新たな一日(前編)(千世)
全てのステンドグラスから入る朝日が、広間を照らし……千世を目覚めさせる
立ち上がり、広間を見渡し唖然とする……。
とまあ、唖然よしているところ申し訳ないが……視点を千世に交代させてもらう。
何よいう事でしょう……昨晩は、暗さも手伝ってまるで悪の秘密結社の隠れ家ともいえる不気味な空間が……今はまるで、教会の中のように白く美しい。
「おはよう、千世」
不意に聞こえた声に驚き振り返ると、椅子に座ったべリハ王女。私のマスターが
こちらを見上げている。
「おはようございます、マスター」
「うむ……うっ」
べリハは立ち上がろうとするが……息を荒くして座る。
実は……私の頭が乗っていた太ももが痛かったそうで。それを知らなかった私は
「大丈夫ですか、マスター?」
「いや、大した事はない……情けないものよ、魔族の血を引くよの体は、強き光の下では少々弱体化してしまうのだ……しばし待て……」
無言でうったえるように私を見上げ、数秒……なにか考えるように黙り込んだマスターはうなづき言葉をつづける。
「……しかしマスターと呼んでくれるのは嬉しいが、なんとも使い魔のようでいかん……互いに名を言い合ったんだ……よはお前のことを千世とよびたい。だから二人の時だけで良いからよの事も名前でべリハと呼んでくれないか」
「はい……しかしあなたは私の主であり、年上、そしてこの国の女王……ですからべリハ様と呼ばせてください」
「うむ(……様づけか)」
うなずいてくれたべリハ様に質問する
「その、べリハ様……昨晩、私の記憶を見たのであれば……私に適した、何か良い仕事はありませんか?」
「仕事などしなくて良い……世のそばに、友として、サーバントとしていればよい」
「ありがとうございます……ですが私はこの世界で、少しでも自分の力で生きていきたいと思っています……その為にもまずは、働くところを見つけたいのです」
「若いのに、良い心がけだ……日々の訓練からして、うってつけの仕事があるが……しかしそこは以前、現世がいた場所だ」
「構いません……働くと決めた以上、贅沢は言ってはいけない」
「闇の一団」
「え⁈ ……」
誰が聞いたって悪いイメージしか出ない言葉に、一歩下がり身構える私を見たべリハ様が『クスリ』と笑う。
「いや、すまぬ……その懸念する気持ち分かるぞ。誰が聞いても悪役のイメージしかないからな……現に百年以上前。イージス王国と戦争していた時代『闇の一団』は、敵はおろか味方からも恐れられる、最強のアサシン集団だったが……今では『影の一団……アボティラン』(ボランティア)などとと名を変え、殺さずのアサシン、として、それなりに有名なのだ……よの国はおろか、中立国バキア、そして元は敵国であったイージス王国……その民の夜の安全のため奉仕を(町の清掃や・ポイ捨てをした犯人にそれを投げ返し正義の制裁を)になってもらっておる」
「人々の役に立てる仕事なんて素敵です」
「よもそう思うが……きつい仕事のわりに、安い報酬と割に合わぬ」
「構いません」
「まあ一応。候補としてもう一つ……お前にぴったりな仕事が」
「何ですか」
直ぐに食いついた私に、ニヤリと笑うべリハ様。
「いやなに。年に似合わぬ女の体(デカい乳と尻)を利用して、ドワーフ野獣人の男どもを相手に、ウエイトレス。というのもあるのだがな……なに、尻とかを触られても、日々の訓練で得た平常心で、笑顔を絶やさなければいいだけのこと」
「そんな事出来ません! 意地悪言わないで下さい……『影の一団、アボティラン』にするので、場所を教えてください」
恥ずかしさに顔を赤らめ(主といえど)と、拳をつくり、反論する私。
頭上で震える拳と私の顔見ながらべリハは笑みを浮かべ
「ふふふ、冗談だ……よかろう……『影の一団』の場所を教えてやるから、そばに来て膝をつくがよい」
「はい……すいませんマスター、紙とペンを取って」
「は? 何をぬかしておる、それよりも遥かに良い物を身に着けておるではないか」
と言ってべリハ様は自身の首元を指さす……それを理解した私は、べリハ様のそばに歩み寄り、膝をつく
「アストラル・デバイス」
「そのとおり」
べリハ様が、私のチョーカーに指をのせ目を閉じると……数秒後
『地図更新するで』
さんだゆうの声が聞こえたかと思えば、小手に埋め込まれている水晶が、数秒光り……消えると同時に……べリハ様がチョーカーから指をはなし、今の一連を説明し始める。
「うむ、これで良し……今『アストラル・デバイス』を経由して、小手の『記憶体』(水晶)に、よの知りうる限りの地図を複写した……が、洞窟やダンジョンの地図ははあえて複写しておらん……その方が千世の成長に繋がるうえ、探索を楽しめるであろう」
「ありがとうございます……しかし、どのように使えばいいのでしょうか?」
「ふ。やはりまだ使い慣れておらぬか……簡単だ、目を閉じ、デバイスを指で触れて念じるだけだ……そうだな、手始めによの『ミドルニア城』の地図を見せよ、と心で念じてみよ」
さっそく私は、言われたとおり目を閉じ、小手の水晶に手をのせ、デバイスに念じ(心で話しかけ)てみた。
(さんだゆうさん)
『お、自分からわいに声かけれるようになるて、なかなか慣れてきたな……で、なんや?』
(『ミドルニア城』の地図を見せて下さい)
『これでええか、って目ぇ開けてええで』
(はい)
ゆっくり目を開けた私は(踏んではいけない!)と思わず一歩下がり倒れかけ
さんだゆうと、べリハ様の笑いを誘った。
ゆっくり目を開けた私の視界下の方、まるでじゅうたんの様に、半透明の立体的な地図が見え(踏んではいけない!)
驚き思わず一歩下がり倒れかけた私は。さんだゆうと、べリハ様の笑いを誘った。
『はは笑ってすまんな……でもまそのうち、わいの使い方に、慣れてきたら、いちいち目ぇ閉じたり触らんでも、心で念じたり、口で話しかけるだけでよくなるからな』
(はい)
『『ミドルニア城』出たら、ええ感じに外の地図に切り替わるからな……それと、出口まで教えてとか、あそこへ行きたいとか、言うてくれたら地図に線引いて、案内したるさかいな……ほなわいはこれにて』
(色々ありがとうございます)
笑みを浮かべ、べリハを見る
「出来ました……すごいですね」
「そうであろう……では『影の一団』の場所を教えよう……よの城を出て、坂を下って行くとすぐ、大きな運河が見えるはずだ、その運河に沿って下って行くと、運搬船が停泊しておる。なければ石造りのさんばしがある……そばに並ぶ倉庫ぐんの、ひときわ大きな倉庫がある」
私はべリハ様の説明と、足元の地図を照らし合わせ、何度もうなずく。
「その倉庫に入るのですね」
「ああ……しかしその倉庫、必ず裏口から入るのだ、そして……と、これ以上はお前の成長の邪魔となろう……後は自分で判断せよ」
「はい」
「良い返事だ」
回れ右をして広間を出ようとする私を、べリハ様が止める
「おい。行ってきますの挨拶も、朝食のぬきに行くつもりか?」
「はい『ぜんは急げ』と言いますから」
「確かにな。だが『腹が減っては戦も出来ん』と言うぞ。もうすぐ朝食が来る……まったく現世そっくりだな……て、おっと忘れるところであった、城に戻ってきた時、門番に止められぬよう、この勲章を付けておくと良いだろう……ここはもうお前の家でもあるのだからな」
べリハ様が、私の小手とチョーカーに「王家の紋章だ」と勲章を付ける。
「ありがとうございます……行ってきます」
私は、頭を下げ回れ右をするなり、べリハ様の言葉も聞かず、広間のドアを開け
「「わ!」」
正面に現れたカゲと驚きあった。
ドアを開けた途端、正面に人……耳としっぽの生えた獣人が居たのだ
(女の人、犬?)驚かせてしまったのか、彼女は茶色く垂れた耳をピクリと揺らし、しっぽをピンとたて毛を逆立てる……唯一のすくいは盆にのせた朝食がこぼれなかったことだ。
(許してくれたのか、もう尻尾を揺らしている……見た目からして『ビーグル犬』かな?)
「ごめんなさい」「いえ私の方こそ」
「千世よ。だから急ぐなと……紹介しよう。彼女はここでメイド長をしている」
「ベス。と申しますワン……以後お見知りおきをワン」
「はい、私は暗木千世です……驚かせてごめんなさい」
「二人ともこっちに来て食事をしよう」
三人で食べる
「メイドさんも一緒にですか?」
私の質問にあからさまに不機嫌になるべリハ様。
「不満か? もしやお前もイージス王国の人間みたいに獣人や他種族を差別するのか⁈」
「いいえ、初めて見たので驚いただけで、可愛い耳ですね」
「ありがとうございますワン」
それを聞いて、にこやかになるべリハ
「そうであろう……大勢で食べたほうが楽しいであろう……夕食の時は下の食堂で都合の合ったもの同士と食べる……うたげのようで楽しいぞ」
「ミドルニアでは身分は関係ない」
食事後……「いってきます」
ははは! よもやここまで読んでくれるとはな、礼を言うぞ。
『オタク系女子中学生が異世界転移⁈ 狂子のお気楽ファンタジー』
第九部『ギルド入隊・新人の一日(千世)』
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よはとてもうれしく、国民も喜び、創造主(作者)とやらも励みとなり。
描くペースが上がるかもな
よろしく頼むぞ。
by.メベリハ・ミドルニア・イルネス(べリハ)




