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灼熱の冬  作者: 紫丁香
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2/17

今もなお

俺の「意識の外」は、


多方面に、

迷惑をかけてるらしい。


俺的には忘れてるだけ。


厳密には 、

言葉通り「意識の外」なんだが、


それの 度が過ぎると、

他人にも影響を与える と。


あまりにも 他人事過ぎた、

「家の建設」は、


俺も思い出さず、

関係者も思い出さない、


そういう間抜けな状態で、

事なきを得たと。


その中に内包された、

様々なものも…


みんな忘れた…。




そんなことある?


それ、

今回は詐欺だったけど、


まともな建設会社に頼んでも、

忘れられるって事では?


俺 次第?

そうなの?


「認知操作だ」


先生が呻く。


「オヌシは事実を隠された」


「『事実を隠す』という効能ごと」

「『意識の外』が 、」

「アーカイブしてしまった」


「検索に、」

「かからなく なってしまったんだ」


だから、

説明下手か?


その、

「事実を隠した人が」

一旦、死んだから、

検索にはかかるようになった と。


自分の言ってることが、

わからん…。


「偶然なのか、必然なのか、」

「上津達が 余計な動きをしなければ、」

「未だしばらく『意識の外』だろうな」


「俺が 忘れてても、」

「周りって覚えてるもんじゃ?」


「オヌシが、」

「どれほど捨てたいか?による」


「思い出したくない」

が、

「思い出させて 欲しくない」


「までになれば、」

「周りに影響するであろう」


「オヌシも、」

「一種の認知操作 を使っている、」

「そうとしか 言えんわな」


そんなに、

思い出したくなかったのかな?

「家」の事…


「オヌシ、」

「去年の夏 辺りのことを、」

「どれほど 覚えておる?」


そう言われると 困る。


箇条書きなんだ。


記憶が、

箇条書きなんですよ、

道仁さん。


「それではないか?」


「理由は わからん」

「オヌシは その時の事、」

「記憶を、」

「捨てたい、と思っておる」


「なんで ですかね?」


「なんで だろうな?」


助けてよ 先生…


「そこまでは、わからん」


「事象の理は読めるが、」

「オヌシの心まで読めん」


そりゃそうだ。


「オヌシも加わったらどうだ?」


ああ 「家」の建設…


「俺が 混じったら、」

「また『意識の外』では?」


「そう ならんようにだよ」


「オヌシの中で、」

「決着がついておらんのだ」


「その辺りは汲むがの…」


ん?ということは?


「道仁さん、」

「一緒にいましたよね?」


うむ と頷く。


「何があったか 知ってるんじゃ?」


「何があったか はな」

「説明しても『意識の外』じゃ」


「自分で探ってみよ」



千歳殿を頼れ。


と 言い残し、

今日の修行は終了。


…


一体 何をそんなに、

思い出したくないんだろう?


母親が 孤独死した。

古びたアパートで。


警察は 餓死だと決めた。

そんな風に 思えなかった。


何故 、

そこで暮らしてたかは、

知らない。


昔から「見える人」的な話を、

よく 聞かされた。


興味がなかった。


道仁さんは、

俺に 母親の能力を説明したらしい。


覚えていない。


建物がダメだと、

アパートは取り壊した。


だから「家」を建てる?


今 だから、

建てる意味は分かった。


でも、

頭で分かってるだけだ。


絵里さんが、

この世ならざる力を、

見せてくれた というのに、


俺は未だに、

何も腑に落ちていない…


……………………



分からないことは、即、所長だ。


「君はサインだけでいいよぉ」


嫌がられた。


「また 長引くもんねぇ」


神楽さん お茶ありがとう。


今日は また静かなもんで、

二人しかいない。


あの 白人のエージェントさんは、

なんの仕事してるんだろう。


「道仁さんが、」

「加わって決着つけてこい と」


「て 言われてもねえ」

「今回は こっちで段取りつけて」

「お金払って、」

「君に譲る形なんだよな」


「お金払って」


もともと、

そういう 話じゃん…


「サインした後なら、」

「忘れていいからさ」


否定できねぇ…


「なら、」

「あの場所 調査していいですか?」


「何 調べるの?」


困った。

俺の記憶 とかいって通じる?


「それは経費出せないねぇ」


「出さないよぉ〜」


仰る通りです。


「そもそも、」

「ただの 更地ですけど、」

「どの辺が『琥穴』なんで?」


「あの『下』なんだよね」


下?


「伝承レベルなんだけど、」

「ちゃんと祀ってたはずなんだ」


「でも 埋めちゃった」


埋めちゃったらダメでは?


そうなんだけどね、


と 言いつつ、

知ってる範囲を教えてくれた。


そもそも、

『琥穴』の封印を護るための、

集落だったこと。


長い歴史の間で、

漁業で賑わう村になったこと。


その過程で使命を忘れ、

廃れて 廃村寸前なのだと。


「封印自体は 死んでないけどね」


「アパートの建ってた位置は、」

「埋めた『入り口』の真上みたいでね」


「そもそもは『神社』を建てて、」

「一応は 鎮めていたらしいよ」


なんで そんなとこに、

アパート建てた。


「地主に 勝手にされたんだねぇ」


酷い話だ。


俺の印象だと、

放置すると「琥穴」?に、

悪影響なんだと思ったけど、


放置どころか、

埋めてんじゃん。


「なんの理由で埋めたのかねぇ」


「それ 理由によっては、」

「エグくないですかぁ?」


神楽さんも、

やっぱ ここの職員なんだな。


「津曲神社(つまがりじんじゃ)は、」

「経年劣化で 封印やられましたよね?」


頷く所長。


「あの 溢れてきた『瘴気』?」

「埋めたら 止められます?」


「止められ…」

「は しないかも?」


できるの できないの?


「知識のない人達が、」

「なんとかしようとして、」

「埋めた記録は多々あるよ」


「最後には『決壊』するけど」


えーと、

それは 時間稼ぎ的な効果はある、

と?


「だねぇ」


やっぱ軽いわ この人。


「ならさ」


と 神楽さん。


「漁村が廃れた原因って、」

「それだったりしない?」


「漏れてるの?!」


なんで あんたが驚くんだよ。


「一件が終わった時にさ、」

「異常無し だったから」


「封印は生きてる、」

「と判断したんだけど」


想像だけど、

「琥穴」そのものを封印して、

神社なんかで 更に封印する。


そういう仕組み、


ですよね?


で、

あの土地は 地主の暴走で、

それがない。


合ってます?


「その 封印の代わりを、」

「君のお母さんが やってたの」


何故?


封印するにしても、

何かで祀れば済むのでは?


「お母さん 神主とかじゃないからね」

「できることを やったんだろうな、」

「としか」


そうか、

その時は「アパート」だったんだ。


霊験あらたか じゃないんだよな。


「可能性として…」

「漏れてるものを留めていた、」

「それは?」


所長が青ざめる。


うん?

何か引っかかったぞ?


“今も、彼女の残留思念を感じます”


ざわっとした。


「異常無しと判断したのは…」


「俺の名前で 土地の名義を変えた、」

「後?先?」


「やる前だよ」

「だから 早いとこやらなきゃって、」

「慌ててたじゃん」


母親だ。


母親が護ってる。


俺の名前で縛った。

道仁さんの「棒」で 要(かなめ)をした。


それ以前から、


何も漏れないようにしていた。


死んでも なお。


今も なお。


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