そして二人は出会った
今回は(おもに)イツキ視点です
あれは八年くらい前かな……物心つく前からギルドに居た十歳のあたいは『ガキの特権』を使って、迷子のふりで潜入調査とかしてたんだ。
ある日ばんの昼……この町の、ちょうどこの道を『昼飯は何を食おうかな』なんて散策してたら
「ごめんなさい、ごめんなさい許してください。ごめんなさい……」
まるで『馬鹿の一つ覚え』みたいに誤りつづける男の声が聞こえたから
(腹減ってるのに、なんだよ! でも助けに行かなかったのばれたら、またオヤカタに殴られるんだろうな……くそ、めんどくさいな!」
気付かれない様に、屋根の上から見てみたら
人気の無い狭い路地裏で、町の不良グループ数人に囲まれて、襟首掴まれ、べそをかいてる少年がいた。
何とも典型的な『カツアゲ』の構図だろうと笑いながら(カツアゲか……そうだ昼は唐揚げにしよう)
「ごめんなさい許してください」
「おおきな声出すんじゃねえ、人が来るだろが!」
「そうだ、声出さずに金を出せ」
業を煮やした相方がビギナのポケットに手を突っ込み『ニヤリ』と笑い取り出すなり渋い顔をする。
「駄目だアニキ、こいつ十ルドしか持ってやせんぜ」
これにはさすがのあたしも驚いた。
(十ルドって、小さなからあげ一つ買えるかどうかだ)
「しけてるな。けど金は金だ取っとけ」
「でアニキ。こいつ、どうしやす?」
「そうだな」
少年は、自分を睨みつける男の腕に、すがりつき涙声で
「お、お金あげるから、助けて、逃がしてください」
(そろそろ、行かなきゃ不味いな)
不良の死角へ屋根を飛び越え、静かに下へ降り……そして溜息一つ、可愛らしい声を出す。
「ねえねえお兄ちゃん達、何してるの?」
「やばい人だ、て、女のガキかよ」
「アニキ、あのマーク『影の一団』」
「ビビるな、まだガキだ。適当にあしらってやる、みてろ……お嬢ちゃん、こんなところに来ちゃ危ないよ」
「危ないって、お兄ちゃん達もしかして眼鏡の子と……」不良達が身構える「お金を賭けて『喧嘩ごっこ』してたの? ポケットからお金とったの見たもん」
「やっぱりこの女、バカだ」
「バカで良かった……このままごまかしてやる」
(バカはどっちだ……さっきから心の声が、だだもれてるぞ)
「そう『喧嘩ごっこ』だからお嬢ちゃん、危ないから」
へらへら作り笑いで近寄り肩に触れようとする男の手を払ったあたしは、笑顔で
「だったら、あたいも混ぜて」
予想外の言葉に顔を見合わせ困惑する不良達に
(今度はあたしが、適当にあしらってやる)
と、腰にぶら下げた袋から金貨を一枚取り出し見せつける
「お金なら持ってるよ、ほら……これでいい」
「おい、それ」
「一万ルド金貨ですぜアニキ」
「いいねぇ……けど女、子供を殴るのはな」
「その端っこのお兄ちゃん、優しい……あたいもケガするの嫌だから、あたいに『参った』って言わせたら、お兄ちゃんたちの勝ちでいいよ」
「だったら俺達は……全員が降参するか……動けなくなったら負けだ」
「うん決まり。ねえ早く『喧嘩ごっこ』しよう……合図は、その子から取った十ルド銅貨が落ちたら開始」
「ああ良いよ、じゃあ始めるぞ」
と不良の一人がコイントスし……卑怯にも、銅貨が落ちぬまに相方が、飛びかかって来た!
(落ちるまで手を出しちゃいけない)と、あたいはバックステップでかわしたあたいは、コインが落ちる音で(作戦を)ひらめいき……路地の奥へまっすぐ逃げていき……数十秒後、振り返ると……あたいを追いかけることに夢中で、せまい路地裏をほぼ一列で追いかけてる
(卑怯な悪知恵は働くくせして、単純バカ)
あたいは鼻で笑うなり、地面をひっかく様に、一瞬で方向転換し、砂煙を上げ飛びかかった!
(十歳くらいの女、余裕勝ち出来るぞ)油断していた不良達がそれに即座対処できるはずもなく、拳を構える暇もなく、あっさりと気絶させられた。
「いっちょ上がり……そうだ」
すかさず縄をかけて、あまどいに結び……デバイスでギルドに『原因と結果を』報告する。
不覚にもあれ程度の相手に、軽く擦り傷を負わされ、渋い顔で戻ってきたあたいに、まだ腰を抜かしたまま(動けず)座り込んでるビギナが、唖然とした表情で質問してきた。
「あの人達は」
「あ。むこうで仲良く、おねんねしてる……て、これ君のだよね」
落ちてる十ルド銅貨を投げ……上手くキャッチできないビギナをみて軽く笑う
「ありがとう……もしかして……助けてくれたの?」
「うん」
「助けてくれてありがとう」
(よし、言ったね)
あたいは、安堵するビギナの前に、しゃがみ込むなり右手を差し出し、にこやかに
「ほら、助けてもらったんだから、金出しな」
「それって、結局(あの不良と)同じなんじゃ」
「あんたを助けた報酬だから、違う」
「うん。でもお金って、この十ギルしか持ってないよ」
「いやいや……あたいとしては、その靴下の膨らみとか気になるんだけどな」
顔を近づけ、軽くにらみ『これでよし』反応を待つあたい
「あ。顔にキズ……」いそいそとポケットに手を突っ込むビギナ
「こんなん、大したことねえよ……て、なんだその缶」
ビギナは、あたいの質問に答えず、ふたを開け、黄緑色のクリームを、あたいの鼻先に(痛い!)
「て! 何しやがる」
「ごめんなさい。これ、キズ薬『キズ・ナオール』」
「ガキの薬じゃ」
「じっとして、可愛い顔にキズが残っちゃう」
(どうして?)
どう見たって自分より弱くさ男に逆らえないあたいは……言われるがまま手当てを受け『調子かくるうな』照れながら礼を言う。
「ありがとな……よし、手当してくれやんだ。特別にチャラにしてやるよ……あたいはイツキ、あんたの名前は?」
「ビギナ・スターです」
「スター……って、その目鼻の感じ、ゲイル・スターって男知ってるか?」
「僕のパパ」
「嘘だろ、お前みたいな泣き虫が、あのギルドマスターの息子だ⁈」
そして時は、現在にもどり…………。
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『オタク系女子中学生が異世界転移⁈ 狂子のお気楽ファンタジー』
第十三部『そして二人は出会った』
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by.メガネ君(作者)




