↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/67

ベリハの親善訪問(前編)

元の世界から転移してくる(ギルド宿舎)


何やら満足げな笑顔の狂子。と、気まずそうにうつむき視線を外す千世

『この数分間、何があった』

ざわめく人たちの中、イツキがニヤリと笑いながら狂子の肩をたたく


「あたいには分かるぜ狂子。で、どうだった?」

「どうって」

「とぼける気か、お前、千世とやったんだろ」


『女同士でナニをやったのか(だから千世は気まずいのか)』

勝手な憶測で、さらにざわつく人たちに背を向けたイツキに拳を当てられ、狂子は瞬間で理解し、聞こえるように言葉を返す。

「ああ、はいすごく気持ち良かったです」


「変なこと言わないで!」声を上げ恥ずかしがる千世をからかうイツキ。

「わかる。普段はこんなおとなしい顔して、テクニシャンだからな」

「イツキさん!」


「盛り上がってるところごめん、僕にも分かりやすく説明してくれないかな?」

低姿勢で右手を挙げたビギナが割って入る

「なに考えてんだ。やるって言や手合わせに決まってるだろ。これだから童て」

「そんなの君こそ処じ」

「てなことだから、反撃」言葉の遮りあいをしていたイツキが千世に拳を突き出す(右ストレート)。

かわした勢いのまま反撃、寸止めする。





「見事!」

千世が強い事がばれた

「もう遅いから、朝食の時にでもギルドのやつらに伝えてやれ」



「あの時の続きお願いします」

千世がマスターに頭を下げ……摸擬戦

開始前マスターが

「良い戦法とかあるか」

「壁際や、鉄棒や起伏。少しでも変化があるところは避けてください」

「うん、つまり」

「はい平らなとこ以外で、勝てる気がしません」

「なるほど」納得しながら視線を落とす。

「どこ見て言ってます?」



「胸が弱点とか」

「確かに一瞬ひるみますが。だからってもししたら。あとで、あたしと」

「あたいが許さないからな」急にイツキが姿を現す。



摸擬戦

平地ではやはり木刀を持つマスターが有利

確かめようとしたのだろう。マスターはわざと壁際や、屋根がある場所に行くと立場逆転。

今度は、縦横斜と不規則『縦横無尽』の攻撃に見事ほんろうされ

再び平地に移動し、編派のある場所へ移動しようとする千世を力ずくで抑える

繰り返されきりがないと、周囲からの声援もまばらになってゆく

「こんな終わり方不本意なんですが」

マスターの首をポールに見立てた千世。勢いよく懐に入り首に抱き着いた勢いで背後に回り背後から首にしがみついている体勢。木製ナイフを首筋に当て

「勝ちでいいですよね」



その雰囲気に当てられ

「二人であたいにかかってこい」

イツキといい勝負をするが……その途中で



城からの使者が「試合(おとりこみ)中七礼します」

現れ訪問決定の手紙を渡され

「ベリハ様が喜んでくれる。早く帰りたい」

任務優先の千世に、狂子は空を指しながら

「午前の飛行船はさっき飛んで行ったの見たよね。午後一の便で帰ればいいじゃん。朝食も食べてないでしょ」

「大丈夫私たちのボートなら川を」

「おい!」『秘密を漏らすな』とイツキが焦って口をはさみ言葉をつづける

「腹が減ったから、飯を食ってからにするぞ」


数人に見送られ千世たちは、飛行船で戻る





『ミドルニアの火山が噴火して以来。約十年ぶりの親善訪問』友好国の姫君が来られるらしい、何ともめでたい!

という事もあってかイージス王国の港から出迎えの馬車へ伸びるレッドカーペットをはさむように人波ができ、それを『稼ぎ時』とばかり出店が並び……ちょっとしたお祭り騒ぎだ


カーペットの先には、数人の大臣と衛兵。その前列に

べリハ(ミドルニア)からの書状に『出席(でむかえ)要求』と書かれていた、狂子とビギナを前列に、数人の大臣と衛兵が並ぶ。


九時(とき)を知らせる鐘が鳴り響き『そろそろ時間だ』と静まる港……。

その中で落ち着きなく周囲を見回す狂子

「きみ(狂子)少しは落ち着きたまえ」

「うん。だったらおじさん、王子様はどこにいるの?」

「狂子さん、大臣に失礼ですよ」

「よい、異世界人だ、常識など理解できないのだろう。王子と国王は、城にて待っておられる」


「ああ、はい」(まったく)

苦笑いまじりに頷くと、定位置に戻り、川上を眺める。

(まだかな。早く早く)(電車やバスみたいにはいかないのかな)


数分後……しびれを切らし始めた狂子。

すると、遠く川上にぼんやりと見える船影に人々が沸き立った……が、近づきにつれため息に変わる。無理もない、いつもの輸送船だ


がっかりと肩を落とす人々を背に、二人は桟橋へと歩き出した


「これこれ君達」

狂子の肩を掴もうとする外交大臣補佐官

「大丈夫」

「べリハ様の性格からして、あの船で間違いありません」


そして、輸送船が到着し港の男達が係留を手伝い、渡り板がかかり……荷下ろしが始まる。

いつもの光景に、狂子達の後ろで『予想外れざまあみろ』とほくそ笑む補佐官





すると、ひときわ幅広く立派な渡り板が、輸送船から桟橋へとかかった。

「ね。あたしの言ったとおりでしょ」

自信満々に補佐官へ笑い返す狂子。


護衛役だからか、動きやすそうなドレス姿で膝をつく千世と、なんとも派手なドレスをまとったイツキが周囲を見下ろしている。










が現れそれを渡り

「お久しぶりです」

と狂子と握手し二人で桟橋側渡り板の両端に立ち、次に現れたドレス姿のイツキを見る


普段とのギャップに唖然とした表情で見惚れる、狂子とビギナを見た補佐官は

彼女こそ女王だと渡り板の前に移動し膝をつき頭を下げる


「今宵はお忙しい中の親善公務……ようこそイージス王国に」

目を閉じ下を向きながらもどや顔をする補佐官など目も止めずその横を駆け足で通過し

「どうよ」

と胸を張りビギナにドレス姿を自慢するイツキ


いやこんなはずではと、目を丸くし狂子達を見る補佐官

すると、そんな彼を見下ろす様にベリハが姿を現した


補佐官は(たしかミドルニアの女王は十八歳、ということは侍女、にしては良いドレスを着ている、ということは妹君か)

と視線を向け微笑みかけるなり、王女はまだかと視線をそらす


「おいおいお主、どこに目をつけておるか」

「妹君では」

べリハの胸を見る補佐官

「よに兄弟姉妹はおらん、でお主、どこを見て判断した」

「ということは」

「うむ、よこそミドルニア女王……ミドルニア・イルネス・ベリハだ」

「なぜ最初にお姿を現さなかったのですか」

「愚問だな……主役は遅れて出るというではないか……おっとこの調子だと、貴国の王子の人を見る眼力も試してみたい……ゆえによの正体はふせておけ」



補佐は自分の眼力の無さか、恥ずかしさを隠すためか、あろうことに他国の王女に声を上げしかりつける


「王女殿下、あなたは何をお考えか、貴国にはたしか王族専用ともいえる立派な鋼鉄戦艦があるはず、なのにこのような粗末な船で来られるとは、親善訪問の公務を、

ひいては我が国を馬鹿にしておいでか!」


「そちこそ何を考えておられる、親善訪問だ、これからも仲良くしていこうという相手に、そちは剣を向けるを良しとするのか……粗末と申したがこの使い込まれた輸送船こそ、長い友好関係の象徴と言えるのではないか……まさに親善行為にはうってつけと思ってな」

「確かに」

悔しそうにうつむく補佐だが、べリハ達の腰から下げている物を見るなり、手のひらを返したように勝ち誇った顔で

「剣を向けないと言っておきながら、護衛とあなたの腰に下げられている物は、何ですかな?」

「細かい男だな、模造刀だ抜刀すらできぬ……ただのアクセサリーだ……ペンは剣よりも強しというからな、署名をするためにもペンを持参した……もしや補佐官、

先がとがっているからダメなどと、よ達からペンまで取り上げるか」

とちゃかす様に笑い、ペンを振るベリハと、一本取られたと悔し気な補佐官

「いいえ」


そしてここは玉座の間へと入る扉を前に立ち止まったべリハを見て、補佐官は先の仕返しとばかりほくそ笑み



「王女殿下、もしや臆されたか?」

「ふっ馬鹿を申せ、もう忘れたか、貴国の王子の人を見る眼力も試してみたいと言ったことを……イツキ、よの代わりに真ん中に立ってくれぬか」

「おう、で馬鹿を演じればいいのか」

「怒るぞ……今後の参考にしたい、お前が理想とする王女を演じてくれ、よは侍女として……千世はそのまま警護を頼む」

「お安い御用だが、みんな惚れるなよ」

「分かりました」


「補佐官、良いぞ、扉を開けてくれ」

補佐官は扉をノックし、開いた小窓から近衛兵に告げると、間もなく

「ミドルニア女王……ミドルニア・イルネス・ベリハ殿下、ご入場」呼び声と共に扉が開く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。