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灼熱の冬  作者: 紫丁香
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12/17

想定外

「猫又、可愛かった」


「それが感想かよ…」


大の字の 山田さん。


猫好きの千歳の、

好感度が上がったらしい。


「おれの能力なぁ…」


一応 考えてるらしい。


「ああ、千歳ちゃんさぁ…」


「あいつを、」

「あんまりイヂメるなよ?」


突然どうした?


「夢魔に入られて…」

「操作されない奴、」

「初めて聞いたわ」


と笑う。


「つくづく」

「花畔には驚かされる」


芝生の上の、

小休止。



続いて 穴掘りの練習。


俺の「コマンド入力」の未熟さは、

1日やそこらじゃ、

どうなるもんでもないので、

目の前の課題に注力する。


これでも色々考えた。


敷地は四角い。


なら ロープに沿って、

「境界」を作ってみる。


この敷地の土を、

「世界」と分けて…


「削除」する。


ものすごく何かが減った。


敷地は、

四角く掘削したように、

大穴が空いていた。


庭づくりとしては、

やりすぎ…


花壇の一つくらい…

と言われて、


それは なんとなくクリア?

したみたいだけど、


連続してできないわ。


あれ?

道仁さん また青くなってる。


「なにを…」

「やった?」


なにを、

と言われても、


人間重機として、

奮闘努力してます。


「昨日まで難儀してたのに、」

「今日はこれか…」


「『分ける』が、」

「これほどとは…」


思案モードに入ってしまった。



「上達自体は喜ばしいが、」

「想定の斜め上だ…」


二人ともな、


という事で、


改めて基礎講習、

「呼吸法」となった。


鼻から吸う、

口から吐く。


鼻から脳天を上り、

身体を巡り、

口から悪い物を出す、


気持ちで、


ゆっくりと…


これが辛い。

息を吸ってるのに、

酸欠になる。


怠惰な生活が、

身に染みる…


そして第二段階。


「呼吸法」を意識しながら、

組み手の形を、


「ゆっくり」と…


辛い…


組み手より、

汗だくになった。


いよいよ、

「ジェダイの騎士」に、

なれそうな感じ。



「基礎に不安はあるが、」

「予定を詰めようか」


涼しげに座禅を組む、

道仁さんが口を開く。


雪が降る前に 決着をつけよう、

というのが大方の意見。


妥当なんだけど、

俺次第 という感じになった。


「『意力』はどんな感じだ?」


汗だくの猫又が言う。


「なんか減った」と感じた、

「なんか」を、

「意力」と呼ぶらしい。


いわゆる「気力」と同じ。

「やる気」の元。


それは「減る」らしく、

無理すると命に関わると。


命に関わること 多過ぎ。


何を聞かれてるか といえば、


回数だ。


1日の作業量。


「さっきの花壇は、」

「かなり持っていかれました」

「回復は…」


両手を閉じ開きしてみる。


「よくわからないですね」

「腹は減りました」


これは、

申告するように言われてる。


「限界を知ろう」

「細かい日程は それからだ」


お昼はオシャレな、

ハンバーガーだった。


栄養 考えてるらしいけど、

大仏の前で食べると、

なんだかなぁな気分になる。


午後からは、

みんなが見守る中、

限界への挑戦。


道仁さんがメジャーを構えてる。


「150cm四方くらいにしよう」


花壇予定地に 線を引く。


四角くすると…

いよいよ ゲームっぽい。


さっきの要領で、

線に沿って境界を引く。

深さも150cmとイメージする。


そして「削除」


「消滅」と同じようなものだが、

「消滅」は シャボン玉の中の、

「全て」を消しているらしい。


「削除」は指定したものを消す。

自分でもイマイチわからない。


土が消えるのは同じだが、

「減る」のは少ない。


「効率がいいと本人が思えば、」

「それがいい」


とのことなので、


挑戦。


六回でダウン。


わかりやすい。

150cm四方は 花壇の六分の一


ちょうど 花壇くらいで、

小休止らしい。


「谷守の土地って、」

「全部 掘らなくてもいいよな?」


「結界を確かめられたらよい」


掘る算段さえつけば、

後はこちらの問題だ、と。


で、

修行に戻る。


俺は小休止、

先生は…審判?


組み手は、

千歳vs山田。


「はじめ!」


え?組み手だよね?


なんで猫又になる?


千歳…


いつの間に「構え」なんか…


視界を戻す。


二人とも、

全身が仄かに光ってる。


奇声を発し千歳が仕掛ける。


山田さんが、

ぶっとい腕で止めるが、

体勢が揺らぐ、


刹那 足払いに行ったが、

これは 通らない。


上方から「猛猫パンチ」…


バチンッ!


千歳が掌底で弾く。

弾く?


手のひらの光が、

大きくなってるが、


山田さんと 同じ技?


そのまま脇腹に、


「結果」を叩き込む…


………


勝てなかった。


押さえ込み。

純粋なパワー負け。


道仁さんみたいな、

魔法陣じゃないけど、


「意」を纏うって感じ?


「あれ もう、」

「『破』の極意じゃねぇか?」


山田さんがへばる。


千歳が俺を見て、


「猫ちゃん と、」

「やっておきたかったのよ」


「絶対に必要だから」


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