「ただいま」異世界(前編)
ここはイージス王国、城下町商店街のとある路地裏。
『数分後には戻ってくるから』と言い残し、元の世界に戻った狂子と千世の言葉を信じ、イツキとビギナは壁にもたれ、互いに彼女達の事など近況報告『情報交換』を話していると……。
立ち込める煙と光に視線をやると、二人の影が映され……彼女達が戻って来た。
のでここからは狂子の視点になります。
『意外と早かったな』と約束どおり戻って来たことに安心し、息を漏らしたのもつかの間、顔を上げたイツキとビギナは驚いた。
無理もないか、数分後戻って来たあたしと千世は、そろって同じ服(制服)を着ているのだ。
「なんだそのそろいの式服は⁈」
「中学の制服です」
「制服か……で『チュウガク』って何だ?」
初めて聞く言葉に、しかめっ面で首を傾げるイツキ
「十三歳から十五歳までの三年間、通う学校……『○×△中学校』の制服」
「中の上や貴族らが行く『中等部』ってやつか」
「そうなるのかなって、そうだ。イツキさん、間接キスになるけどこれ飲みますか?」
「私の分も」
手のひらで少しぬるくなった『コーラ』の缶を見せる
「間接キス……ああ……ってそれ! 『コラペリ』じゃねえか⁈ 良いのか⁈」
「僕もいいかな?」
『おしょうばんにあずかろう』と思い切り低姿勢で質問するビギナに、あたしたち女子の目が冷たくなる。
そんな高い飲み物を平然と渡す人間が着てるものだ……よほど立派に見えるのだろう『驚きを隠しきれない』とばかりビギナが目を円くして質問する。
「そうです。それに制服が必要な学校に行ってるなんて……そうだ二人とも、異世界と行き来できる道具を持っているんだ……もしやあなた達は元の世界では、身分の高い」
「身分ってビギナ……道場の娘とか、寺の娘とかって以外、いたって普通の家で女子、道具があったのはただの偶然」
「私達の元の世界の日本では『義務教育』って言って中学生までは行かなくちゃだめで……たいていの中学校は制服を着用し、学校生活を送るのが普通と思ってます」
「ああ学校か……自慢じゃないけどあたいは、こいつ(ビギナ)と違って『初等部』にすら行ったことがないんだよな……なんせ『生きるに必要な事』はギルドで自然と身につくからな」
学校に一度も行った事の無いイツキは、うらやましそうにあたし達を見ながら、意地悪を言う。
「まあまあ」
愛想笑いをしながら割って入ったビギナがふと空を見上げて言葉をつづける。
「もう月があんなに高く……狂子さん、早く帰らないと」
「うん……イツキさんごめんなさい。まだ話したいけど、ギルド宿舎に帰らなきゃ怒られるので……その……イツキさん達は今晩、どうするんですか?」
「あたい達は安宿さがすか。そうだな、手っ取り早くさっきの路地裏で野宿するよ」
『野宿する』という言葉に、あたしはビギナに相談する。
「ねえビギナ。野宿なんて可哀そう出し危ないから、ギルド宿舎のあたしの部屋に二人を泊める事って出来ないかな」
「うん確かに。イツキさんはともかく」「おい」「女の子(千世)が野宿なんて……」
悩んでるビギナをよそに、イツキと千世が
「狂子ちゃん、気い使ってくれてありがとう……野宿なんてあたいは慣れてるし……千世にも、これからいろいろ慣れてもらわなきゃ困るから、大丈夫」
「そうです!」
強い口調で断る千世に(そんなに野宿したいの⁈)驚くあたし。
同時に背後から肩を叩かれたもんだから、声を上げてふり返ると……ビギナが笑みを浮かべ。
「今、マスターと料理長に連絡したら。お二人とも泊って大丈夫です」
(いつの間に連絡を)『さすが先輩』ほめようと口を開くあたしの背後で今度は、イツキが声を上げる。
「おい、なに勝手に決めてんだ⁈」
「ごめん……で。イツキさん」
「ああ⁈」
「二人とも、久しぶりに顔が見たいと……マスターに至っては早朝、木刀でお手合わせ願いたいとも言ってました」
「ギルドマスターと手合わせか……良いね、望むところだ!」
そしてギルド宿舎。
扉を開けると同時に『パンパン』とクラッカーが鳴り、驚く
「「いらっしゃい」」
照れくさく少しわずらわしそうに頭にかかった紙テープをとりながら
「派手な出迎えありがとよ。久しぶり、元気にしてたか。世話になるぜ」
「おうよ」
「皆さん、こんばんは。お世話になります」
行儀正しく頭を下げる千世に。愛想笑いしながらおじさんが
「何だよ水臭いなこの前一緒に仕事した時……あんなに活躍して俺達を助けてくれたろ」
『え』と返答に困ってる千世を見かねたイツキが、ちらりとあたしを見ながら強い口調で注意する。
「おい、おっさん!」
「おっとすまねえ……なんだ。今晩はゆっくりしていってくれ」
一件落着したところに、厨房(料理長)から声がかかる
「イツキちゃんと、そこの新入りさんも」
「はじめまして、暗木千世です」
「千世ちゃんも。夜食出来たから、そんなむさ苦しい男どもと話してないでこっちおいで」
「「はい」」
テーブルに向かうとパーティーなみの料理……彼女たちを主役に宴会。
予想どおり男顔負けの食いっぷりを見せるイツキと、遠慮するあまり(イツキに)横取りされる千世。
ビギナとあたしの皿洗いを見て「手伝います」と千世も参加。
その時イツキは、といえば満足げな顔で横に、ではなくマスターと聞かれてはまずいのか個室で情報交換をしている。
ギルド特製のサウナで背を流し湯あみをして
ギルド『エトセトラ』あたしの部屋にあるベッドを眺める。
「ベッドが一つ。どうしよう」
「ああ、三人一緒に寝るには狭いベッドだな……でもちょっとまて、このベッドってまさか静江さん」
「ご明察。ギルドマスターから聞いたんですが、たしかにこのベッドはママが使っていて『いずれ戻って来た時に』大事に保管された居たおかげで、たしかにママの匂いがするの」
「……」『寝たい』という気持ちを押しころしてるイツキ
「ここは年上の、イツキさんがベッドで寝て下さい」
「ありがとう千世……そうだ、良いことを思いついた。これなら三人で寝れる」
「どうやって」
答えは……あたしをはさむように寝る。
「せまいなら遠慮せず、あたいの胸に顔をうずめていいぞ抱きしめてやる」
「私だって」
顔面と後頭部に柔らかな胸が当たる
(男なら天国だろうが、女のあたし(ぺちゃぱい)にとっちゃ屈辱でしかない……でも決して気持ち悪いわけではなく、かっこよく言えば『心地よい敗北』だ)
「……静江さん」と甘えた寝言のイツキが可愛かったし、そのたび強く抱きしめられ苦しかった。
二人は、ブレザーとスカートを脱ぎ……下着にワイシャツといった、ラフな服装で眠りについた
読んでいただき、ありがとうございます。
『オタク系女子中学生が異世界転移⁈ 狂子のお気楽ファンタジー』
第十五部『狂子ミドルニア訪問・前編』
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by.メガネ君(作者)




