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ようこそ異世界へ (狂子の場合)

 真夜中の暗い部屋……机に置かれたランプの光に照らされる、試験管や、何らかの実験器具に、雑然と並ぶ書物……どうやらここは、研究室のようだ。


 その本棚の前に立ち、指を横にすべらせ、呟きながら探し物をしている一人の男。

と突然、彼の頭上に、光る球体が出現した。

かとおもえば、すぐに消え、かわりに狂子が転移されてきて……落下した!


 無論、押しつぶされる男

「ぐぅぅ」と小さくうめき声を上げている。


『あたし。参上!』ってことで……視点変更、狂子(あたし)!


 ……なんて言ってらんない!

あたし、便所の穴に飛び込んで尻餅……で……で、お尻の下に、なにやら生暖かく柔らかな感触が。

(……これって、もしかして)


「うん○、うん○、うん○、うん○まみれ」

声を上げ、体中を手ではらっていると、下から声が。

「ひどい!、いきなり俺を押しつぶして、うん○なんてひどい」

「うん〇がしゃべった! ……て人間。ごめんなさい……て、あんた誰で……便所の穴じゃなったら、ここはどこ?」


 台詞だけじゃ状況がつかめないと思うから、かんたんに説明させてもらうと

棚の前で腰をまげ探し物をいる男の頭上に、異世界転移したあたしが落下して……うつ伏せ状態の男の後頭部にまたがり

「私はうん○まみれだ」なんて錯乱し、尻を男の後頭部に擦り付けている……何ともラッキースケベ、否、奇妙な光景だ。



 流石に、この状況はまずいだろうと、あたしは男から離れるなり、身構えて観察を始める……。

どうやら背丈はあたしと同じ、金髪であどけなさの残る顔は、青年というより少年といった感じで……白衣を羽織っている。

(『博士(はかせ)くん』タイプ? でも、異世界だけあって美少年……てアニメとかだと、あたしこの子と……恋をするなんて(ベタな展開)やだな)


 警戒心を向けるあたしをよそに

 彼は首や腰をさすりながら、ゆっくりと立ち上がると……手鏡を持ち、髪形を直しながら、あたしの質問に答える。

「俺はチャラ……チャラ・イージス……ここは僕の研究室さ、君こそ誰だい? 急に頭上に現れるなんて」


「チャラさん。あたしは、鬼道狂子」


「屋根裏に隠れてた……なんて訳無いか……何処から来たの」

「日本……と言っても分かるかな?」

「いや、聞いたこともないよ」


(困ったな)

 と、あたしは『二つしかない』というナビの言葉を思い出して、

かるく苦笑しながら、胸のアストラルデバイスを指した。


「ははっ、そりゃそうか……チャラさん、異世界って分かるかな……あたし、そこから、このペンダント、じゃなくて。アストラルデバイス、を使って来たの」


「そのデバイスは! ……って。異世界から来た……うん、信じるよ」

呆気なく信じ、うなずくチャラに、ひょうしぬけたあたし


「分かってくれて良かった……そんな事より、これ知ってるの?」

「うん……あ、いや、しかし、鬼道、くんは」


あたしの質問をはぐらかし、話題を変える

「狂子よ!」

「ごめん、狂子くんは、その……変わった声してるんだね」


「そう? まあ異世界から来たからかな?」

「そうなんだ……男のくせに、まるで女の子みたいな可愛い声してるから」

「あたし女だけど」

「え? ごめんごめん……しかし、流石は異世界」


「どこ見て言ってる! の、かな? それ以上言ったら殴るわよ」

「うぅ、それ、殴ってから言わないでよ……顔にあざなんてついてないよな」

再び手鏡を取り出し、顔やら髪形をチェックしている

「こんなの、女を馬鹿にした奴への挨拶よ……で、何をしてたの?」


「ああ……『アストラルワークス』の研究だよ」

「アストラルワークス?」

狂子の質問に、世和金とナビが、ほぼ同時に答える

「『アストラルワークス』とは、君の世界で言う……『魔法』の様なものかな」


「魔法!」

(待ってました! 異世界といえば、やっぱりこれ!)


「うん……でもこの世界では『アストラルワークス』って言ってね」

「うんうん、で、どんな凄いの研究してたの?」

 目を輝かせ質問するあたしに、チャラは質問を返すように答える。


「凄いのって、例えば大きな石を一瞬で破壊したり、竜巻を起こしたりする?」

「そうそう、そんなの」

うれしそうに即答するあたしに、ため息交じりに苦笑いして答える


「ははは……笑ったりしてごめん、いや俺も始めは、そんな凄いのはないかな? 使う事は出来ないかな? なんて思ってたけど……無かった」

「無いの」


 一変して、がっかりと肩を落とすあたしに、焦り言葉を付け足すチャラ。


「いやいや、初めから無いってことじゃなくて……古いぶんけん。それこそ千年くらい前の大昔には、一撃で山の一部を吹き飛ばしたり、天候を変えてしまう程のものがあった、らしいけど……争いや戦争が無くなり、『火種にならなあいように』と、それらは必要なくなり……今では、日常で暖炉に火をつけたり、水球を宙に浮かせ驚かせる大道芸程度……でも地位の高いエルフやドワーフ、鬼人なら、もしかして使えるのでは……と考えられてるんだ(げど実際……エルフたちもそれほど使えない)」


「な~んだ、がっかり」(でも、あるんだ……あたしも使いたい)

「この研究所では、俺一人で、それを平和目的で、蘇らせようとしている」


「ふ~ん、がんばってね……で」

あたしは窓から見える景色を見ながら言葉をつづける

「夜中……ここって、林の中みたいだし……第一あたし、お金持ってないのよね、どうしたらいい?」


「えっ! そんな事、急に聞かれても……とりあえず、寝るなら、そこに有る、俺のベッド使っていいから」


「ありがと……でも、いたずらとか、へんな事、しないわよね」

笑顔を返したが、づぐ疑惑の目眼差しで質問する。


「変な事? ……僕はしないよ……第一返り討ちにあっちゃうよ」

「変に間があったけど……分かってるようでよろしい……お休み」


 緊張したように言葉を返すチャラに……(この様子、嘘は言ってないみたいね)

と回れ右をしたあたしは、そのままベッドに倒れ、目を閉じたかと思えば、すぐに寝息を立て始めた。


「はや! お休みなさい」

そう言う、チャラの背後には数人の人影が…………。

今回も読んでいただき、感謝します。

『オタク系女子中学生が異世界転移⁈ 狂子のお気楽ファンタジー』

第六部『ようこそ異世界へ (狂子の場合)』

いかがでしたか? 気に入っていたたけたなら是非、遠慮なく

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とてもうれしく、わが主の励みとなると思います。


よろしくお願いします。


by.ナビ(狂子の『アストラルデバイス』)

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