向こうがその気なら
不良品が返品、じゃんあくて、王子の身柄がへんかんされた日の午後
ギルド前に城からの馬車が止まり……書状を持った兵士とギルドマスターが話していると
「狂子、ビギナ、皿洗いなどやめてすぐ来い」
「「はい」」
苦行から解放されたと、にこやかな顔でギルドマスターへすり寄るあたしに
「あ……すまんがお前達、今からわしと一緒に城に行って国王に会ってもらう……とくに狂子お前に拒否権はない、そうだ」
「「えっ?」」
あたしは異世界人だから良いとして
一般国民が何の前触れもなく国王と会うのだ、ビギナの驚きようははかりしれない
「でも何で、あたし何か悪い事しましたか?」
「王子がへんぴ、いや、へんかんされた……といえば」
(やっぱり)
「はい分かりました、顔を洗って身なりを整えてきます」
「僕も」
「急げよ」
そしてあたし達三人を乗せると、馬車は砂煙をあげ全速力で城へと向かい……すぐさまじょくざの間に通された。
相変わらず国王は、どこか不機嫌な表情をしている……無理もない……息子が誘拐されたと思いきや、身代金の要求もなく、あっさり戻って来たのだから……喜ぶべきだろうが、複雑だ
「よく来た……今宵お前たちを呼んだのは、王子誘拐の件についてだ……狂子よ」
「はい」
「ミドルニアからの謝罪文の一部に、武器が破壊されても王子を奪還戦と勇敢に立ち向かってきた者狂子と……失敗に終わっているが、ありがとう」
「では国王様、なぜ僕まで」
王子が立ち上がり答える
「それはな、僕を誘拐したのが、以前ここに来たイツキと言う女だからだ……調べたら、お前とは古い付き合いらしいな」
「はい、ですが」
「ええい、うるさい僕に口答えするな……あの国で僕は、異種族の老人に、くだらない質問をされ、答えるたび馬鹿にされた……屈辱だ」
「親として情けながら……経験の足らぬ息子が、答えに詰まるは予想してたが……次代の国王に屈辱を与えるとは……それに詫びの品と思える美しい宝石箱は、けちりおったか中は空だ、訳が分からん……もしや宣戦布告しようと、金を惜しんだ」
ある日ギルマス、ビギナ、狂子が呼ばれる
ミドルニアは、火山が有るなどまさに鉱山王国、金銀、宝石の原石ならうなるほど有る、にもかかわらず空なのは……外がきれいで空っぽな宝箱……見た目は立派だが空っぽな王子を風刺している。
その意味が分かったのか、ビギナとギルドマスターが笑いをこらえている
「むこうがその気なら、手遅れになる前に、こちららから宣戦布告戦争だ……布告書状を送る前に仲間を集め、準備を完成させるぞ」
「国王よ、準備など……ここに並ぶ近衛兵は戦わないのか?」
「近衛は王を守る事こそ使命……ギルドが民を率いて戦えば良い」
口が滑ったとしか思えない、国王の軽率な発言に立ち上がり声を上げるギルドマスター
「民は駄目だろ!」
「勘違いをしているぞ……民のために王が居るのではない……王のために民は、お前達は居るのだ」
「貴方にとってはそうかもしれませんが、民としてわしは納得できません……しまいには王国内で反乱が起こるかもしれません」
内政を王女に全て任せてる国王にとっては対処不可能な大問題だ……「うう」と、うなる事しかできない国王に
「そこで提案です……今回は傭兵をつかいませんか?」
「ほう、心当たりがあるのか」
「異種族を仲間にし、共に戦おうと考えております」
「どうして、あんなけがらわしい奴らと関わらねばならない」
「狂子、ナイフを」
「はい」
あたしは立ち上がり、ギルドマスターのそばでナイフを抜き、当然衛兵達は身構えるが、心配無用
「王子を奪還しようとした際、使ったナイフ、つばから数センチ事な切り口で破壊されています」
「全く役に立ちませんでした」
「このような武器をいくらそろえようが、紙切れ同然……その上、親善の場であれだけの力の差を見せつけられた……もう異種族嫌いなんて言っている場合じゃないはず」
「……この際だ、やもおえん……人選はお前たちに任せる……だが、くれぐれもここには近づけるな!」
「はっつ」
国王は側にいる大臣に声をかけ、召集令状らしき巻物を持ってこさせ
「以上だ……進展が有ればちくいち大臣に連絡しろ」
そう言い残すなり国王と王子は玉座の間を出……ギルドマスターはあたし達を連れ大臣と今後の事(連絡方法など)を話し……
城を後にする。
「マスター、異種族って……もしかしてエルフとか」
「はは、あいつらは国王以上に気位が高くて、あつかいづらい……第一武器をあてがったところで、イージスの武器や防具は、今や見た目だけで駄目」
「弓矢の名手って聞いた事が」
「ああ、だがあんなもん、向こうに居るドワーフの盾で弾かれるわ……だから素手で強い、猫耳メイドを」
「えっ?」
「もとい獣人を、獣人族の長、ジュラと話を、してもらうぞ狂子」
「なぜにあたし」
「ジュラはわしを、というかわしの体臭を嫌っておる……だが静江には、まるで飼い猫の様になついておる」
「大体見えて来た……で、ジュラはどこに居るの?」
「ああ、中立国家バキアで『冥土喫茶アビス』と何とも変わった店を経営しているらしい」
「え『メイド喫茶』……しかも『猫耳メイド』ふふふ」
自称オタクであるあたしがこのワードに反応しないわけがなく……思わず笑いだす
「もう飛行船は使えないだろう……早速明日、商業ギルドの馬車を使い陸路で行ってもらう」
「僕も行きます」
「ビギナ、やめておけ……お前には刺激が強すぎる」
「そうそう、だからあたしの分も皿洗い厨房、頑張ってね」
そしてあたし達はギルドに戻り…………次の日を迎え、早朝……剣と盾軽装姿のあたしは、令状を手に、ギルド前で停まった馬車に乗り、日の出とともに一路バキアへ向かった。
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『オタク系女子中学生が異世界転移⁈ 狂子のお気楽ファンタジー』
第二十六部『向こうがその気なら』
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by.メガネ君(作者)




