誘拐作戦開始
日の出前の船着場……普段ならこの時間でも数人のものが、荷の積み込みや船出の準備をしているはずだが
元老院の手回しか、都合のいい事に人っ子一人いない
「じゃ一丁、王子を誘拐しに行くか」
「でも……誘拐なんて、本当に良いのでしょうか?」
表情に迷いが見える千世
「おいおい、この前あれだけ説明して、お前も納得してたじゃないか……確かに友好国の王子を誘拐するなどいけない事だ」
「……」
「だがこれは、あいつとあたいらの国を維持するための任務だ……お前は有能だがまだ新人だ……任務に対して覚悟(プロ意識)がないから、誘拐行為に罪悪感などを感じる
だろう、が……そんなものは妨げにしかならん……だから心配するな、その罪や責任は先輩でありあたいがせおって(そのままべリハか、元老院に丸投げ)
してやるから心配するな」
そのカッコ内さえなければ、何とも頼りがいのある台詞にほだされる千世
「イツキさん」
「聞こえておるぞ!」
驚き視線を向けると、そこには、ランプを片手に、二人を見送りに来たベリハが立っていた
「なぜ来た」
「可愛いサーバントと、悪友が、よの命令で行くのだ……見送らんでどうする……しかし」
肩をすくめ心配そうに続ける
「危険な任務だ……無理だと思ったら王子など投げ捨て、無事に戻って来い」
「おいおい縁起悪い事言うなよ、失敗前提か」
「大丈夫です、この数日、ギルドの方全員と模擬戦闘してきましたから」
「ああ、任務の成功と無事を祈っておるぞ……しかしイツキ、色っぽい服装といったが……それでは」
「何か問題か」
何とも露出の多いい服装のイツキ……控えめに言って痴女
「ああ、横に居る千世がしてる軽装のプロテクター無し程度と思ったわ……その証拠に千世を見よ……可哀そうに、さっきから顔を真っ赤にしているではないか」
「はは、相変わらず可愛い娘だな……てこのままだと朝になっちまうから、行って来るわ……千世行くぞ」
「はい……それではマスター、行ってきます」
心配を隠そうと、作り笑いをするべリハ
「行ってらっしゃい」
そして二人が乗ったボートは、水しぶきを上げ後顧の憂いも吹き飛ぶほど一気に加速して、ミドルニアの城壁水門を飛び出した
この作戦は出来る限り誰にも見つかってはいけないと、二人は姿勢を低くし、木の皮でボート全体を覆った
なるほどこれなら、運河を不自然なまでの速さで流れる流木にしか見えない……と、疑惑の視線を受けながらも、ボートはイージス王国に近づき……遠くに城壁が見えて来た
「このままだと不自然だな」
「はい……良い事に、両川岸に人はいません」
「良し」
木の皮を丸め、二人が姿を現す
「気合引き締めろ、あたいら女だけど正念場だ」
「はい」
悲しいかな場を和ませようとしたイツキのオヤジギャグは、気付かれる事無くスルーされた
ボートは大水門をくぐり、王国内へ……千世は、狂子に見つからないよう慌てて頭巾をふかくかぶり、イツキは日傘をさし顔を隠し忠告する
「怪しまれないよう、そこのオールでボートをこげ」
「はい」
うむ、露出狂まがいの貴婦人と、頭巾をかぶった使用人に、見えなくもないか
……天に月が輝きだしたころ、ボートは予定より遅れ、イージス王国運河の大橋の下に到着
「ここで数時間、頃合いまで待機だ……ボートから降り橋の下を利用して運動でもしてろ」
「はい」
そうして…………見渡すかぎり、民家の窓から光と人気が消えた深夜……彼女達は頷き動き出した
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『オタク系女子中学生が異世界転移⁈ 狂子のお気楽ファンタジー』
第二十三部『誘拐作戦開始』
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by.メガネ君(作者)




