手ははみ出た髪の一房を耳の後ろへと戻した。かすかなキーボードの打音が静寂を刻み、冷却ファンの柔らかな唸りや、画面上をスクロールする分析グラフの時折の微かなちらつきと混ざり合った。端末にはリアルタイムのデータ――温度曲線、圧力変動、スペクトルプロット――の流れが表示されていた。その脇で、内田はスクロールするグラフや音響データを目で追っていた。拡大し続けるパズルのピースのように。


内田が画面を指さした。


「見て……莉香ちゃんが言ってた温度変動の下に、0.04ヘルツのリズムがあるわ。25秒に一回の周期で、0.5度の小さな低下とその直後の湿度スパイクを引き起こしている。AIの安全フィルターが検知するには小さすぎるけど、完璧に周期的よ……」


如月がフルスペクトル分析を表示した。

「二つのピークね……0.04ヘルツのベースライン……と、その上に重なる0.076ヘルツの音響信号。何かが最初のリズムを強制している」


内田が身を寄せた。「何かタイマー式の装置とか……?」


如月の指がキーボードの上で止まった。「可能性はあります。でもこれらは倍音ではありません……」彼女は躊躇し、唇を開き、考え込んで閉じた。


初期の物理点検を終え、俺は慎重に器具を外して内田と如月のワークステーションに合流した。


内田が席から顔を上げた。「お疲れ様! 何か変なもの見つかった?」


俺は首を振り、体を伸ばした。「特に何もないな。ハードウェアは今のところ安定しているみたいだ。二人は? データセットで何か面白いものは?」


如月は顔を上げなかった。モニターに映る彼女の姿は虚ろに見え、周波数チャートに現れた二つの立ち上がったピークに釘付けになり、唇に二本の指を当てていた。


「予備レビューは終わったわ……」内田が続けた。「結論はまだ出てないけど、次に進める準備はできてる?」


私たちは二人して如月を見て、待った。


「あかりちゃん、聞こえてる?」


如月は自分のこめかみに触れ、私たちのところへ戻ってきた。「……ご協力ありがとうございます、内田さん、神崎くん。そろそろ実際の測定器を使って別のリアルタイムデータを取得する良いタイミングですね」


「そうだな、一次ソースデータだ。ポイントが多いほど良い」俺はうなずいた。


如月が顔を上げた。「まずは気流と圧力に集中しましょう」


俺は彼女が求めているものを正確に理解し、高見の案内で精密計器ケースを手に取った。「ダクトの配置は俺がやる。始めよう」


—


データ収集環境をできるだけ数学研究会の管理下に置くため、全てのリード線と熱電対は私たちの責任だった。


俺は感音センサーを換気ダクトの暗い奥深くへと通した。冷たい金属に指先の感覚だけを頼りに。手にした携帯診断画面では、俺の耳には聞こえない音を捉えた線がちらついている。機械というよりも、壁の中に隠れた心臓の鼓動のように感じられる脈動だった。


次に、重要なチャンバーのシール周辺に戦略的に熱電対を通した。データがメイン端末に戻るにつれ、不安定性が確認された。影のように現れては消える、突然の鋭い熱スパイク。


最後に赤外線カメラを設置した。ヒートマップ上では、暗い冷たいスポットがチャンバーの壁全体にちらつき、標準的な熱力学を無視するリズムで現れては消えた。


如月の指が再びキーボードの上で踊り、データストリームを重層的な可視化へと統合していった。


「ここの相互相関をご覧ください」彼女は、圧力低下の同期した振動と温度変動、そしてクラスター化した音響ピークを強調した。


「この対流パターンは、レーザー光学系を乱すのに十分な強さの微小気流を生み出す可能性があります……もし外部からの強制力が断続的に作用しているなら」


「あのかすかなタッピング音……換気による機械的共振かもしれません。あるいは……」彼女は躊躇し、不安そうだった。


「あるいはチャンバーの共振周波数を利用した隠された装置かもしれない」俺は彼女の言葉を引き継いだ。「でも、それを証明するには数学が必要だ。原因を特定する必要がある」


「数日分のベースライン記録が必要です」如月が付け加えた。


内田が長く震える息を吐いた。「何時間も画面の光から目を離してなかったわ……誰か新鮮な空気を吸いにいかない?」


一日のこわばりを肩に感じて、「いいね! 芝生でリフレッシュしよう」


私たちは慎重に白衣を脱ぎ、エアロックでバッジを確認し、建物の外の冷たい舗道に足を踏み出した。濡れた土の香りが学園の芝生と微かに混ざり合い、湿った葉が足元で囁き、その新鮮さはカフェインよりも効果的だった。


頭上では雨がガラスの庇に柔らかく打ちつけ、私たちの緩やかな思考と同期するリズミカルな脈動を刻んでいた。その深まる暗闇の中で、学園の遠くの灯りがきらめき、散らばった水たまりに反射した明るい点が道や芝生を彩っていた。


ひととき、方程式や仮説、目に見えない異常からの束の間の逃避。


如月が沈黙を破った。「互いに素の周期です。十三秒と二十五秒。干渉を通して互いに戦っている」


決して一致しない二つのリズム。それぞれが永遠に他方を追いかけている。調和のない干渉。

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